雇用形態によって入社手続き方法はどう変わる?

同じ企業で働く人であっても、雇用形態が異なる場合は、入社手続き方法も異なります。今回は、企業における代表的な雇用形態と、それぞれの入社手続き方法について見ていきましょう。

雇用形態の種類

企業で働く人たちには、さまざま雇用形態がありますが、ここでは代表的な5つの雇用形態について解説いたします。

(1)正社員

期間の定めのない(一般的には雇用されてから、その企業で定められた定年退職の年齢まで)労働契約で会社に雇用されているのが正社員です。

規模の大きな企業は、採用時に以下のような区分を用いることもあります。

・居住地の変更を伴う異動(転勤)があり、管理職への登用を前提とした「総合職」
・居住地の変更を伴う異動はなく、定型的・補助的な業務を行う「一般職」

正規雇用で、期間の定めがないため、労働契約で守られていますが、その分人事権が強く、転勤や異動の拒否などは基本的にできません。

近年は、一般職から総合職へコースを変更したり、転勤のない「エリア総合職」などの登場により、その区分は流動的かつ曖昧になってきています。

(2)契約社員

非正規雇用の一形態として3ヶ月~1年程度の期間の定めのある労働契約(有期労働契約)で企業に雇用されているのが契約社員です。

一見、派遣社員とよく似ているのですが、契約社員はその企業に直接雇用されているところが異なります。

契約社員の期間中の社会保険や通勤手当などの処遇は、正社員と遜色ない待遇であることが多いです。(賞与や退職金については少ない、あるいは無いことがほとんど)

契約社員は、2013年の労働契約法改正により、5年を超えて新たに契約更新することができなくなりました。契約期間が5年を迎える場合は、以下のいずれかの契約内容の変更をおこなうことになります。

・雇い止め(契約の終了)
・無期契約の契約社員(処遇条件変更あり/なし)契約の更新はなくなるが、仕事内容などは一緒
・正社員(一般職/総合職)正社員と同様の処遇・待遇に変更

(3)パートタイム労働者・アルバイト

契約社員と同様、期間の定めのある労働契約(有期労働契約)で企業に雇用されているのが、パートタイム労働者・アルバイトです。

労働法的には契約社員とパートタイム労働者・アルバイトの区分はなく、あくまで非正規雇用の一形態となっていますが、企業によってその区分や待遇は異なることがあります。

主な違いは、労働時間が正社員や契約社員よりも短かったり、出勤日数が少なかったり、給与体系が時給制であることが多いなど、労働時間や契約期間が異なる点です。

(4)派遣社員

派遣社員とは、人材派遣会社と雇用契約を結んだ上で、他の企業に派遣される社員のことです。つまり、派遣社員の雇用元はあくまで人材派遣会社にあり、実際に働いている企業ではありません。

これが、正社員・契約社員・パートタイム労働者・アルバイトとの大きな違いです。

企業が必要な期間、人材派遣会社から派遣されて働くという就労形態なので、その契約期間は派遣社員ごとに異なります。

2015年の改正労働者派遣法により、同一の組織単位における最大の派遣年数は3年と定められており、それ以降は人材派遣会社において、以下のいずれかの対応をおこなわなければなりません。

・派遣先への直接雇用の依頼(派遣先が同意すれば、派遣先の社員となります)
・新たな派遣先の提供(その条件が派遣で働く方の能力、経験等に照らして合理的なものに限ります)
・派遣会社での派遣労働者以外としての無期雇用
・その他雇用の安定を図るための措置(紹介予定派遣の対象となること等)

引用:厚生労働省 平成27年9月30日施行の改正労働者派遣法に関するQ&A
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000111089_00001.html

派遣社員は、派遣先の企業を選ぶことで、勤務日数や休日など労働形態を決められる反面、交通費が発生しなかったり、同一労働をおこなっていてる派遣先社員との待遇格差など不公平な点があります。

そこで、2020年4月より派遣法が改正され、派遣社員の「同一労働同一賃金」を確保することが企業の規模を問わず義務化されました。

(5)業務委託

アウトソーシングとも呼ばれる業務委託は、企業が自身でおこなっていた業務を、独立した外部組織(子会社や協力会社、業務請負・人材派遣会社)や個人に委託する契約のことです。

(1)~(4)とは異なり、委託元と委託先に雇用契約は存在しません。業務内容を委託する側(委託元)と、委託される側(委託先)の間で業務委託契約を締結します。

ハードやソフト、ネットワーク製品などのIT関連にまつわるシステム開発や保守・運用管理サービス、アプリケーションの構築サービスなどが業務委託契約が締結される主な業務です。

最近では、経理や人事といった専門かが必要なバックオフィス業務も外注する企業も増えており、場合によっては、委託元に席を設けて常駐することもあります。

雇用形態ごとの入社手続きの違い

同じ企業で働く人でも、雇用形態によって入社にまつわる手続きは異なります。

代表的な例を以下の表にまとめました。

(※1)派遣社員と業務委託については、
A社にてB社の派遣社員が働く場合はA社:派遣先 B社:派遣元(人材派遣会社)
A社にてB社の社員が業務委託契約によって働く場合は A社:委託元(業務委託する方) B社:委託先(業務委託される方)となります。

(※2)パートタイム労働者・アルバイトが社会保険に加入するためには以下の要件を満たす必要があります。
①1週の所定労働時間が20時間以上であること
②1年以上の雇用期間が見込まれること
③月額賃金が8.8万円以上(年収106万円以上)であること
④学生でないこと
⑤厚生年金保険の被保険者数が常時501人以上の法人・個人の適用事業所、および国または地方公共団体に属する全ての適用事業所に勤めていること

引用:日本年金機構 厚生年金保険 適用事業所と被保険者
https://www.nenkin.go.jp/service/kounen/jigyosho-hiho/jigyosho/20150518.html

(※3) パートタイム労働者・アルバイトが雇用保険に加入するためには以下の要件を満たす必要があります。
なお、5人未満の労働者を使用する個人経営の農林水産一部は、雇用保険の強制適用事業所から除かれています。

①31日以上引き続き雇用されることが見込まれる者であること。
②1週間の所定労働時間が 20 時間以上であること。

引用:厚生労働省 雇用保険制度Q&A~事業主の皆様へ~https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000140565.html

(※4) パートタイム労働者・アルバイトが健康診断を受ける基準は以下の通りです。
①契約期間が1年以上(深夜業を含む業務等の特定業務(労働安全衛生規則第 13 条第1項第2号の業務)に従事する場合には6か月以上)である者、契約更新により1年以上使用されることが予定されている者、1年以上引き続き使用されている者
②1週間の労働時間数(所定労働時間)がその事業場において同種の業務に従事する通常の労働者の4分の3以上であること。(所定労働時間が通常の労働者の4分の3未満であっても概ね2分の1以上であれば一般健康診断を実施することが望ましいものとされています。) 

引用:厚生労働省 パートタイム労働指針の概要 
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11900000-Koyoukintoujidoukateikyoku/file/06-Seisakujouhou-11900000-Koyoukintou/part/pamphlet/0000143954.pdf

まとめ

同じ企業で働く方であっても、その雇用形態にはさまざまであること、そして、雇用形態によっては入社時の手続きが異なることをご確認いただけたでしょうか。

労働契約法、雇用保険法や労働安全衛生法など、入社手続きについては、その企業だけでなく法律によって定められたものもあります。働き方改革により、法改正がおこなわれている分野なので、知識のブラッシュアップも欠かせません。

いずれの雇用形態であっても、スムーズに業務を開始できるように準備しておくことが、働く人の意欲を高め、ひいては企業の生産性を上げるためには重要です。

担当者の方は、自社で必要な手続きと対応について一覧にまとめるなどして、必要な手続きをもらさないようにしましょう。

Digital Workstyle College 編集部
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