なぜ、法律は必要なの?

なぜ法律が必要か、考えたことがあるでしょうか。私たちのに生活は、たくさんの法律によって守られています。私たちも「法律を破ってはならない」と分かっていて、法律を守って生活しています。法を犯してはならないのに、法律とは何で、法律がなぜ必要なのかということは、誰も教えてくれません。私たちは、法律についての正しい知識を持たないまま、なんとなく理解したつもりになって、生活しているのです。ここでは、法律の基本的な内容について説明していきます。

法律とは?

法律は、国家による国民に対するルールです。社会秩序を守り、国民の生活をより豊かにするために存在しています。法律は「六法」と言われる、「憲法」「民法」「刑法」「商法」「民事訴訟法」「刑事訴訟法」に分けられます。

憲法と法律の違い

法律は「憲法」を含む六法から成ると説明しましたが、憲法は厳密には法律とは異なります。憲法と法律の違いを簡単にいうと、憲法は民のための法、法律は国のための法、ということです。

国家権力が国民を律するものである法律に対し、憲法とは、国民の権利と自由を守るため、国家権力を制限するためのルールです。憲法は国の最高法規であり、法律の上位に位置します。そのため法律は、憲法で定められた内容に沿ったものでなければなりません。現在の日本の憲法である日本国憲法は「基本的人権の尊重」「平和主義」「国民主権」を三原則に掲げています。

「国民主権」とは、国民が国の政治の主権者であり、憲法を制定する権力は国民にある、という概念です。選挙で国会議員を選出し、民意を反映するという点で、国民は政治に参加しているといえます。

憲法は生活していくうえであまり意識することはありませんが、法律で国民の権利・自由を制限する国家権力に対して力を発揮し、間接的に私たちの生活を守っているのです。

民法と刑法の違い

民法や刑法の名前を聞いたことがある人は多いと思います。民法は個人間の関係を規律する法律で、刑法は犯罪と刑罰について定めた法律です。

民法は、代金を払って商品を購入する売買契約や、夫婦間の権利、相続、交通事故の損害賠償問題など、ビジネスや個人間における法律関係を規定しています。民法による訴訟が民事訴訟、民法による裁判が民事裁判です。裁判を起こした側を「原告」、起こされた側を「被告」といいます。民事裁判の主体は個人であるため、裁判を行うかどうかは任意であり、訴訟に至っても途中で和解し解決するケースも多くあります。

一方の刑法は、犯罪を犯した人に対して国家が刑罰を与えるための法律です。殺人罪や傷害罪、窃盗罪、器物損壊罪などがこれに該当します。容疑をかけられると「被疑者」と呼ばれ、検察官により起訴され刑事裁判にかけられると「被告人」と呼び方が変わります。ちなみに「容疑者」とは、マスコミなどの報道機関における被疑者の呼び方です。「被疑者」の発音が「被害者」と似ているため区別するためにこのように呼ばれているとされています。

日本の刑法には「日本国内において罪を犯したすべての者に適用する」と定められています。これは外国人が日本で罪を犯した場合はもちろん、日本国内としてみなされる日本船舶や日本航空機内において犯罪を犯した場合にも適用されるのです。また、日本人が海外で窃盗や詐欺をはたらいた場合も、日本の刑法で処罰されます。さらにいうと、海外で日本人が強盗に遭った場合は、犯人が外国人であっても日本の刑法が適用されるのです。

民法と刑法は、次元の違う法律です。たとえば詐欺の場合、刑法と民法の両方に規定が存在します。刑法では、国が加害者に刑罰権を有しますが、詐取したものを被害者に返さなければならないという規定はありません。これは刑法が国家の刑罰権等について定めだものであるためです。詐取されたものを取り返すための権利については、民法で定めています。もちろん民法と刑法に優先順位はありません。

商法とは

商法は民法の特別法です。民法も商法も私人間の規律を定めていますが、時代とともに複雑になっていく社会問題に対応すべく定められたのがこの商法です。商人間の取引では商法が適用され、そうでない友人などとの取引の場合では民法が適用されます。

「特別法は一般法に優先する」という原則があります。民法は基本的には一般法であるため、商法は民法より優先されるということになります。しかしすべての事項に特別法があるわけではないため、商法に定めがない場合は民法に立ち戻ることとされています。

さらに商法には、会社法という特別法があります。商法が会社に限らず、個人の商業行為に関する基本的な法律であるのに対し、会社法は会社に関する法律です。商法の中から、会社に関することが描かれた内容を切り離し、現状に合うよう改良されています。特別法が優先される原則に則り、会社法、商法、民法、という順番で優先されます。

民事訴訟法とは

民事訴訟法は、その名の通り民事訴訟について定めた法律です。民事訴訟は個人間のトラブルを訴訟し裁判所で解決する行為で、「給付」「確認」「形成」の3つの訴えがあります。

給付とは、被告が自らの義務の履行としてなす行為を指します。例えば、売買代金の支払いを求める訴えや、騒音を出さないように求める訴えなどが、給付の訴えにあたります。現在裁判所に提起される訴えの多くが給付の訴えです。

確認の訴えは、特定の権利や義務、法律関係の有無の確認を求める訴えのことです。売買代金支払い義務の存在や、親子関係の不存在などがこれにあたります。相手に給付を求める以前の、権利の有無を確認するためのものであるため、紛争を予防する機能があるとされています。

形成の訴えとは、既存の法律関係を変動させる法律要件を主張し、その変動を宣言する判決を求める訴えのことです。たとえば、民法で定められている離婚原因を主張して離婚判決を求める訴えや、会社役員の解任を求める訴えなどがこれにあたります。

刑事訴訟法とは

刑事訴訟法には、犯罪を犯した人に刑罰を与える手順が記載されています。たとえば、逮捕するにはあらかじめ逮捕状を発行しておく必要があることや、現行犯の場合は逮捕状は不要であるといった逮捕のための条件や、被告人には黙秘権があるなどの被告人の権利についての記載があります。

法律が必要とされる理由

ここまで六法について説明してきました。実際にはそれ以外にもたくさんの法律が存在し、日本には現在約2000もの法律があります。ではなぜ、法律が必要なのでしょうか。法律がなかった場合を考えてみましょう。

身近な「道路交通法」について考えてみます。道路交通法は、車両の運転者や歩行者が、道路で守るべきルールを定めており、「道路における危険を防止し、その他交通の安全と円滑を図り、及び道路の交通に起因する障害の防止に資すること」を目的としています。道路交通法がないと、どうなってしまうのでしょうか。ただでさえ少なくない交通事故ですが、道路交通法が無くなってしまうと、信号無視やスピードを出すことが当たり前になり、より危険と隣り合わせの生活になってしまうでしょう。

また刑法では、殺人や窃盗を犯罪として明記しています。これらは私たちが「やってはいけないこと」と当たり前に認識し自制できるものですが、法律として犯罪を明記することで、犯罪とそうでないものを区別しているのです。この区別があることで、私たちは日々活動できているといえます。

まとめ

六法を中心に、法律の基本的な部分について見てきました。法律というと、なじみのない人は複雑で難しいものと感じるかもしれません。しかし実は私たちが当たり前だと思っていることについても多く記載されています。それに、法律のすべてを知っておく必要はありません。個人間で問題が発生した場合や、会社を設立しようとする場合など、必要な時に必要な法律について、少しずつ理解を深めていけるとよいですね。

参考:
・憲法と法律はここが違う②- 憲法の役割|日本国憲法の基礎知識 -憲法の試験対策などにも-
https://kenpou-jp.norio-de.com/kenpou-houritu-2/

・知ってて当然!「憲法」と「法律」の違い|スッキリ
https://gimon-sukkiri.jp/constitution-legislation/

・そうだったのか。「民法」と「刑法」の違い|スッキリ
https://gimon-sukkiri.jp/civillaw-criminallaw/

・日本の法律の基礎である「六法」とは何か?「六法」の基本入門|「公務員」の高みを目指すための情報サイト「公務員総研」
https://koumu.in/articles/556

・A. 訴訟の開始 ~ 訴えの提起|民事訴訟法講義ノート
https://eu-info.jp/CPL/2-3types.html

・民法と刑法|法律BLOG ローテキスト
https://law-text.com/civil-law/civillawwhole/677/

・はじめて法務担当となった方に向けた民法の基礎|BUSINESS LAWYERS(ビジネスロイヤーズ)- 実務に役立つ企業法務ポータル
https://www.businesslawyers.jp/practices/1031

Digital Workstyle College 編集部
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