「登記簿謄本」「登記事項証明書」の違い、取得方法や費用は?

ビジネスシーンで、例えば新規取引先と契約を検討する前などに「登記簿謄本(登記事項証明書)の取得が必要だ」という場面もあることでしょう。

最近では「登記簿謄本(登記事項証明書)」は、法務局窓口での取得のほか、オンライン申請もできるようになっています。

そこで今回の記事ではビジネスパーソンに向けて「登記簿謄本のそもそもの役割は?」「登記簿謄本と、登記事項証明書の違いは?」「取得の手続きの詳細は?」といった疑問を紐解き、分かりやすく噛み砕いてお伝えします。

1.登記簿謄本とは?

(1)登記とは?

そもそも「登記」とは、どんな役割を果たしている制度なのでしょうか。ここでは、ビジネスシーンに関係が深い「不動産登記」「商業・法人登記」にポイントを絞って基本的な部分から解説していきます。

①不動産登記

「不動産登記」は、国民の財産である土地や建物について、公の帳簿「登記簿」に記載をすることです。記載する項目は、所在、面積のほか、所有者の住所、氏名など。

これを一般公開することで、権利関係などの状況が誰にでもわかるようにし、取引の安全と円滑を図る役割を果たしています。

②商業・法人登記

「商業・法人登記」は、会社・法人についてその詳細内容を公の帳簿に登録し、権利関係を明らかにするための制度です。
商業登記は、会社(株式会社,合名会社,合資会社,合同会社)等について。
法人登記は、会社以外の様々な法人(一般社団法人・一般財団法人,NPO法人,社会福祉法人等)について。
それぞれの名称や所在地、役員の氏名等を公示する目的を持っています。
会社・法人は、設立時に「登記」をして初めて法人格を得ることができ、基本的な情報を「登記」することによって信用の維持を図ることができます。
そして、取引の安全と円滑に寄与します。
会社・法人運営の実体に即した正しい登記のために、登記申請の際にはその裏付けとなる書類を提出する必要があります。
万が一、虚偽の登記申請を行ったり、登記申請を怠った場合には罰則も定められています。

参考:不動産登記のABC|法務省
http://www.moj.go.jp/MINJI/minji02.html

登記-商業・法人登記-|法務省
http://www.moj.go.jp/MINJI/houjintouki.html

(2)登記簿謄本とは何か

「登記簿謄本」とは、不動産や会社・法人を登記申請した時の内容が記載されている、おおもとの帳簿をまるごと印刷(あるいは、書き出し)したものです。

登記所のコンピューター化に伴って閉鎖された登記簿など、コンピュータで管理されていない登記簿について交付する証明書のことを言います。

・ 1つの登記用紙の全部を書き出したものは「謄本(とうほん)」
・1つの登記用紙の一部だけを書き出したものは「抄本(しょうほん)」

と呼びます。

なお、現在ではすべての登記所がコンピューター化されており、おおもとの帳簿内容を写した「登記簿謄本」を取得すると言うよりは、必要な項目だけを証明書として出力した「登記事項証明書」を取得する場面がほとんどだと言えるでしょう。この点については、詳しくは後述します。

(3)どんな場面で必要なものか

土地・建物に関する「登記事項証明書」は、例えて言うと不動産の「身分証明書」「信用情報」のような役割ですから、不動産売買の際に必要になります。

また、不動産を担保に、どれくらい借入があるかを確認できるため、金融機関などが新たに融資する際の与信判断の資料としても用いられます。
商業・法人に関する「登記事項証明書」も同様に考えて、法人格の「身分証明書」「信用情報」といった役割になります。

よって、例えば新規取引先など、特定の会社についてバックグラウンドを調べたい時にその役割を果たします。

つまり、資本金の額や、組織体系から会社規模を調べる。事業内容の調査。支店の有無、またその所在の確認。不動産登記手続きとの関係で、会社の変遷を知る、といったポイントの把握に繋がります。

あるいは、株式会社が数種類の株式を発行している場合にはその種類・内容についての確認もできます。

参考:登記事項証明書について|勝 司法書士法人
http://www.katsujudicialscribe.com/about1

取引先の信用情報の取得|弁護士法人 阿部・楢原法律事務所
http://abe-narahara.com/service/komonkeiyaku/credit/531/

2.登記簿謄本(抄本)と登記事項証明書の違いは?

前述したように、現在ではすべての登記所がコンピューター化されています。

「登記事項証明書」とは、コンピューター化された登記簿に記録されている事項の全部、または一部を証明した書面のこと。

よって、「登記簿謄本や抄本を取得する必要がある」という場合、現在では基本的に「登記事項証明書」を取得すれば良い、ということになります。

たとえば商業・法人の登記事項証明書には,以下の4種類があります。

取得前にどういった情報を知りたいかを明らかにし、それに即した「登記事項証明書」を取得しましょう。

(1)現在事項証明書

①現に効力を有する登記事項
②会社成立の年月日
③取締役、監査等委員である取締役、会計参与、監査役、代表取締役、特別取締役、委員、執行役、代表執行役及び会計監査人の就任の年月日
④会社の商号及び本店の登記の変更に係る事項で現に効力を有するものの直前のもの

を書面に記載し、認証文を付与したものです。

(2)履歴事項証明書

従来の「登記簿謄本」に相当するものです。

現在事項証明の記載事項に加えて、交付請求した日の3年前の日の属する年の1月1日から請求の日までの間に抹消された事項(職権による登記の更正により抹消する記号を記録された登記事項を除く。)などを書面に記載し、認証文を付与したものです。

(3)閉鎖事項証明書

閉鎖した登記記録に記録されている事項を書面に記載し、認証文を付与したものです。

(4)代表者事項証明書

「資格証明書」に代替する証明書であり、会社の代表者の代表権に関する事項で、現に効力を有する事項を書面に記載し、認証文を付与したものです。

同様に、不動産登記証明書にも、以下の3種類があります。

①全部事項証明書
②現在事項証明書
③閉鎖事項証明書

参考:商業・法人登記 Q&A|法務省
http://www.moj.go.jp/MINJI/minji69.html

オンラインによる登記事項証明書等の交付請求(不動産登記関係)について|法務省
http://www.moj.go.jp/MINJI/minji73.html

3.登記簿謄本(登記事項証明書)の取得方法と費用は?

(1)登記簿謄本請求の手順

商業・法人、そして不動産の「登記簿謄本(登記事項証明書)」の請求方法には、次の4つがあります。

①法務局の窓口で取得

管轄法務局の窓口へ行き、備え付けの請求書に必要事項を記入します。
その場で交付を受けることができます。

②郵送で取得

管轄法務局に、封書で「申請書」「収入印紙(手数料)」「返信用の封筒・切手」を郵送して交付を受け、返信用封筒にて郵送で届けてもらうことができます。

③登記情報交換サービスを利用して、最寄りの法務局窓口で取得

例えば、大阪の土地の登記事項証明書を、東京の窓口で受け取りたいとき。

今はすべての登記所がコンピューター化されていますから、遠隔地にある登記所間において、登記事項証明書の請求を相互にすることができる「登記情報交換サービス」という制度が利用できます。

管轄法務局が「登記情報交換サービス」対象庁の場合には、最寄りの窓口で取得することができます。

登記事項証明書を請求しようとする土地・建物の所在(○市○町○丁目○番地)と地番・家屋番号等をあらかじめ調べておく必要があります。

なお,土地・建物の地番・家屋番号は,いわゆる住居表示と一致しないことが多いので、正しい地番・家屋番号を、「登記済証(いわゆる権利証)」や、登記所備付けの地図、市区町村役場等で確認しておく必要もあります。

④登記簿謄本オンライン請求

管轄法務局がオンライン化に対応している場合には、インターネット経由で請求もできます。

▼不動産登記の電子申請(オンライン申請)について|法務省
http://www.moj.go.jp/MINJI/minji72.html

▼商業・法人登記のオンライン申請について|法務省
http://www.moj.go.jp/MINJI/minji60.html

(2)請求前に準備しておくべきものは?

窓口へ取りに行く際、必要な持ち物は特にありません。認印などは不要です。

ただし、1通につき600円の手数料がかかり、枚数が多い場合はその分、費用もかさみますから、トータルで手数料をいくら支払うことになるのかは事前に確認し、現金を用意しておきましょう。

法務局窓口備え付けの請求書には、請求する不動産(土地・家屋)の所在地番、家屋番号を記載する必要があります。
会社・法人の場合は商号(法人名)、本店を記載します。

この点もあらかじめ権利書等で確認してから窓口へ行きましょう。

(3)登記簿謄本取得の手数料の詳細は?

区分1通あたりの手数料
登記事項証明書(謄抄本)
※1通の枚数が50枚を超える場合、
その超える枚数50枚までごとに100円が加算されます。
書面請求600円
オンライン請求・送付500円
オンライン請求・窓口交付480円

1通あたりの手数料は「オンライン請求・窓口交付」の場合が最も安くなります。

参考:登記手数料について|法務省
http://www.moj.go.jp/MINJI/TESURYO/index.html#01

登記簿謄本(登記事項証明書)はどのように請求すればよいのですか?|新潟地方法務局
http://houmukyoku.moj.go.jp/niigata/table/QandA/all/seikyuu.html

平成23年4月1日からの登記印紙の取扱いについて|法務局
http://houmukyoku.moj.go.jp/homu/inshitoriatukai.html

不動産登記情報交換サービスについて|法務省
http://www.moj.go.jp/MINJI/minji103.html

登記簿謄本(登記事項証明書)を取りに行く場合に必要なものはありますか?|岐阜地方法務局
http://houmukyoku.moj.go.jp/gifu/table/QandA/all/touhon.html

4.法務局窓口のほか、オンライン申請も活用しよう

会社などで一度に大量の登記簿謄本(登記事項証明書)を取得する必要がある場合、窓口申請だと時間も手数料もかさみます。

そういった場合には、オンライン申請を活用するとスムーズかつコストも抑えられます。

今後の記事では、オンライン申請の詳細についてもお伝えします。

Digital Workstyle College 編集部
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