「36協定届」や「就業規則の届出」など「労働基準法等の届出等」の電子申請について解説

行政関係の「手続」「届出」「申請」などは、窓口へ足を運んで、さらに待ち時間や手数料もかかるなど、煩わしいイメージを持っている方も多いかもしれません。

しかし昨今、さまざまな手続きがインターネット経由での「電子申請」に対応しています。

「36協定届」「就業規則の届出」など、「労働基準法等の届出等」もそのひとつです。

そこで今回の記事では、ビジネスパーソンに向けて「労働基準法などの届出」の電子申請について、その対象となる種類や、メリットを解説します。

1.「労働基準法等の届出等」の電子申請とは?

「36協定届」「就業規則の届出」をはじめとする労働基準法等の届出等は現在、インターネット経由での「電子申請」に対応しています。つまり、労働基準監督署の窓口に行かなくても、届出を完了できるようになっています。

「36協定」は、法定労働時間(1日8時間、週40時間)を超える時間外労働や法定休日(毎週少なくとも1回)に労働を行わせるためには、従業員との間で締結し、労働基準監督署長に届け出る必要があります。この締結・届出をしていない残業は、法違反となってしまいます。

また、「就業規則」は、常時10人以上の労働者(正社員、契約社員、アルバイト、パートタイマーすべてを含む)を使用する使用者に、作成義務が労働基準法で課せられています。

決められた事項を記載して、所轄労働基準監督署に届け出なければならないと規定されており、この作成義務に違反すると30万円以下の罰金が科されます。

また、「就業規則」を変更する際にも労働基準監督署へ届出をする必要があります。

労働基準監督署の窓口とは、特に年度末の3月、年度初めの4月ごろには大変、混雑するものです。

昨今の新型コロナウイルス感染拡大防止の観点から、厚生労働省は、窓口での人との接触・混雑を回避できる「電子申請」を強く推奨しているのです。

参考:厚労省36協定パンフ|厚生労働省
https://jsite.mhlw.go.jp/miyagi-roudoukyoku/content/contents/000398468.pdf

就業規則作成・見直しのポイント|全国社会保険労務士連合会
https://www.mhlw.go.jp/bunya/roudoukijun/roudoukeiyaku01/dl/15.pdf

労働基準法等の規定に基づく届出等の電子申請について|厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000184033.html

36協定の締結・届出のポイント|厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/new-info/kobetu/roudou/gyousei/kantoku/dl/170307-1.pdf

2.対象となる申請は?

時間外・休日労働
1時間外労働・休日労働に関する協定届(各事業場単位による届出)(一般条項のみ)
2時間外労働・休日労働に関する協定届(各事業場単位による届出)(特別条項付き)
3時間外労働・休日労働に関する協定届(各事業場単位による届出)(研究開発)
4時間外労働・休日労働に関する協定届(各事業場単位による届出)(適用猶予)
5時間外労働・休日労働に関する協定届(事業場外労働に関する協定付記)(適用猶予)
6(※)時間外労働・休日労働に関する協定届(各事業場単位による届出)
7時間外労働・休日労働に関する協定届(本社一括届)(特別条項付き)
8時間外労働・休日労働に関する協定届(本社一括届)(特別条項付き)
9時間外労働・休日労働に関する協定届(本社一括届)(研究開発)
10時間外労働・休日労働に関する協定届(本社一括届)(適用猶予)
11(※)時間外労働・休日労働に関する協定届(本社一括届)
12時間外労働・休日労働に関する労使委員会の決議届
13時間外労働・休日労働に関する労働時間等設定改善委員会の決議届
14非常災害等の理由による労働時間延長・休日労働許可申請
15非常災害等の理由による労働時間延長・休日労働届
※ 中小企業の36協定であって、令和2年3月31日を含む期間について定めた36協定については、 項番6もしくは11の手続を利用
就業規則
1就業規則(変更)届(各事業場単位による届出)
2就業規則(変更)届(本社一括届出)
変形労働時間制
11年単位の変形労働時間制に関する協定届
21ヶ月単位の変形労働時間制に関する協定届
3清算期間が1ヶ月を超えるフレックスタイム制に関する協定届
41週間単位の非定型的変形労働時間制に関する協定届
事業場外労働、裁量労働制
1事業場外労働に関する協定届
2専門業務型裁量労働制に関する協定届
3企画業務型裁量労働制に関する決議届
4企画業務型裁量労働制に関する報告
休憩や労働時間などに関する適用除外
1休憩自由利用除外許可申請
2監視・断続的労働に従事する者に対する適用除外許可申請
3断続的な宿直又は日直勤務許可申請
4高度プロフェッショナル制度に関する決議届
5高度プロフェッショナル制度に関する報告
賃金、貯蓄金
1最低賃金の減額特例許可の申請
2貯蓄金管理協定の届出
3預金管理状況報告
4預金管理状況報告(本社一括届)
5事実上の倒産認定申請
6未払賃金額等の確認申請
解雇
1解雇制限除外認定申請
2解雇予告除外認定申請
児童・年少者
1児童の使用許可申請
2年少者に係る深夜業時間延長許可申請
3帰郷旅費支給除外認定申請
寄宿舎
1寄宿舎規則(変更)届
2事業場附属寄宿舎設置・移転・変更届
3寄宿舎内での事故発生報告
4寄宿舎内での労働者死亡又は休業日数4日以上の休業の報告
5寄宿舎内での労働者の休業日数4日未満の休業の報告
6事業附属寄宿舎規程第36条による適用特例許可申請
7事業附属寄宿舎規程第2章適用除外許可申請
8建設業附属寄宿舎設置・移転・変更届
その他
1集団入坑の場合の時間計算特例許可申請
2適用事業報告
3職業訓練に関する特例許可申請
4審査及び仲裁の手続の申立て(労働基準監督署)(審査請求・労災)
5休業補償及び障害補償の例外認定の届出

3.電子申請のメリットは?

まず、いつでもどこでも手続き可能な点が挙げられます。労働基準監督署の窓口へたびたび足を運ぶ必要がなくなり、会社からでも自宅からでも、パソコンとインターネットを活用して届出ができます。

窓口での対面・混雑を回避でき、時間短縮にもつながりますし、感染症防止の観点でもメリットがあると言えます。

書類作成・申請の際には、インターネット上に表示されるフォームに必要事項を入力し、電子署名を付してクリックするだけで手続ができます。

作成頻度の多い書類であれば、以前に作成したデータの読み込み機能もありますので、大量書類の作成もスピーディーに処理できます。

また、電子署名の付与に関してはマイナンバーカードや住基カードを使えば、電子署名を新たに取得する手間や費用がかからりません。

なお、マイナンバーカードや住基カードを利用する際には「ICカードリーダライタ」の準備が別途必要です。

参考:「36協定届」や「就業規則の届出」などの労働基準法の届出などはすべて電子申請が可能です|厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/content/11200000/000609355.pdf

4.どのように電子申請を行うのか

電子申請を行う際には、日本政府の行政ポータルサイト「e-Gov」にアクセスし、「e-Gov電子申請」というメニューを利用します。

「e-Gov電子申請システム」では、金融庁、経産省、国土交通省など各府省が所管する様々な行政手続について申請・届出を行うことができます。複数の府省へ申請・届出を行う際など、e-Gov電子申請システムを利用すると、まとめて申請・届出を行うことができ、便利です。

特に、この記事で述べたような厚生労働省所管の届出は、「e-Gov電子申請」に対応しているものが圧倒的に多く見られます。

「e-Gov電子申請システム」を利用した電子申請受付件数は年々、増加しており、内閣府を中心に「電子政府」の推進に取り組んでいる、と発表されています。

参考:電子政府の総合窓口e-GOv
https://www.e-gov.go.jp/

5.まとめ

今や、行政関連の様々な手続きも「電子申請」への対応が進んでいます。

新型コロナウイルス感染防止の観点から、日頃の業務はリモートワーク中心、非対面中心で進めている企業も多く、かつてない速度でデジタルトランスフォーメーションが進行している仕事の現場も多いことでしょう。

「行政の窓口へ行って手続きをする」ということも電子化、ペーパーレス化が進んでいますので、必要な場面でぜひ活用してみてください。

Digital Workstyle College 編集部
この記事を書いた人