正しく知ろう!法律ができるまでプロセスと、国民の意見を表明する権利

私たちの日常生活や、企業活動にも密接に関わる法律。現行の法律の中には「デジタル化」「脱・はんこ」の議論に見られるように、「法律が社会の実態に追いついていないのでは?」と、どこかもどかしく思ってしまう場面もあります。

しかし、本メディアで以前に取り上げた「電子帳簿保存法 」のように、実際には法律とは企業や社会の声を聞きながら、国民の生活実態に合わせてアップデートが実施されているものです。

そこで今回はビジネスパーソンに向けて、法律ができるまでのプロセスを解説いたします。

1.国会の仕組み

(1)三権分立と国会

[図1]三権分立

参考:国会のしくみと法律ができるまで!:参議院キッズページ
https://www.sangiin.go.jp/japanese/kids/main/side_b/01/index.html

[図1]で示したとおり、「国会=立法権」「内閣=行政権」「裁判所=司法権」をそれぞれ担っています。

つまり、立法機関は「国会」であり、国民によって選挙で選ばれた議員がここで審議・採決を執り行うことによって法律ができる、というわけです。

内閣はその法律に則って、行政を執り行います。

ここで重要な考え方が「三権分立」です。立法権、行政権、司法権それぞれの権力を持つ各機関のうち、どこか一つが暴走して国民の自由や権利を損なうことがないよう、互いに監視・抑制し合って権力の均衡を図っています。

具体的には、「国会」は「内閣」に対し、内閣総理大臣の指名および、内閣不信任決議を発動することができます。

「内閣」は「国会」に対し、衆議院の解散権、国会の招集権を持ち、また、国会に対する連帯責任を負うことになっています。

また、「裁判所」は「国会」に対し、違憲立法審査権、そして「内閣」に対しても処分・命令などの違憲審査権を持っています。

(2)国会の地位、国会の仕事

国会とは国会議員により構成されていますが、その議員とは、全国民を代表し、国民による選挙によって選ばれたメンバーです。

よって、国会とは「国民の代表機関」と憲法で定められています。

また、同じく憲法において「国権の最高機関」「国の唯一の立法府」であるとも定められています。

国会の仕事には、予算審議や、条約締結の審議などさまざまなものがありますが、その中で最も重要な仕事は「法律を作ること」です。

(3)二院制、両議院議会、衆議院の優越

国会は「衆議院」と「参議院」の2つの議院から構成されており、これを「二院制」といいます。

なぜこのような構成になっているかというと、

●国民のさまざまな意見をより広く反映させることができる

●二院で審議することで、より慎重な決定を行うことができる

●一つの議院の行き過ぎを抑えたり、足りないところを補ったりできる

といった利点があるためです。

なお、両院で意見が一致しないときには「両院協議会」が開かれ、意見が異なる部分の調整が行われます。

この「両院協議会」は衆参から選ばれた10名ずつの協議委員で組織。

出席協議委員の3分の2以上の多数で議決されたとき、両院協議会の成案となります。

ただしこの成案はその後、両院の本会議で議決されなければ国会の意思とはなりません。

また、「衆議院の優越」が認められており、法案の決議など、両院で意見が一致しないときには衆議院側により強い権限が与えられています。

<衆議院の優越が認められる場合>

●衆院で可決した法案を参院が否決、または修正議決したとき

●参院が、衆院で可決された法案を受け取ってから60日以内に議決せず、衆院側が「参院が否決した」と見なしたとき

→衆院がもとの案を出席議員の3分の2以上で賛成で再び可決したとき、法律となります。

参考:国会のしくみと法律ができるまで!:参議院キッズページ
https://www.sangiin.go.jp/japanese/kids/main/side_b/index.html

2.法律ができるまでの流れ

[図2]法律ができるまで

※上図は、衆議院から法案審議が始まる場合の事例を示したものです。実際には参議院から審議が始まる場合もあります。

参考:国会のしくみと法律ができるまで!:参議院キッズページ
https://www.sangiin.go.jp/japanese/kids/main/side_b/index.html

(1)法案の作成・提出

法案の作成・提出は国会議員から行われます。

また、内閣から提出される場合もあります。

(2)国会審議の流れ

提出された法案は、衆議院と参議院の二院で審議を行います。

法案が議長から各委員会に付託され、まずは各委員会で詳しく討論・採決をします。

その後、本会議に諮られ、再度討論・採決を行います。

このプロセスを衆議院と参議院の2院で繰り返します。

[図3]2院それぞれの委員会と、本会議との関係

参考:国会のしくみと法律ができるまで!:参議院キッズページ
https://www.sangiin.go.jp/japanese/kids/main/side_b/index.html

衆議院と参議院の2院で法案の審議を繰り返した結果、意見が一致しない場合には衆議院の優越が発動されるか、もしくは両院協議会で再度法案の可否が諮られます。

このような審議を経て、法律は成立し、公布に至ります。

(3)内閣が提出する法律案の原案の作成は?

前述したとおり、法案とは国会議員から提出されるケースだけに限らず、内閣から提出される場合もあります。

内閣が提出する法案の原案作成は、その法案を所管する各省庁で行われます。 

この原案をもとに関係省庁との意見調整などが行われます。

さらに、審議会に対する諮問又は公聴会における意見聴取等を必要とする場合には、これらの手続を済ませます。

その後、内閣府法制局で予備審査を行い、主任の国務大臣から内閣総理大臣に対し国会提出について閣議請議の手続を行うことになります。

閣議請議された法案は、閣議決定を経て、内閣総理大臣から国会へと提出されます。

参考:法律の原案作成から法律の公布まで|内閣法制局
https://www.clb.go.jp/law/process.html#process_1

3.提出されている法案を調べる・意見を寄せる方法

現在提出されている法案は、国民にも常に開示されています。

それらを調べるには、いくつかの方法があります。

(1)「衆議院」のWebサイトで調べる

画像:第203回国会 議案の一覧|衆議院トップページ
http://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_gian.nsf/html/gian/menu.htm

「衆議院」と検索し、衆議院トップページを開きます。

メニューの中の「立法情報」>「議案」と進むと、全議案の審議経過情報と、法律案・決議案の本文等を閲覧することができます。

また、「立法情報」のメニューの中には「請願」という項目もあり、各委員会に付託された請願に関する情報が掲載されており、衆議院に寄せられている請願の内容を照会することができます。

「請願(ロビイング)」とは、憲法で保障された国民の権利です。議員の紹介によって「請願書」を各議院の議長宛に提出することができます。

つまり、国会に対して訴えが寄せられた、国民からの意見書である、ということです。

提出された請願は委員会で審査のうえ、妥当と思われるものは本会議で採択。

その中で内閣において措置することが適当と認めたものは内閣に送られます。

内閣は送られた請願の処理経過を毎年各議院に報告することになっています。

(2)「e-gov(イーガブ)」で調べる

画像:国会提出法案|電子政府の総合窓口e-Gov イーガブ
https://www.e-gov.go.jp/law/bill.html

電子政府の総合窓口 e-Gov」のホームページでも、提出中の法案を調べることができます。

トップページの「法令」>「国会提出法案」と進むと、各府省が提出した法律案等を閲覧することができます。

なお、「e-Gov」>「法令」>「e-Gov法令検索」と進むと、現在施行されている法律の条文もすべて閲覧することができます。

また、「パブリックコメント」というメニューの中では、

●各府省のパブリックコメントの募集状況や意見提出方法、結果を確認

●各府省への政策に関する意見・要望提出フォーム

●国の行政全般についての苦情や意見・要望のインターネット受付(※総務省行政評価局所管)

といった意見提出も可能です。

4.立法プロセスと、それに関わる国民一人ひとりの権利を正しく知ろう

日頃、ニュース、情報番組や国会中継などを見ていると、「国会審議とは、国民の生活からはどこか距離があるもの」といった印象を抱いてしまう人も多いのではないでしょうか。

しかし、「請願・陳情(ロビイング)」「パブリックコメント」など国民一人ひとりが持っている権利を正しく知っていれば、国会での法案審議に対して意見を出す窓口がきちんと開かれていることが分かります。

法律とは、私達の日々の生活や、企業活動に密接に関わってくるものです。

我が国の立法プロセスを正しく知り、立法活動について日頃から関心を深めていきましょう。

Digital Workstyle College 編集部
この記事を書いた人