収入印紙とは?収入印紙が必要な文書と理由について解説

領収書や契約書を紙で作成する際に、「収入印紙」の貼り付け・消印が必要になるケースがあります。

しかし、この「収入印紙」にまつわるルールを細かい点まで深く理解できていない、あるいは、そもそも「収入印紙」が必要な理由を改めて根本から考えたことがない、という人も多いのではないでしょうか?

そこで今回の記事では、総務・経理担当者や、契約書や領収書を取り扱う営業パーソンに向け、「印紙税」「収入印紙」にまつわる疑問について、その基本から解説していきます。

「印紙税」「収入印紙」とは?

そもそも、「印紙税」そして「収入印紙」とは一体何なのでしょうか。

印紙税法の定めにより「課税文書」と定義されている文書には「印紙税」がかかります。

「課税文書」には、具体的には「領収書」「契約書」「手形」「定款」「証券」などが該当し、金銭のやり取りに関する文書を指します。

「課税文書」を作成した人が、印紙税法より定められた金額の「収入印紙」を文書に貼り付け、消印をすることで「印紙税」を納付することができます。

「収入印紙」とは、国庫の収入となる税金や手数料などの徴収のために、国が発行する証票です。

収入印紙は、郵便局や印紙売りさばき所などで購入することができます。

参考:契約書や領収書と印紙税|国税庁
https://www.nta.go.jp/publication/pamph/inshi/pdf/1504.pdf

参考:印紙をもつてする歳入金納付に関する法律
https://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail?lawId=323AC0000000142

印紙税はなぜ必要なのか?

「課税文書」とは、契約などの当事者間において、課税事項を証明する目的で作成される文書であり、かつ、その課税事項を証明する効力を持つ文書を指します。

印紙税法では次のとおり、課税文書について印紙税を納める義務があると規定しています。

第三条 別表第一の課税物件の欄に掲げる文書のうち、第五条の規定により印紙税を課さないものとされる文書以外の文書(以下「課税文書」という。)の作成者は、その作成した課税文書につき、印紙税を納める義務がある。
2 一の課税文書を二以上の者が共同して作成した場合には、当該二以上の者は、その作成した課税文書につき、連帯して印紙税を納める義務がある。

印紙税法第三条

「契約書」「領収書」をはじめとする「課税文書」作成の背後には、経済的取引があります。その背景には相応の経済的利益が存在し、これに対して軽微な課税を行うに足る「担税力(=税を負担する能力)」があると認められる、ということが「印紙税」の課税根根拠のひとつです。

担税力に応じた課税、つまり能力説(=納税者はその支払能力に応じて納税すべきであるとする租税原則に関する理論)の立場を取っており、「印紙税」とは、税体系において基幹税目を補完する重要な役割を果たしているものなのです。

「印紙税」は原則として、文書の作成名義人が納税義務者となります。

「印紙税」がかかる「課税文書」であるにも関わらず、「収入印紙」を貼り付けていない場合には税務調査で指摘を受ける材料となり、「過怠税」の徴収対象となってしまいます。

適正な金額分の「収入印紙」を貼り、消印をすることで、必要な税金を納付済みである、という証拠になります。

参考:収入印紙はなぜ必要?今さら聞けない収入印紙を貼る書類とは|経営ハッカー
https://keiei.freee.co.jp/articles/p0200013

参考:最近における印紙税の課税回避等の動きと今後の課税の在り方|税務大学校 税大論叢
https://www.nta.go.jp/about/organization/ntc/kenkyu/ronsou/42/souma/ronsou.pdf

「課税文書」とは?

それでは、「課税文書」には一体何が該当するのでしょうか。

印紙税法では、次の3つのすべてに当てはまる文書、と定義されています。

(1) 印紙税法別表第1(課税物件表)に掲げられている20種類の文書により証されるべき事項(課税事項)が記載されていること。
(2) 当事者の間において課税事項を証明する目的で作成された文書であること。
(3) 印紙税法第5条(非課税文書)の規定により印紙税を課税しないこととされている非課税文書でないこと。

No.7100 課税文書に該当するかどうかの判断|国税庁
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/inshi/7100.htm

ここで重要なポイントとなるのが「印紙税法別表第1(課税物件表)に掲げられている20種類の文書」です。

その「20種類の文書」について、具体例を挙げていきます。

「印紙税法別表第1(課税物件表)に掲げられている20種類の文書」とは?

①1号文書

[不動産、鉱業権、無体財産権、船舶若しくは航空機又は営業の譲渡に関する契約書]

例:不動産売買契約書、不動産交換契約書、不動産売渡証書など

※注:無体財産権とは、特許権、実用新案権、商標権、意匠権、回路配置利用権、育成者権、商号及び著作権をいいます。

[地上権又は土地の賃借権の設定又は譲渡に関する契約書]

例:土地賃貸借契約書、土地賃料変更契約書など

[消費貸借に関する契約書]

例:金銭借用証書、金銭消費貸借契約書など

[運送に関する契約書(傭船契約書を含む。)]

例:運送契約書、貨物運送引受書など

注:運送に関する契約書には、傭船契約書を含み、乗車券、乗船券、航空券及び送り状は含まれません。

②2号文書

[請負に関する契約書]

例:工事請負契約書、工事注文請書、物品加工注文請書、広告契約書、映画俳優専属契約書、請負金額変更契約書など

注:請負には、職業野球の選手、映画(演劇)の俳優(監督・演出家・プロデューサー)、プロボクサー、プロレスラー、音楽家、舞踊家、テレビジョン放送の演技者(演出家、プロデューサー)が、その者としての役務の提供を約することを内容とする契約を含みます。

③3号文書

[約束手形又は為替手形]

注1:手形金額の記載のない手形は非課税となりますが、金額を補充したときは、その補充をした人がその手形を作成したものとみなされ、納税義務者となります。

注2:振出人の署名のない白地手形(手形金額の記載のないものは除きます。)で、引受人やその他の手形当事者の署名のあるものは引受人やその他の手形当事者がその手形を作成したことになります。

注3:手形の複本又は謄本は非課税です。

④4号文書

[株券、出資証券若しくは社債券又は投資信託、貸付信託、特定目的信託若しくは受益証券発行信託の受益証券]

注:出資証券には、投資証券を含みます。

⑤5号文書

[合併契約書又は吸収分割契約書若しくは新設分割計画書]

注1:会社法又は保険業法に規定する合併契約を証する文書に限ります。

注2:会社法に規定する吸収分割契約又は新設分割計画を証する文書に限ります。

⑥6号文書

[定款]

注:株式会社、合名会社、合資会社、合同会社又は相互会社の設立のときに作成される定款の原本に限ります。

⑦7号文書

[継続的取引の基本となる契約書]

例:売買取引基本契約書、特約店契約書、代理店契約書、業務委託契約書、銀行取引約定書など

注:契約期間が3か月以内で、かつ、更新の定めのないものは除きます。

⑧8号文書

[預金証書、貯金証書]

⑨9号文書

[倉荷証券、船荷証券、複合運送証券]

注:法定記載事項の一部を欠く証書で類似の効用があるものを含みます。

⑩10号文書

[保険証券]

⑪11号文書

[信用状]

⑫12号文書

[信託行為に関する契約書]

注:信託証書を含みます。

⑬13号文書

[債務の保証に関する契約書]

(注) 主たる債務の契約書に併記するものは除きます。

⑭14号文書

[金銭又は有価証券の寄託に関する契約書]

⑮15号文書

[債権譲渡又は債務引受けに関する契約書]

⑯16号文書

[配当金領収証、配当金振込通知書]

⑰17号文書

[売上代金に係る金銭又は有価証券の受取書]

例:商品販売代金の受取書、不動産の賃貸料の受取書、請負代金の受取書、広告料の受取書など

注1:売上代金とは、資産を譲渡することによる対価、資産を使用させること(当該資産に係る権利を設定することを含む。)による対価及び役務を提供することによる対価をいい、手付けを含みます。

注2:株券等の譲渡代金、保険料、公社債及び預貯金の利子などは売上代金から除かれます。

[売上代金以外の金銭又は有価証券の受取書]

例:借入金の受取書、保険金の受取書、損害賠償金の受取書、補償金の受取書、返還金の受取書など

⑱18号文書

[預金通帳、貯金通帳、信託通帳、掛金通帳、保険料通帳]

⑲19号文書

[消費貸借通帳、請負通帳、有価証券の預り通帳、金銭の受取通帳などの通帳]

注:「18号文書」の通帳を除きます。

⑳20号文書

[判取帳]

このように「課税文書」の種別とは多岐に渡っています。また、貼り付けるべき「収入印紙」の額も、取引金額により変わってくる場合があるので注意が必要です。

作成した文書が印紙税の納付対象かどうか判断する基準については、後述します。

参考:No.7140 印紙税額の一覧表(その1)第1号文書から第4号文書まで
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/inshi/7140.htm

参考:No.7141 印紙税額の一覧表(その2)第5号文書から第20号文書まで
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/inshi/7141.htm

印紙税納付の対象かどうか判断する基準は?

課税文書に該当するかどうかは、その文書に記載されている内容に基づいて判断することとなりますが、最も分かりやすい判断基準となるのは「取引金額」です。

日々の業務で最も取り扱いが多い「領収書」「契約書」にポイントを絞って具体例を挙げると、大まかには次のようになります。

(1)領収書:5万円未満は、非課税(印紙不要)

(2)契約書:1万円未満は、非課税(印紙不要)

ビジネスパーソンとしてまずは、上記のように覚えておくべきでしょう。

ただし、契約書に関しては1号〜20号文書の中に例外も存在します。

<例外>

(1)7号文書[継続的取引の基本となる契約書]・・・印紙税額4,000円

例:売買取引基本契約書、特約店契約書、代理店契約書、業務委託契約書、銀行取引約定書など

※契約期間が3か月以内で、かつ、更新の定めのないものは除く。

(2)12号文書[信託行為に関する契約書]・・・印紙税額200円

注:信託証書を含む。

(3)13号文書[債務の保証に関する契約書]・・・印紙税額200円

注:主たる債務の契約書に併記するものは除く。

(4)14号文書[債務の保証に関する契約書]・・・印紙税額200円

注:主たる債務の契約書に併記するものは除きます。

参考:No.7100 課税文書に該当するかどうかの判断|国税庁
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/inshi/7100.htm

参考:No.7140 印紙税額の一覧表(その1)第1号文書から第4号文書まで
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/inshi/7140.htm

参考:No.7141 印紙税額の一覧表(その2)第5号文書から第20号文書まで
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/inshi/7141.htm

「課税文書」のうち、どれを業務で作成する可能性があるか押さえておくことがポイント

「課税文書」かどうか正しく判断するためには、自分の日々の担当業務において、課税対象となる1号〜20号文書のどれを作成するケースがあるか、まずは押さえておきましょう。

「収入印紙」が必要であるにも関わらず、貼り付けや消印を忘れて後から税務署からの指摘や過怠金の徴収対象になることがないよう、適正に運用することが肝要です。

また、「収入印紙」を貼らずに納税する方法や、電子契約(ペーパーレス)の場合は印紙不要、といったケースも存在します。

 今後の記事では、「収入印紙」にまつわるさらに深いナレッジも掘り下げてお伝えしていきます。

Digital Workstyle College 編集部
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