内閣府、規制改革推進会議及び四経済団体、紙・ハンコ・対面を見直しデジタル化を推進する共同宣言を表明

内閣府、規制改革推進会議、日本経済団体連合会、経済同友会、日本商工会議所および新経済連盟は、2020年7月8日「書面、押印、対面」を原則とした制度・慣行・意識の抜本的見直しに向けた共同宣言を表明。

新型コロナウイルスの感染拡大の防止及び予防のため、緊急事態宣言下で社会全体で幅広く実践されたテレワーク、サテライトワーク等の取組を後戻りさせることなく、新しい生活様式・ビジネス様式を拡大・定着させ、デジタル化を推進する必要がある。

新しいビジネス様式の妨げとなっっており社会課題として出てきたのが「書面、押印、対面」を原則とした制度・慣行・意識だ。

これからの顕在化した課題を解決すべく、デジタル技術の積極活用によって社会全体で転換し、時代の要請に即した行政手続・ビジネス様式を速やかに再構築すべきと宣言を出している。

宣言文で明記されている取り組みは、「行政手続の見直しについて」と「民民間の取引における見直しについて」の2つで構成されている。

行政手続きの見直しについて

行政手続きの見直しでの取り組み内容は以下の5つの項目。

(1)新型コロナウイルスの感染拡大への緊急対応
(2)制度的対応
(3)会計手続
(4)地方公共団体における取組
(5)デジタル・ガバメントの推進

注目すべきなのは「(2)制度的対応」だ。

宣言文では「書面主義、押印原則、対面主義を求める全ての行政手続の原則デジタル化に向けて、恒久的な制度的対応として、各府省に対し、年内に見直しの検討を行い法令・告示・通達等の改正を行うよう求める。」と記載があり、暫定的な対応ではなく制度的に対応するとしている。デジタルでの手続きを前提として、ガイドライン等の作成するだけなく必要な法令等の見直しを行うよう求めるという。

民民間の取引における見直しについて

以下の4つの取り組み内容が記載されている。

(1)民間の商慣行等の見直し
(2)押印についての考え方の整理
(3)電子署名等の電子認証の活用の促進
(4)特定分野等における規制・見直し

社内手続きだけでなく、取引関係手続に関しても取引先と協調して、押印廃止や書面の電子化を推進に取り組む。

押印が必要とされる書類については電子署名等の電子認証の活用が有用とし、

「政府がクラウド技術を活用した電子認証サービスの電子署名法における位置づけを明確化したうえで、電子署名等の電子認証の周知、活用が図られるよう取組む。」と記載している。

特定分野等における規制・見直しでは、①不動産関係(重要事項説明書の書面交付等)、②金融関係(顧客と金融機関間の手続の書面・押印等)、③会社法等一般法関係等の3つについて要望が多く、課題の洗い出しと解決に向けた取り組みをするという。

この宣言が出された同日に、政府の経済財政諮問会議は「経済財政運営と改革の基本方針(骨太の方針)」の原案をまとめ、今後1年間を行政デジタル化の集中期間と位置付けた。

2000年に打ち出された「E―ジャパン」構想から20年。取り巻く環境は大きく変わり、国民の一人一台がスマートフォンを持つ時代であり、デジタル化は先進的なことでは無い。

インターネットやスマートフォンがなかった時代に構築された制度・慣行・意識が大きく変わることを期待したい。

参考:書面、押印、対面」を原則とした制度・慣行・意識の抜本的見直しに向けた共同宣言
~デジタル技術の積極活用による行政手続・ビジネス様式の再構築~https://www.doyukai.or.jp/policyproposals/articles/2020/200708_1845.html

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