経理業務のペーパーレス化を進めるポイント

昨今、社会情勢の影響もありテレワークやリモートワークを推進する企業が増えてきています。オフィスに出社をせず仕事をするとなると、問題となってくるのは何でしょうか。同僚とのコミュニケーション?それとも会議やハンコ?

もちろんそれらも問題ですが、こと経理においては「紙の資料が多い」ということが一番の問題ではないでしょうか。領収書、請求書、申請書、見積書。各部署から経理に届けられる資料の大半が紙資料なんて会社もありますよね。そして、「これらを処理するために経理は出社しなければならない」そう思ってはいないでしょうか。

しかし、本当にそうでしょうか?その答えは「いいえ」。経理業務もペーパーレス化をすればテレワークで仕事をすることができるのです。

ペーパーレス化とは?

ペーパーレス化とは、紙を使わず電子データで情報を利用・管理していくこと。インターネットの発展と共に広まった考え方です。

インターネットが発達する以前、会社で扱われる資料はそのほとんどが紙に記入・印刷されたものばかりでした。しかし、インターネットが発達したことにより、多くの情報が電子データで扱われ、電子データのやり取りができるようになってきました。

このような時代の流れは官民どちらにも影響を与えています。新型コロナウイルス感染症による緊急事態宣言を受け、より一層ペーパーレス化のニーズは高まってきているのです。

経理業務で使用されている主な紙資料

経理業務には様々な紙資料が用いられています。領収書、請求書、見積書など多くの紙資料を様々な会社から受け取ります。加えて現金や収入印紙、切手といった現金等価物をお持ちの会社もあるはず。

経理業務をテレワークで行うためには、これらの紙資料を電子データで処理できるようにしなければならないのです。

経理業務のペーパーレス化進めるポイント

経理業務をペーパーレス化する上で重要なポイントは3つあります。これから1つずつみていきましょう。

1.紙の資料を減らそう

経理業務をペーパーレス化をするためには、まず紙の資料を減らしていく必要があります。大きく分けて3つの作業が必要となってきます。

(1)既存の資料を電子データに置き換える

経理には過去から積み上げられてきた大量の紙資料があります。決算書や申請書、領収書など何年も作成されてきた資料のほとんどは税法に従い紙で保存されていることでしょう。これらを一気に電子化することは簡単ではありません。時間も費用もかなり必要となってくるはずです。

そのため、すぐに使用する資料のみ電子化することをおすすめします。使用頻度の高い資料のみ電子化をし、そうではないものは紙のまま保存をしておきましょう。最初は多少出社する必要が出てきますが、(2)が進むにつれ紙資料の使用頻度は減っていくはずです。

(2)今後作成・受領する資料を電子データで扱えるフローにする

経理業務をペーパーレス化する上で、より大きな問題となってくるのは(1)より(2)です。(2)は新しいシステムの導入やデータ保存用のサーバーの確保、紙を電子データ化するためのフローの整備など、考えなければならないことが山ほどあります。

具体的には、領収書を画像データで保存できるようにするためスキャナ保存制度が適用されたシステムを導入したり、法律の要件をクリアするためのチェックフローの整備などです。場合によっては大規模なシステム投資を行う必要が出てきます。

また、ペーパーレス化へ切り替えるためには、取引先から受け取る資料も電子データへ変更する必要があります。もし可能であれば、取引先から送付を受ける時点でPDFのような電子データでのやり取りに変更してもらう方法が一番手軽な方法です。

そうはいっても、すべての取引先が電子データでのやり取りに切り替えられるわけではありません。社内のITインフラや内部統制の観点から、紙でのやり取りを希望する企業も多くあるでしょう。

そのような場合、紙で受け取ったデータを電子化するか紙のまま使用する運用を続けるのか選ぶ必要があります。その書類の使用頻度や重要度などによってどちらを選ぶのかは変わってきますが、見落とすことの出来ない観点のひとつです。

(3)小口現金・収入印紙をなくす

経理業務には小口現金がつきもの。少額の買い物や緊急時の非常用現金として、社内の金庫に現金を保管している会社も多くあるでしょう。

この扱いを減らすためには、現金の利用場面を減らすほかありません。従業員の経費精算はキャッシュレス化をし、頻繁に現金を動かす必要のない社内体制を整える必要があります。引き出しの頻度が多い場合や高額の使用が見込まれる場合は、コーポレートカードの発行を考慮するのもひとつの方法でしょう。

契約書に添付する収入印紙の使用は、契約方法を電子契約に切り替えることで利用を減らすことができます。切手にしても、書類の発送をできる限りインターネットを介して行うことで減らすことが出来ます。

このような対策をとった上でも、収入印紙や切手といった現金等価物の利用を完全になくすことはなかなか難しいもの。すべて一気になくすのではなく、出来るところから少しずつ利用頻度を減らしていけるようにフローを再構築していきましょう。

2.電子データの扱いに慣れていない人でも扱えるよう社員教育をする

経理業務のペーパーレス化には、多くの社員が関わってきます。例えば経費精算です。経費精算をペーパレス化しようとすると全社員が関わることになります。

社員の中にはいろいろな人がいます。スマホやタブレットを使い慣れている若い世代、社会人になった後にパソコンが開発されたベテラン社員など、世代により電子データへの理解度がまるで違うのが現代の日本社会です。

そのため、ITリテラシーの差に関わらず、どんな社員でもペーパーレス化に対応できるようなフローを整備する必要があります。研修やマニュアルの配布といった社員教育はしっかり行うようにしましょう。

3.個人情報や重要な情報が漏洩しないようなセキュリティ体制を整える

ペーパーレス化を目的とした新しいシステムやフローを導入するためには、情報セキュリティの観点からの検討が必要となってきます。個人情報や企業情報など重要なデータが外部に流出することのないフローを構築することが必要不可欠です。

そのため、経理部門だけでは解決できない場面も多々出てきます。システムやコンプライアンスの部門を巻き込んだ全社を横断したプロジェクトを立ち上げるなどし、他部門と協同の上ペーパーレス化を進めるようにしましょう。

経理業務をペーパーレス化する上での注意点

経理業務で扱う紙資料は、法律により保存が義務付けられているものがほとんど。会社法や消費税法などにより、保存年数や保存媒体まで決められていることがあります。

法律を遵守しつつ、紙資料を電子データで保存するために欠かせない法律が電子帳簿保存法です。経理業務のペーパーレス化を検討する際は、電子帳簿保存法を熟知した上で新システムやフローを選ぶようにしましょう。

参考:電子帳簿保存法とは?
https://digitalworkstylecollege.jp/explanation/electronic-form-storage-method/

加えて、内部統制の観点も重要です。システム化により内部統制のフローが変わってくる場合は、現行のフローと同等の効力を持つ代替手段を講じなければなりません。

特に、会計ソフト自体の変更を行う場合は注意が必要。システムによっては、内部統制機能ー例えば承認機能が設定されていないシステムもあります。

自社にとって必要な機能がすべて網羅されているのか、またシステム外で取れる代替手段があるのかどうかを十分検討した上でシステムを選ぶようにしましょう。

まとめ

経理業務に紙資料はつきもの。特に内部統制を行っている企業にとっては、証跡を残す必要もありペーパーレス化に切り替えることに抵抗感を感じてしまうかもしれません。

しかし、いつでも・どこでも働けるというペーパーレス化の恩恵は一度体感してしまうともう戻れなくなるほど大きなものです。インターネットを通して情報共有を行うことで、承認や確認の速度も増し、スピーディーな経営判断にも一役買ってくれます。

すべての業務を一度にペーパーレス化する必要はありません。まずは出来るところから検討を始めてみませんか。

Digital Workstyle College 編集部
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