河野行革相「行政手続きの99%以上で押印を廃止」と発表

2020年11月13日(金)、河野行政改革担当大臣が記者会見にて「民から官への行政手続きにて、認印はすべて廃止。押印の99%以上廃止を決定」と発表しました。

これをきっかけに今後、一気に「ハンコ廃止」の動きが加速していきそうです。

この記事では、その会見の要旨を分かりやすくまとめてお伝えします。

1.「ハンコ廃止」をめぐる昨今の官民の動き

最近のニュースでよく見聞きする通り、「ハンコ廃止」を巡る議論が官民いずれにおいても加速しています。

河野行革相は、2020年10月時点の記者会見において、以下のような要旨を今後の見通しとして語っていました。

・約1万5千の行政手続きのうち、99.247%の手続きで押印を廃止できる

・押印存続の方向で検討するのは1%未満の計111種類

・デジタル庁が発足し、業務がデジタル化された際には電子認証などが導入されるだろう

・自身の在任中は、紙に何かハンコを押すなどの行為が原則で無いようにしたい

また、国内のテック企業が加盟する民間の経済団体「新経済連盟」からは、11月時点で自民党「行政改革推進本部役員会」に対し、デジタル社会化のための規制改革に関する具体的要望事項として、以下のような提言がなされていました。

・「アナログ原則撤廃一括整備法」(アナログ規制の完全撤廃)
・「DX法制局」整備を含め、DXに対応した規制制度の整備(反DXの法令を立案を阻止)
・諸外国並に行政対応コストを削減するための法案策定

参考:「行政手続きの99.247%で押印廃止」河野大臣が明らかに “霞ヶ関の慣行”も|IT media NEWS
https://www.itmedia.co.jp/news/articles/2010/16/news171.html

【プレゼン】自民党「行政改革推進本部役員会」にて、「デジタル社会化のための規制改革に関する要望」について説明しました|新経済連盟
https://jane.or.jp/proposal/theme/12401.html

2.河野大臣記者会見(令和2年11月13日)「押印見直し決定」の要点

前述のような議論が展開される中、2020年11月13日(金)午前に河野行革相は記者会見を開き、「押印廃止」をめぐる決定事項について語りました。

政府の動きや、政府の重要政策については、内閣府大臣官房政府広報室が運営するWebサイト「政府インターネットテレビ」にて動画で視聴することができます。

▼河野大臣記者会見(令和2年11月13日)
https://nettv.gov-online.go.jp/prg/prg21554.html

以下は、その動画から河野大臣が「押印廃止決定」について一体何を語ったのか、発言のポイント部分を書き起こしたものです。

(1)全体の99%以上で押印を見直し

まず、行政手続きにおける押印の見直しで、民間から行政への手続きの中で押印を求めている行政手続きが、添付書類を含めて1万4992種類ありました。

1万4992種類。

このうち1万4909種類、全体の99%以上ですが、1万4909種類については廃止を決定をする、あるいは廃止の方向で準備するということになりました。

本人認証にならない認印は全て廃止ということになります。

存続というのが全部で83の手続きになりました。

83、いずれも印鑑証明が必要なもの、あるいは登録銀行への届け印などであります。

詳細、必要ならば規制改革推進室にお問い合わせをいただきたいと思います。

これで行政手続き、民から間への行政手続きについては一段落いたしましたので、一括法を通常国会に出すような準備をしたいと思います。

また、書面を求めているものについては押印がいらなくなりましたので書面についても、これからしっかり見ていきたいと思います。書面の必要がないものはやめていきたいと思います。

河野行革相が10月中に見解を示していたとおり、約1万5000種類ある民から官への行政手続きにおいて、99%以上「押印廃止決定」となったのです。

上記の発言で語った通り、残る押印手続きは83種類。

印鑑証明が必要なものや、銀行への届け印は残ります。

一方で、本人認証にならない、いわゆる「認印」はすべて廃止の方向となりました。

さらに、会見に出席した記者からは、「押印廃止、その先の動きは?」といった質問が投げかけられました。それに対し、河野行革相は以下のように回答しています。

デジタル化が進んで、電子認証ということになれば、またいろんなことが考えられると思います。

よく考えれば認め印っていうのは個人の確認にはならないということを続けてたわけですから、そこの合理化というのはしっかりやれたと思いますし、書類にハンコを押すという行為がなくなれば、その手続きは次に書面でなくオンラインでできるようになりますんで、もうやりきったということではなくて、いわゆる本丸の手続きをオンラインに移していくということに取り組んでいかなけれならないと思っております。今でも書面で郵送を求めていたりFAXだったり、あるいは対面だったりというものがありますけれども、少なくともこの認印を廃止したものについては、書面対面の必要はないだろうと思いますんで、これのオンライン化に向けて動いている。

全ての手続きを最終的にはオンラインに移していきたいというふうに思っておりますが、少なくともこの認印の押印が必要なくなったものについては、オンライン化を考えることができるというふう思っております

「認印廃止」の先には「書面作成から、オンライン化への移行」があるとも語りました。

(2)警察業務全般のオンライン化

さらに河野行革相は、「警察業務全般のオンライン化」「自動車教習におけるハンコ廃止、オンライン化」についても進展があったと語りました。

二つ目、警察における手続きのデジタル化につきまして小此木国家公安委員長、警察庁のご協力をいただいて、進展をいたしましたのでご報告をいたします。

まず試行的な取り組みとして、道路使用許可などの一部の手続きを対象に、来年度の早い時期からメールなどによる申請を可能とするよう準備を進めてくださることになりました。

多分手続きはもう少しいろいろあると思うんですけどもとりあえずメールで申請を出せるようにしようということです。

警察行政全般のオンライン化についても、早期にできるよう検討をしていただいておりますのでいろんなものが前倒しになるんではないかと期待をしております。

それから運転免許を取得する際、指定の自動車教習所における業務で、私もやりましたけど、ハンコをもらって段階が上がっていくという、そのハンコですとか、卒業証明書修了証書その他にハンコを押している、これについても押印廃止すると同時に、学科教習もオンラインでできる部分というのが相当ありますので、学科教習のオンライン化に向けて関係団体と前向きに調整を進めていただくことになりました。

小此木国家公安委員長および警察庁と、今後もしっかり連携をしてまいりたいと思いますが、早い行動に感謝申し上げたいと思います。

まずはトライアル的に、来年度早々から警察行政手続きにおいて「道路使用許可」などはメール申請可になるようです。

また、自動車教習所のハンコ廃止、オンライン教習導入ということについても述べました。導入時期についてはまだ調整中とのことですが、オンライン受講の体制が整備されれば、受講者の利便性も大きく高まりそうです。

(3)法人地方税の電子申告・電子納付について

そして、「法人地方税の電子申告・電子納付」についても述べました。

法人地方税の申告時期になりますと、それぞれの地方自治体から、独自の様式の申告書納付書が法人に送られておりますが、今もうほぼ会計ソフトで印刷した申告書で提出してそれを自治体が正規の申告書として認めております。

また電子申告が増えておりますので、地方自治体が印刷して郵送する申告書はほとんど使われずに捨てられております。地方自治体職員の手間とか郵送コスト印刷コストを考えれば、かなり無駄なことが全国で行われておりますので、総務省から地方自治体向けにこの申告書を送付する事務の見直しについて周知していただくことになりました。

電子申告が義務付けられている大きな法人、これ資本金1億円以上ですね。それからもうすでに前年に電子申告しているそれ以外の法人に対しては、送付をする必要がそもそもありません。それ以外ところも含め、申告書の送付、事務、それから納付書についても、電子納付が進めば、これも要らなくなります。

総務省において、この電子納付のシステムの利便性の向上、それから電子納付システムの周知、これもやっていただくことにいたしました。

今後は「法人地方税の申告」についても電子申告・電子納付の周知・推進をしていくと語りました。

3.国の動きに先んじて「ハンコ廃止」を実現した茨城県庁の今はどうなのか

河野行革相が会見で語ったポイントは

・行政手続きの99%以上で認印廃止

・警察行政においてもトライアル的にオンライン化、ハンコ廃止

・法人地方税の電子申告の周知・推進

といった点ですが、これを知って「今まで多くの場面で必要だったハンコを一気に99%以上も廃止して、本当に大丈夫?」といった感想を持つ方も中にはいらっしゃるかもしれません。

行政における具体的な「ハンコ廃止」事例として、実は茨城県庁では国の動きに先んじて2年前から「ハンコ廃止」を実現しています。

2018年に、電子決裁率99.1%で話題を集め、2020年8月末時点でその比率は99.97%にまで上昇。

実際に電子決済を導入してみると、メリットのほうが大きいと感じているようで、その比率が上昇していると見られます。

具体的なメリットとしては、以下の4点が挙げられます。

・過去に起案した文書を再利用しやすい

・過去に作成した文書の検索性が向上

・テレワークや出張時など、決裁者が庁内に居なくても決裁が可能

・書類を持ち回りして、決裁を求める手間をカット

業務スピードもアップし、業務上の弊害や課題などは今のところ特にない、と職員は語っているとのことです。

参考:「電子決裁率」ほぼ100%を2年前に達成した茨城県庁の今…担当者に聞いた“脱ハンコ”4つのメリット|FNNプライムオンライン
https://www.fnn.jp/articles/-/91041

4.今後もDXをめぐる政府の動き・法改正に要注目

確定申告や労働基準法関連の届出をはじめ、既にオンライン化が進んでいる行政手続きはいくつか見られますが、2020年11月13日の河野行革相の記者会見をきっかけとして、今後はハンコ省略、および、オンライン化がますます進んでいきそうです。

所定の書式をダウンロードして紙にプリントアウトし、記入して押印する一連のプロセス自体が変わることで、行政手続きが多い職種などでは業務のスピードアップ、効率化を期待できるでしょう。

今後もDXをめぐる政府の動きや法改正に要注目です。

Digital Workstyle College 編集部
この記事を書いた人