Sustainable Transformation(SX)とは

デジタルの活用により新しいビジネスモデルを構築すること、または事業をまるごと変革すること、いわゆるデジタル・トランスフォーメーション(DX)という言葉が、広く世間で流行するようになって久しくなりました。それと動きを同じくするように、新型コロナウイルスの感染拡大という環境の中、積極的にデジタル・トランスフォーメーション(DX)を推進する企業や自治体も増えてきました。

一方で、新型コロナウイルス感染流行の長期化により、事業を縮小したり倒産したりする企業も増加傾向にあります。今はどうにか持ち堪えられてデジタル化を進めても、今後の社会情勢の変化次第では、そうした活動を止めざるを得ない状況に陥るかもしれません。 

Sustainable Transformation(サスティナブル・トランスフォーメーション、SX)とは

Sustainable Transformation(サスティナブル・トランスフォーメーション、SX)とはサステナビリティ・トランスフォーメーションともいい、変化に富んだ社会の中でも企業が確実に生き残るための解決策を示したものです。2020(令和2)年8月に、経済産業省が発表したレポート「サステナブルな企業価値創造に向けた対話の実質化検討会中間取りまとめ~サステナビリティ・トランスフォーメーション(SX)の実現に向けて~」において、初めて示されました。

その中で、事業の継続性、持続可能性から企業活動を見直して今後に活かすための柱として、具体的に以下の3つの項目を挙げて説明しています。

1.「稼ぐ力」の持続化・強化
「企業としての稼ぐ力(強み・競争優位性・ビジネスモデル)を中長期で持続化・強化する、事業ポートフォリオ・マネジメントやイノベーション等に対する種植え等の取組を通じて、企業のサステナビリティを高めていく」

2.社会のサステナビリティを経営に取り込む
「不確実性に備え、社会のサステナビリティ(将来的な社会の姿)をバックキャストして、企業としての稼ぐ力の持続性・成長性に対する中長期的な「リスク」と「オポチュニティ」双方を把握し、それを具体的な経営に反映させていく」

3.長期の時間軸の「対話」によるレジリエンスの強化
「不確実性が高まる中で企業のサステナビリティを高めていくために、将来に対してのシナリオ変更がありうることを念頭に置き、企業と投資家が、1・2の観点を踏まえた対話を何度も繰り返すことにより、企業の中長期的な価値創造ストーリーを磨き上げ、企業経営のレジリエンスを高めていく」

出典:「サステナブルな企業価値創造に向けた対話の実質化検討会中間取りまとめ~サステナビリティ・トランスフォーメーション(SX)の実現に向けて~」経済産業省、2020年8月
 https://www.meti.go.jp/press/2020/08/20200828011/20200828011.html

SX(サステナブル・トランスフォーメーション)が求められる背景

ではなぜ今、SX(サステナブル・トランスフォーメーション)が求められるようになったのでしょうか。 

社会の多様な変化のなかでも、企業が生き残るため

冒頭でも触れましたが、新型コロナウイルスの感染拡大により経営状況が悪化、または影響を受ける企業は増加傾向にあります。一方で、新型コロナウイルスの感染流行は、ビジネスモデルや産業構造に大小の変化をもたらす他、新たなビジネスチャンスを創出する可能性も指摘されています。

感染流行以外にも、季節によっては自然災害に巻き込まれてしまい、経済活動を一時的に中断することも考えられるでしょう。特に記録的な大雨や規模の大きな台風、それがもたらす洪水、地震が日本を直撃している頻度は、ここ数年でかなり高くなってきました。

このような状況の発生は今後も予想されます。長期スパンで企業の経営活動を捉え、自社の強みや独自のビジネスモデルなどを活かしつつ、長く生き残るための方法を、企業と投資家が一緒に考えることはとても大切です。それには、ESG(環境(Environment)、社会(Society)、ガナバンス(Governance)の頭文字を取ったもの)とのバランスを図ることも求められます。

企業の経済活動が、経済の維持と成長に密接に関わっている

企業が経済活動を社会で続けていくには、出資者だけでなく、企業を利用する消費者の存在も必要です。

消費者が買い物や何らかのサービスを使うとき、無条件で購入または利用することはほとんどありません。商品やブランド、メーカー、メディアに対する信頼、知識などを判断材料にしているからです。買い物や何らかのサービスを使うことで、購入(またはサービス提供)先をはじめ商品を卸した業者、製造業者にお金が入ります。入ってくるお金が増えれば、商品やサービスに改良を加えたり、新たに開発したりすることが可能です。消費者が買い物や何らかのサービスを使う行動を多方面で取ることで、経済が活性化します。

この一連の過程は、株を買うときの投資家の行動と似ており、消費者も投資家と言い換えられるでしょう。

ただ、消費者に商品やサービスをずっと利用し続けてもらうためには、フィードバックやマーケティングといった、消費者と企業が歩み寄るための努力が求められます。

SXとSDGsの関係性

SX(サステナブル・トランスフォーメーション)を語る上で欠かせないのが、SDGsの存在です。上記でも紹介したESGとも深く関わっています。

SDGsとは、「2030 年までに持続可能でよりよい世界を目指す」として、2015(平成27)年9月の国連サミットで採択された国際目標です。「Sustainable Development Goals」の頭文字を取ったもので、「持続可能な開発目標」と訳されています。「持続可能な開発のための2030アジェンダ」にはSDGsの具体的な内容を、17のゴールと169のターゲットに分けて記載されています。

SDGsが設定された背景には、2006(平成18)年に国連で定められた、「責任投資原則(PRI 、Principles for Responsible Investment)」が挙げられます。投資家が投資先を決定するにあたって、財務諸表に加えてESG要素も考慮することを原則として掲げるものです。PRIの制定を受けて、「気候変動や天災の影響を考慮した長期的なリスクマネジメントができたうえで、新たな収益の機会を創出した企業(企業経営のサステナビリティ)を評価する」という考え方が、特に機関投資家の間で普及しています。

企業がSX(サステナブル・トランスフォーメーション)を実行するためには、投資家からの投資が必要です。そのためには、企業経営にSDGsの考えを取り込んだうえで、ESGに配慮した取り組みが重要です。

経済産業省はそうした企業をサポートするためにワーキンググループ「SDGs経営/ESG投資研究会」を立ち上げ、2019(令和元)年5月に「SDGs経営ガイド」を発表しています。

まとめ

企業がデジタル・トランスフォーメーション(DX)とSX(サステナブル・トランスフォーメーション)を合わせて取り組むことは、業務効率化だけでなく社会的に意義のあること、企業価値を向上させること、引いては企業の安定した経営につながるという認識を、社内で共有することが大切です。

企業のIR情報に記載することで、「環境に配慮した経営に取り組んでいる会社だ」と投資家に訴求できるうえ、事業報告における各種取り組みのなかで紹介できます。

また20代~30代後半、いわゆるミレニアル世代は社会課題に貢献できる企業を就職先として選ぶ傾向にあるといわれています。ホームページや就活サイト、パンフレットなどで紹介すれば、優秀な人材を採用できるでしょう。

企業イメージ向上のため、企業経営を継続するためにも、SX(サステナブル・トランスフォーメーション)への転換を検討してみましょう。

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