「電子公証制度」の詳しい利用手順、手数料、メリットを解説

「公証制度」とは、例えば「遺言書」など、私たち自身の署名・捺印で作成した重要な文書を公証人が認証し、法律行為の成立要件などに強い効力を持たせるための制度です。

従来は「公証人役場」に出向いて「公証人」に依頼し、何週間もかけて作成するものでした。

しかし昨今、「電子公証制度」の登場によって、そのプロセスがスピーディーで効率的になっていることをご存じでしょうか?

この記事では、「公証制度」をこれから利用しようという方に向けて、「電子公証制度」について利用手順やメリット、手数料などを解説します。

1.公証制度とは?

まず、「公証制度」とはどんな場面で利用する制度なのでしょうか。

(1)公証制度について

「日本公証人連合会」のWebサイトでは、「公証制度」について以下のように説明されています。

公証制度とは、国民の私的な法律紛争を未然に防ぎ、私的法律関係の明確化、安定化を図ることを目的として、証書の作成等の方法により一定の事項を公証人に証明させる制度です。

公証制度|日本公証人連合会
https://www.koshonin.gr.jp/system/s03/s03_01

つまり、民事紛争を未然に防ぐために「公証人」に依頼して「公正証書」を作成してもらう制度のことを指します。

(2)「公正証書」とは?

それでは、「公正証書」とは具体的にどのような文書のことを指すのでしょうか?

例えば、以下のようなものが挙げられます。

①遺言

②任意後見契約

③金銭消費貸借

④保証意思宣明公正証書

⑤土地建物賃貸借

⑥離婚

など

要は、「公正証書作成」により

・法律行為の成立要件となる文書 (遺言など) 

・通常の文書と比較して強い証拠力を持つ文書 (民事訴訟法)

・強制執行の債務名義となる文書 (民事執行法) 

といった意味合いを持たせた文書のことを指します。

(3)公正証書は「公証人」が作成する

前述のような「公正証書」は「公証人」に依頼して作成してもらいます。

「公証人」とは、公務員の一種であり、法律の定めの下、法務大臣が任命します。

その多くは,司法試験合格後、司法修習生を経た裁判官や検察官などの法曹有資格者で、依頼者からの手数料などから収入を得ている人のことを指します。

全国各地に「公証人役場」が約300箇所あり、全国で約500名の「公証人」がその役務を担って活動しています。

つまり「公正証書」を作成する際には各地の「公証人役場」へ行き、「公証人」に依頼をする必要がある、というのが基本です。

参考:公証制度について|法務省
http://www.moj.go.jp/MINJI/minji30.html

2.電子公証制度とは?

従来の「公証制度」とは紙に書かれた文書に対して「公証人」に依頼し、「公正証書」を作成してもらう、という考え方に基づいて運用されていました。

電子公証制度でできること

NOできること概要保存期間手数料入手方法
認証電子データについての作成者を証明する20年間・私署証書:11,000円・定款:50,000円電子申請し、公証人役場で受け取る
確定日付の付与その文書データが「ある時点」で存在したことを証明する50年間700円電子申請し、システム上で入手する

一度電子公証した文書についてできること

NOできること概要保存期間手数料入手方法
同一情報の提供紙に印刷して手元に保存している電子文書と同一であることの証明書の発行を受けられる700円(書面交付の場合は、1枚につき20円を加算)電子申請し、公証人役場で受け取る
情報の同一性に関する証明文書が改ざんされていないことの証明を受けられる700円電子申請し、システム上で入手する

「電子公証制度」とは具体的にどういうものかと言うと、

・パソコンで作成したPDFファイルなど、電子データについての作成者を証明する「認証」

・その文書データが「ある時点」で存在したことを証明する「確定日付の付与」

を行うことができる仕組みです。

例えば、会社設立の際に必要な「定款」について、定款の文書を記録したPDFファイルに対して「認証」をすることができます。この場合、紙の定款の認証の際に必要な印紙税(4万円)が不要になるというメリットもあります。

認証した電子文書は「20年間」、電子確定日付に関するデータは「50年間」保存されます。

認証された電子文書、あるいは、確定日付が付与された電子文書はその後、「同一の情報の提供」を受けることができます。これはつまり、自分の手元に保存している電子文書と同一であることの証明書を添付したものの発行を受けることができる、ということです。

また、「情報の同一性に関する証明」も受けられます。これはつまり、文書が真正である(改竄されていない)ことの証明を受けられる、ということです。

「電子公証」は、法務省が運営する「登記・供託オンライン申請システム」を使って行います。

参考:

7-5 電子公証|日本公証人連合会
https://www.koshonin.gr.jp/business/b07_5

「公証制度に基礎を置く電子公証制度」について
http://www.moj.go.jp/MINJI/DENSHIKOSHO/index.html

3.「電子公証」の利用手順

「電子公証」の手順は次のとおりです。

(1)「電子公証」を受けたい電子文書を作成し、電子署名をする

※ただし、「確定日付の付与」の場合は電子署名なしでも可です。

認証の対象となる電子文書はPDF形式、ファイル容量10MB以下のものに限られます。

ファイル名は全角なら15文字、半角なら31文字以内に納めるようにします。

また、ファイル名に使用できる文字は全角半角英数字・記号・カタカナ・ひらがな・漢字です。

電子文書に電子署名するにはカードリーダーが必要になります。

電子公証で使用できる電子証明書は以下のとおりです。

・「公的個人認証サービス」(地方公共団体情報システム機構)

※マイナンバーカードのこと

・「商業登記に基づく電子証明書」(電子認証制度を運営する電子認証登記所)

※ 株式会社リーガル/日本電子認証株式会社が提供する法人認証カードサービスに係るICカード格納型電子証明書も利用できます。

・「セコムパスポートfor G-ID」(セコムトラストシステムズ株式会社)

・「電子認証サービス(e-Probatio PS2)」(株式会社NTTネオメイト)

(2)法務省運営「登記・供託オンライン申請システム」で、「電子公証」を申請する

▼「登記・供託オンライン申請システム」はこちら
https://www.touki-kyoutaku-online.moj.go.jp/

申請の際には、依頼したい「公証人」を指名する必要があります。

ここで注意すべきは、「公証人」のうち「電子公証制度」に対応できるのは、法務大臣によって指定された「指定公証人」のみだという点です。

▼「電子公証制度」に対応できる「指定公証人」一覧
http://www.moj.go.jp/MINJI/DENSHIKOSHO/denshikosho2.html

申請前に、必ず指名する「指定公証人」と連絡を取ってください。

依頼・請求したものを受け取りに行く日時なども打ち合わせをしておきましょう。

(3)依頼したものを「公証人役場」へ受け取りに行く

①電子認証

事前に「指定公証人」と打ち合わせておいた日時に、「公証人役場」へ出向く必要があります。

その際、以下のものを必ず持っていきましょう。

●認証した電子文書のデータを保存するための電子媒体(フロッピーディスク又はCD-R、CD-RW、DVD-R又はUSBメモリ)

●電子署名した人以外の人が出向く場合には、電子署名した人の実印を押捺した委任状と印鑑登録証明書(電子署名した人のもの、発行から3か月以内)、または、電子文書に署名した人の電子署名を付した電子委任状(公証人に電子メール等で送付してください)

●「定款」の電子認証の場合には、定款作成代理人が電子署名した場合は、発起人から定款作成代理人への実印を押捺した委任状と発起人の印鑑登録証明書(この場合、委任状には定款本文を印刷したものを添付する必要あり)

●公証役場に出向く人の本人確認資料(写真付き公的証明書、または、印鑑登録証明書+実印)

すると、持参した電子媒体に、認証済みの電子文書を格納して渡してもらえます。

認証時に申請すれば、認証した文書を印刷したものに、公証人が認証した電子文書と同一の内容である旨の証明書を添付して渡してもらうこともできます。

②同一の情報の提供

認証した電子文書のデータを保存するための電子媒体(フロッピーディスク又はCD-R、CD-RW、DVD-R又はUSBメモリ)を持参しましょう。

③「日付情報の付与(確定日付の付与)」および「情報の同一性に関する証明」

日付情報(確定日付)を付与された電子文書又は情報の同一性を証明する旨が付記された電子文書を「登記・供託オンライン申請システム」で入手することができます。これらは「公証人役場」では受け取れませんのでご注意ください。

④手数料は?

手数料を予め納付することがが必要になる場合がありますので、必ず、依頼した公証役場と事前に打ち合わせておきましょう。

●<日付情報の付与>…700円

●<電磁的記録の認証>

  ① 「私署証書」の認証…11,000円(原則)

  ② 「定款」の認証…50,000円(印紙税40,000円は不要)

●<電磁的記録の保存>…300円

●<情報の同一性に関する証明>…700円

●<同一の情報の提供>…700円(書面による交付の場合は、1枚につき20円を加算)

4.「電子公証制度」は時間短縮にも寄与

後に残しておきたい重要な文書は、ビジネス・プライベートを問わず、一から手書きで作成するというよりは、PDFファイルなどで作成する場面の方が多くなっている昨今です。

この記事で解説してきた「電子公証制度」はそのような社会背景に即した制度だと言えます。

「電子公証制度」を利用することで、従来は長らくかかっていた「公証人役場」とのやりとりをする待ち時間も大幅に短縮できます。

今後、「公証制度」を利用しようという方は、ぜひ「電子公証制度」の活用を検討してみてください。

Digital Workstyle College 編集部
この記事を書いた人