電子サインとは?~電子署名との違いを比較しながら解説~

電子署名及び認証業務に関する法律、いわゆる電子署名法が成立したのは2000(平成12)年。当時はまだクラウドという言葉も概念も存在していませんでした。

6年後の2006(平成18)年に、初めてクラウド型の電子契約サービスが登場。以降、今日に至るまでにさまざまな電子契約サービスがリリースされています。それに従って、電子契約サービスを導入したいと考える企業が増えてきました。新型コロナウイルス感染症の流行を受けて、テレワークやリモートワークが推奨されていることが背景にあります。

電子契約サービスの利用の際に必ず求められるのが、契約当事者の名前や住所の入力、いわゆる電子署名です。電子署名には種類があり、今回ご紹介する電子サインもその1つです。

今回は、電子サインについて解説します。合わせて、よく混同されがちな電子署名との違いにも触れたいと思います。

電子サインとは?

電子サインとは、電子契約サービスにおける電子署名の方式の1つです。電子契約サービスには立会人型またはクラウド型と呼ばれるタイプがあり、電子サインは主にクラウド型で採用されています。

電子署名方式と異なり、電子証明書の取得が不要であること、メールアドレスとインターネット環境さえあればサインできるうえ、コストも比較的低額なので、導入へのハードルが高くないのがメリットです。

逆に、本人確認の方法がメールアドレスのみなので、全く関係のない第三者が、サインする当事者になりすまして契約を結んでしまうおそれがあります。電子サインにおける法的な効力の有無に関しては、後ほど詳しく触れます。

電子サインの契約成立フローは以下の通りです。

(1)送信者が署名を依頼したい相手のメールアドレス宛に、署名用のURLを記載したメールを送信

(2)受信者は、署名用のURLをクリックして電子契約サービスにアクセス

(3)送信者から送られてきた、クラウド上にアップされている文書を確認のうえ、署名をする

(4)送信者、受信者ともに署名がなされたことがメールで通知され、契約成立

合意後の契約書は、そのままクラウド上に自動で保管されます。契約書をパソコンに保存するときも、PDF形式でダウンロード可能です。

電子サインと電子署名の違いは?

「電子サイン」と検索すると、電子サインに混じって「電子署名」が一覧に表示されます。これには、2018(平成30)年頃まで電子サインといわれるものでも、電子署名というワードをあてることが多かったためです。

こうした状況から、公益社団法人日本文書情報マネジメント協会(JIIMA)は2019年5月、「電子契約活用ガイドライン」を発表。その中で電子サインと電子署名を明確に分けて定義しています。

電子サインと電子署名は、認印と実印に例えられます。どこでも入手できて、その印鑑さえ持っていれば誰でも押せる認印を電子サイン、印鑑証明書があり、複製も所有者以外使用できない実印を電子署名としています。

では具体的に、どんな違いがあるのでしょうか。下記の表にまとめましたのでご覧ください。

  電子サイン電子署名
導入面電子証明書の取得不要必要
契約相手の負担なしあり
利用料金比較的安価なので始めやすい比較的高額で、電子証明書の取得が手間である
証拠力完全性の担保(改ざん防止)タイプスタンプ等本人の電子署名/タイプスタンプ
本人性の担保メール認証等によるシステムログ認証局が本人確認して発行した電子証明書
証拠力の強さ○(保管する情報によって補うことはできる)法律上の推定効(電子署名法3条)
本人の意思確認の方法署名の画像データ表示/認証方法:当事者による認証電子証明書による電子署名+タイムスタンプ認証方法:第三者認証
厳格性あまり高くない高いが、電子証明書の取得などが煩雑
導入効果印紙代等の削減
業務の効率化

なお、電子サインと電子署名の違いに関しては、別途記事を書いているので、こちらも参考にしてみてください。

電子署名と電子サインとeシールの違い
https://digitalworkstylecollege.jp/news/explain-the-difference/

電子サインは法的に有効?

結論から言うと、電子サインは法的に有効です。

電子サインが深く関わる法律「電子サイン関連法電子署名及び認証業務に関する法律(電子署名法)」では、署名の方式が手書きあるいは電子的を問わず、同一の法的拘束力が認められています。また、2020(令和2)年6月に内閣府、法務省、経済産業省が公表した「押印に関するQ&A」においても、「特段の定めがある場合を除き、契約に当たり、押印をしなくても、契約の効力に影響は生じない」と、実印や認印がなくても契約は成立するとしています。

対面であれば、目の前にいる相手が契約書にサインする人物であると判断できます。しかし電子サインを使ってやり取りする場合、電子ツールを使って本人確認、つまり「実際にサインをする人とメールの受信者は同一人物であること」を行います。

使用ツールは提供サービスによりますが、以下の通りです。認証方法には、いくつかのツールを組み合わせていることが多いようです。

・メールアドレス
・アクセスコード
・SMS
・パスワード
・タイムスタンプなど

電子契約サービスにログインすると、契約相手から送られてきた文書をオンライン上で確認・承諾したところまで、全てシステムログに記録されています。もし訴訟にまで発展しても、裁判所ではシステムログをもとに文書の真正性、「サインした本人が自分の意思で作成した文書」であることを立証します。

ちなみに日本の法律では、契約を交わすときの方式は特に法律で定められていません。そのため、口頭でも本人同士の同意があれば、契約は成立します。 

電子サインが使用できる例

不動産関連

書面での契約書発行が法律で義務付けられている「定期借家契約」などを除き、賃貸や売買で契約を交わすときに使用できます。不動産業界は古くからの商慣習が残る産業と言われていますが、不動産のIT化を手掛けるスタートアップがここ数年で進出してきており、「物件のピックアップから内覧、契約締結までをワンストップで」というのが数十年後には当たり前になっているかもしれません。

宅配便の受け取り

佐川急便では2015(平成27)年から、ドライバーが携帯しているスマートフォンに直接名前を記入するだけで、荷物を受領できる「電子サイン」を開始。受け取りに電子サインをすると、完了を知らせるメールが登録済みのメールアドレス宛に届くシステムで、2017(平成29)年頃には電子サイン可能なスマートフォンを全てのドライバーに配備したようです。

他にFedExやDHLといった海外の宅配業者も導入していますが、新型コロナウイルス感染拡大を受けて、現在は一時的に取りやめています。 

まとめ

「電子契約サービスを導入する企業が増えてきた」と、背景とともに冒頭で触れました。しかし一番導入を検討したいと考えるのは、取引先から電子契約サービスへ招待するURLを受け取り、実際に使い勝手を体験したときではないでしょうか。

電子サインは、電子認証局を介すことなく当事者間で契約が成立します。電子署名ほどの厳格性はありませんが、文書をオンラインで取り交わすこと、もっといえば契約書のペーパーレス化を推進する際の試金石になるでしょう。まずは導入を検討してみてください。

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