はんこ廃止でも、印鑑証明は引き続き必要です!印鑑証明制度とは?

一個人として社会生活を営む中で、例えば「車の購入」「家の購入・契約」などの際に「印鑑登録証明書」を求められた経験を持つ人もいることでしょう。

「脱・はんこ」が叫ばれる昨今ではありますが、この「印鑑登録証明書」は当面、必要であると言われています。

そこで今回の記事では、ビジネスパーソンに向けて「印鑑証明制度」の歴史や現状、そして今後について詳しく解説をしていきます。

1.印鑑証明制度とは?

2020年11月、河野太郎行政改革担当相は記者会見において「民から官への行政手続きにおける認印は廃止する。ただし、印鑑証明が必要なものは今後も引き続き残る」という主旨を述べました。

ではこの「印鑑証明」とはどのようなものなのでしょうか?

(1)印鑑証明制度とは?

「印鑑登録」とは、住民票の届け出をしている市町村窓口に自分の印鑑を登録申請することです。

一旦届け出をしておけば、その後は「印鑑登録証明書」を市町村窓口で発行してもらうことができます。

「印鑑登録」を行ったはんこは、「第三者が本人確認を済ませており、本人の意思表示・本人認証に足るはんこ」となります。

登録したはんこは「実印」と呼ばれ、15歳以上なら誰でも1人につき1個、登録することができます。

なお、これに対して「登録していないはんこ=認印」と言います。

(2)印鑑証明制度のはじまり

このような「印鑑証明」の制度は、日本において一体いつから始まったのでしょうか?

それは、明治維新後の時代にまで遡ります。

明治4年の太政官布告において「約定書に用いるはんこは実印で、身元を村の庄屋や年寄方に申し出て、庄屋・年寄方においてはその申し出をひとまとめにしておき、いつでも引き合わせができるようにしておくこと」といった旨が定められました。

その後、明治8年の太政官布告で廃止されましたが、「印鑑帳」取りまとめに関する事務は「戸長(=明治時代前記に区・町・村へ配置された、行政事務の責任者のこと)」に引き継がれ、その後も行政において人民の印影を取りまとめ置くことが定められました。

このように、明治維新後の時代に整えられた「行政が、人民の印影を取りまとめる」という制度がその後も続き、やがて太平洋戦争後には各市町村に引き継がれ、現在にまで至っているのです。

参考:
印章教科書|公益財団法人 全日本印章業協会
http://www.tetras.uitec.ac.jp/files/news/2016/concours/kaicho_3.pdf

2.現在の印鑑証明制度とは?

では、現行の「印鑑証明制度」とは、詳しくはどのような仕組みになっているのでしょうか。

(1)現行の印鑑登録はどんな手続きを取れば良い?

まずは、登録しようとする印鑑を1人につき1個、住民登録をしている市町村窓口へ持参します。なお、このとき同一世帯で同じ印鑑は登録できません。1個人につき1個です。

なお、登録可能な印鑑には以下のようにいくつか制約事項がありますので注意しましょう。

<登録できない印鑑>

・住民基本台帳に記録されている氏名、氏もしくは名もしくは又は氏名もしくは通称の一部を組み合わせたもので表していない印鑑。

※外国人住民の場合は通称名、カタカナ表記を登録されていない場合も含む

・職業、資格など氏名以外の事項を表わしているもの。

 【例 氏名以外の文字、模様などが入っているもの。(ただし、「・・・印」や「・・・之印」及び「・・・之章」を除く。)】

・ゴム印など印面が変化しやすいものや、印影が鮮明でないもの。

・印影の大きさが8ミリ四方の正方形に収まるもの、または25ミリ四方の正方形からはみだすもの。

・外枠のないもの、大きく欠けているもの。

登録しようとする印鑑と併せて、公共機関が発行した顔写真付きの身分証明証(運転免許証、パスポート、マイナンバーカード、顔写真付きの住民基本台帳カード)を持参すれば、窓口手続きにて即日登録が可能です。

参考:
印鑑登録をするときは|松江市
http://www1.city.matsue.shimane.jp/shinsei/madoguchi/inkantouroku.html

印鑑登録 よくある質問|あま市
https://www.city.ama.aichi.jp/kurashi/todokede/1001895/1001897.html

(2)印鑑登録証明書が必要な場面とは?

現行の印鑑証明制度とは、行政機関によって客観的に「誰の印章なのか」という真正性が保証されているものです。

一旦、印鑑登録を済ませておけば、「印鑑登録証明書」という書面を発行してもらい、必要な手続きの際に利用できます。

「印鑑登録証明書」とは個人の社会生活の中で、法的手続きなど特に重要な取引で用いられれます。

<具体例>

・会社設立の時
・賃貸物件契約の時
・家屋を購入・売却する時
・住宅ローンを組む時
・抵当権設定の時
・土地の売買の時
・保険金受け取りや放棄の時
・自動車の購入・売却・廃車の時

参考:大人なら知らないと困る印鑑証明が必要な場面。今さら聞けない…|鶴見本舗
https://www.i-hankoya.co.jp/blog/1783

(3)「印鑑登録証明書」はコンビニ端末でも取得できる!

「印鑑登録証明書」は、プラスチック製のマイナンバーカードを持っていれば、身近なコンビニ各社店頭に設置されているマルチコピー機でも発行することができます。

わざわざ市町村役場庁舎の窓口に足を運び、時間をかけて並ばなくても、スピーディーに発行できるので便利です。

その際、マイナンバーカードに紐付けた暗証番号の入力を求められますので、自分の暗証番号は忘れないようにしておきましょう。

参考:コンビニエンスストア等における証明書等の自動交付【コンビニ交付】 
https://www.lg-waps.go.jp/index.html

3.印鑑証明制度のこれからはどうなっていく?

河野太郎行政改革担当大臣は、2020年10月30日付けで自身のブログにおいて以下のように綴っています。

今後とも押印が必要だという手続きは85種類まで減りました。そのほとんどが印鑑証明をつけるもの、又は登記・登録印です。

押印廃止続報|衆議院議員 河野太郎公式サイト

印鑑証明、登記・登録印はひとまず今後も必要だと言えます。

しかし、その一方で首相官邸の政策会議において「法人設立手続オンライン・ワンストップ化検討会」というものも開催されています。

その中で、法人設立の際の登録印を必須では無くして、電子証明書を利用したオンライン申請もできるようにする、といった主旨の検討が行われています。

出典:法人設立手続オンライン・ワンストップ化検討会|首相官邸
https://www.kantei.go.jp/jp/singi/keizaisaisei/hojinsetsuritsu/

プラスチック製のマイナンバーカードには「電子証明書」が搭載されています。

これは「公的個人認証サービス」の一つです。

例えば「e-Tax(=確定申告)」など、オンラインでの申請・届出といった行政手続を行う際などに、他人による「なりすまし」やデータの改ざんを防ぐために用いられる本人確認の手段です。

具体的に「e-Tax」で確定申告書類を所管税務署に送信する際には、マイナンバーカードに搭載された「電子証明書」を用いて、「そのデータの作成者が誰なのか」「送信されたデータが改ざんされていないこと」の2点を確認しています。

行政手続きのオンライン化・脱はんこに関する法整備やシステム整備が今後さらに進めば、個人・法人に関わらず「はんこ」に代わり「電子証明書」を活用する場面がますます増えていくとも考えられそうです。

4.「マイナンバーカード」が「実印」代わりになる日は来るか?

個人が「実印」に代わって利用できる「公的認証制度」というと、現在のところ身近な存在は「マイナンバーカード」だと言えます。

しかし、この「マイナンバーカード」普及率は2020年7月時点で17.5%と、まだまだ低いことが明らかになっています。

今後、国を挙げて「脱・はんこ」を進めるなら、法整備はさることながら、「マイナンバーカード」取得・利活用に対する国民の理解を深めることが必須でしょう。

その過程で、国民一人ひとりが「マイナンバーカード(電子証明書)」を利用することで享受できるメリットを今以上に、例えばヘルスケアや金融分野における欧州並の利便性など、豊富に整えていくことも必要だと言えるかもしれません。

参考:
マイナンバーカードの普及率増加で懸念 5年後の更新時に起こりうる「2025年問題」について|Yahoo!ニュース
https://manetatsu.com/2020/08/287665/

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Digital Workstyle College 編集部
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