「電子定款」のメリットとは?会社設立登記が24時間以内に完結するケースも

これから法人を設立しようとする方は、「定款」を作成し、公証人の認証を受ける手続きが必須です。

この記事では、「定款とは何か?」「なぜ、認証を受ける必要があるのか?」という基本から解説をしていきます。

そして昨今では、ペーパーレス化された「電子定款」を作成し、認証を受けることも可能になっています。

さらには、「電子定款」を活用することで法人設立登記がスピーディーになるというメリットもあります。そのようなメリットの一方で「電子定款」を作成する際の留意点についても述べていきます。

1.定款とは?

(1)「定款」とは何か?

これから法人を設立しようとする方は、「定款」の作成、および公証人による認証が必須です。

「定款」とは、法人の目的、組織、活動に関する根本的な規則を定めたものです。

それらの規則一式を、書面、もしくは、電磁的記録に記載・記録したものを指す場合もあります。

「定款」は、会社、公益法人、社団法人、財団法人、各種協同組合などの法人で作成が必須です。

ただし、合名会社・合資会社・合同会社の「定款」については、公証人の認証を必要としません。

(2)「定款」は公証人による認証が必要である。その理由とは?

「定款」とは会社発起人らが作成するものですが、ただ自社内で作成して、重要文書として保管しているだけではなく、作成後に「公証人役場」へ出向いて「公証人」による「認証」を受ける必要があります。

その理由は、正当な手続きにより定款が作成されたことを証明するためです。

●発起人が設立当初の定款を作成したこと

●その内容の明確性を確保し、後日紛争になったときにその内容を確実に証明し、不正行為を防止すること

上記を「認証」してもらう必要があるのです。

公証人の認証を受ける必要があるのは、設立当初の定款だけで、その後定款を変更するときは必要ありません。

参考:定款認証|日本公証人連合会
https://www.koshonin.gr.jp/business/b07_4

2.電子定款とは 電子定款のメリット・デメリット

(1)電子定款とは

昨今では、「定款」の文書を記録したPDFファイルを公証人宛に提出して、「認証」を受けることができるようになっています。これを「電子定款」と言います。

(2)電子定款のメリット

まず、印紙代4万円分を節税できます。

紙で定款を作成して提出する場合には、印紙代4万円+定款認証代5万円がかかります。

一方、「電子定款」の場合、印紙を貼る必要がありません。

そのため、コストを大幅にカットすることにつながります。

そして、詳しくは後述しますが、認証を受けた「電子定款」を添付してオンラインで法人設立の登記申請をすれば、格段にスピーディーに手続きが完了します。

(3)電子定款作成時の注意点

注意すべき点のひとつは、一度電子申請したものを、内容訂正・再申請する際に手間がかかることです。

もし一回目の提出後に再申請を重ねた場合、「定款認証代5万円」を再度支払うことにもなりかねません。

会社発起人が一度「定款」の内容を作成したら、一度最寄りの「公証人役場」や「法務局」へ出向いて内容を事前にチェックしてもらうなど、申請前の準備は入念に行いましょう。

また、もうひとつの注意点は、インターネット上ですべての手続が完結するわけではない点です。認証を受けた「電子定款」のデータは、依頼した「公証人役場」へ出向いて受け取る必要があります。

参考:電子定款の作り方・認証の流れを徹底解説|Money Forward会社設立
https://biz.moneyforward.com/establish/basic/158/

3.「電子定款」作成の手順

「電子定款」作成の手順は次のとおりです。

①認証を受ける「定款」をPDFファイルでを作成し電子署名をする

②法務省が運営する「登記・供託オンライン申請システム」を経由して、①で作成した「電子定款」を添付ファイルとして電子公証を申請

③公証人がシステム経由で送られてきた①の文書に電子公証をするので、その後、嘱託・請求したデータを公証人役場へ出向いて受け取る。

※受け取りの際には。以下のものが必要です

●認証した電子定款データを保存するための電子媒体(フロッピーディスク又はCD-R、CD-RW、DVD-R又はUSBメモリ)

●電子署名した人以外の人が出向く場合には、電子署名した人の実印を押捺した委任状と印鑑登録証明書(電子署名した人のもの、発行から3か月以内)、または、電子文書に署名した人の電子署名を付した電子委任状(公証人に電子メール等で送付してください)

●定款作成代理人が電子署名した場合は、発起人から定款作成代理人への実印を押捺した委任状と発起人の印鑑登録証明書(この場合、委任状には定款本文を印刷したものを添付する必要あり)

●公証人役場に出向く人の本人確認資料(写真付き公的証明書、または、印鑑登録証明書+実印)

4.完全オンライン申請による法人設立登記の「24時間以内処理」を開始

認証を受けた「電子定款」が手元にあれば、一人株式会社(本人が申請する場合、あるいは、発起人が1人でその者が代表者となり、他に役員が居ない場合)の登記申請が完全オンラインで完結し、スムーズかつスピーディーになります。

「マインバーカード」を使えば、申請書情報、および、すべての添付書面情報に必要な電子署名を付与できます。

必要な添付書面を管轄の法務局に別途持参することなく、設立登記を完全オンラインで申請することができます。

会社設立の登記申請にも「登記・供託オンライン申請システム」を利用します。このシステムの利用時間は、月曜日から金曜日(祝日、年末年始12月29日~1月3日を除く)の8時30分から21時までです。法務局の窓口が開いている時間より長い時間利用できますので、申請作業に着手できる時間の幅も広がりますし、窓口へ出向く時間や待ち時間もカットできるというメリットがあります。

「登記・供託オンライン申請システム」を通した登記申請は、大まかに言うと下記のような流れになっています。

①パソコンの利用環境を整える

②申請用総合ソフトのダウンロード

③申請者情報の作成

④添付書面のアップロード

⑤電子署名の付与

⑥申請データの送信

⑦到達・受付

⑧インターネットバンキングなどで登録免許税を納付

⑨手続き終了

これまでは、①〜⑨までのフローの完結に「最短3日」が目安でした。

しかし、令和2年3月17日(火)から,以下の条件を満たす設立登記の申請を対象に、「24時間以内処理」が適用されることになります。

●役員等が5人以内:

 株式会社の場合は設立時役員等(設立時取締役、設立時会計参与、設立時監査役及び設立時会計監査人)が5人以内。

 合同会社の場合は業務執行社員が5人以内

● 添付書面情報(定款、発起人の同意書、就任承諾書など)が全てPDFファイルにより作成され、申請書情報と併せて送信されていること(完全オンライン申請)

※オンライン申請であっても、添付書面を登記所に持参・送付する場合は「24時間以内処理」の対象となりません。

● 登録免許税の納付は収入印紙ではなく、電子納付を利用すること

※電子納付が遅れると登記完了が遅くなる可能性があります。

● 補正がないこと

参考:

一人会社の設立登記申請は完全オンライン申請がおすすめです!|法務省
http://www.moj.go.jp/MINJI/minji06_00117.html

完全オンライン申請による法人設立登記の「24時間以内処理」を開始します|法務省
http://www.moj.go.jp/MINJI/minji06_00006.html

4.「電子定款」の活用で、会社設立が格段にスピーディーに

国のデジタル改革推進により、「電子定款」の認証を正しく受けていれば、令和2年3月17日以降、24時間以内に会社設立手続きが完結するケースも出てくることになりました。

これまで法務局や公証人役場へ何度も出向き、時間をかけて定款の作成・認証・登記申請を行っていた流れが、格段にスピーディーになることが期待できます。

これから法人を設立しようとする方は、ぜひ、「電子定款」を活用してみてください。

Digital Workstyle College 編集部
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