クラウド型電子署名も利用可!取締役会議事録作成のポイントを解説

株式会社のうち取締役会を設置している会社では、定期的に取締役会を開催し、その議事録を作成する必要があります。

議事録について、従来は出席役員や監査役全員の記名・押印を揃えることが必須でした。

しかし昨今の「脱はんこ」「リモートワーク化」の進展に合わせ、クラウド型電子署名の利用も適法だと認められるようになりました。

そこでこの記事では、取締役会議事録の作成ポイントを改めてお伝えします。併せて、「ペーパーレス化対応」「リモート開催の場合の作成ポイント」といった点も解説していきます。

1.取締役会議事録作成は、会社法で定められた義務

(1)取締役会の設置義務はどんな基準で決まる?

株式会社を設立し、公開会社である場合、取締役会は必ず設置しなければなりません。公開会社とは、「証券取引所に上場している」という意味ではありません。定款で「株式の譲渡権限がない」と定めている会社のことです。よって、設立間もない会社でも、定款で定めている内容次第で「公開会社」となります。

一方、「非公開会社」もあります。これは定款で「すべての株式について譲渡制限のある会社」と定めている会社のことです。この場合、取締役会の設置は任意です。

(2)取締役会は少なくとも年4回は開催しなければならない

取締役会を設置している会社の場合、取締役会は最低3ヶ月に1回開催する必要があります。少なくとも、年に4回開催しなければなりません。

取締役会には、取締役3人が最低限必要です。また、取締役会はすべての取締役によって組織されなければならないと「会社法」で定められています。さらに、取締役会を設置すると、原則として監査役(会)を設けなければなりません。

ただし、非公開会社の場合は、会計参与でも可能です。

非公開会社については、取締役の人数は1人でもよいと会社法で定められています。取締役会の開催回数についても、制約はありません。

(3)取締役会開催時には、議事録を作成しなければならない

取締役会開催時には、必ず議事録を作成しなければなりません。これも会社法で定められています。

議事録を書面で作成する場合、出席した取締役およに監査役による署名または、記名捺印が必要です。電磁的記録で作成されている場合は、署名または、記名捺印に代わる措置が必要です。

そして議事録は、取締役会の日から10年間、本店で備え置かなければなりません。

株主は議事録について、権利行使のために必要があるときは、会社営業時間内はいつでも閲覧請求などが原則として可能(※1)とされています。

(※1)監査役または委員会を設置している会社の場合、裁判所の許可を得て、閲覧請求等が可能。ただし、会社に著しい損害を及ぼすおそれがあると認めるときは、不許可

あるいは会社の債権者、親会社社員は、役員・執行役の責任を追及するため必要があるときは、裁判所の許可(※2)を得て、議事録の閲覧請求などが可能です。

(※2)会社に著しい損害を及ぼすおそれがあると認めるときは、不許可

つまり、取締役会を開催したら素早く議事録を作成して役員の記名・捺印を揃え、会社の株主や債権者がいつでも見られるように保管しておかなければなりません。

参考:
取締役会はどれくらいの頻度で開けばよいのでしょうか?|J-Net21
https://j-net21.smrj.go.jp/qa/org/Q0019.html

会社法上の「公開会社」の意味について教えてください。|J-Net21
https://j-net21.smrj.go.jp/qa/org/Q0516.html

株式会社における取締役会 の議事録について|内閣官房
https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/gijiroku/sagyou2/2siryou2.pdf

2.ここがポイント 取締役会議事録の書き方

昨今、議事録とは書面作成よりも電磁的記録、つまりパソコンで作成する場面が多いはずです。なおかつ、リモートワークの進展といった直近の社会情勢から、取締役会がリモート開催される場面も増えていることでしょう。あるいは役員が遠隔地や海外在住のケースもあり得ます。そのような場合、役員の記名・捺印をスピーディーに揃えることが課題となります。ここからは、具体的な書き方のポイント、そして押印や電子署名の考え方について詳しく解説していきます。

(1)議事録 書き方のポイント

会社法では、記載事項のポイントについて以下の8点を定めています。

① 開催日時と場所
※遠隔地にいる役員が出席した場合は、その出席方法も記載
  (例)「ビデオ会議システムで出席」
② 特別取締役による取締役会であるときは、その旨
③ 特別の招集に該当するときは、その旨
④ 議事の経過のポイントおよびその結果
⑤ 決議を要する事項について特別の利害関係を有する取締役があるときは、その取締役の氏名
⑥ 取締役以外が発言できる場合、述べられた意見や発言があれば、その概要
⑦ 出席した執行役、会計参与、会計監査人または株主の氏名又は名称
⑧ 議長が居る場合、議長の氏名

参考:株式会社における取締役会 の議事録について|内閣官房
https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/gijiroku/sagyou2/2siryou2.pdf

(2)押印についての考え方

書面作成の場合は押印(基本的に認印)必須です。

一方、電磁的記録で作成されている場合は、「署名」または「記名捺印」に代わる措置という記載が会社法の条文の中に見られます。この「記名捺印に代わる措置」について、詳しくは次項で解説します。

参考:株式会社における取締役会 の議事録について|内閣官房
https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/gijiroku/sagyou2/2siryou2.pdf

(3)クラウド型電子署名もOK

現在では、クラウド型電子署名も認められるようになっています。

コロナ禍でのリモートワークの進展に鑑み、2020年5月に法務省が経済界からの要望を受け、「クラウド型電子署名も適法である」と公式見解を発表しました。

(電子署名)
第二百二十五条 次に掲げる規定に規定する法務省令で定める署名又は記名押印に代わる措置は、電子署名とする。
(中略)
2 前項に規定する「電子署名」とは、電磁的記録に記録することができる情報について行われる措置であって、次の要件のいずれにも該当するものをいう。
一 当該情報が当該措置を行った者の作成に係るものであることを示すためのものであること。
二 当該情報について改変が行われていないかどうかを確認することができるものであること。

引用元会社法施行規則(平成十八年法務省令第十二号)|e-GOV法令検索
https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=418M60000010012

この他、マイナンバーカードなどによる「電子署名」も認められています。

参考:取締役会の議事録承認 クラウドで電子署名|日本経済新聞
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO59800350Q0A530C2MM8000/

3.取締役会をWeb会議で実施した場合の考え方

本稿「2-(1)議事録 書き方のポイント」で、まず「開催場所」を明記する必要があると述べました。

全員がWeb会議で参加した場合、開催場所の記載はどうしたら良いのでしょうか。

この場合、議長の所在地を書く必要があります。つまり、議長が自宅からWeb会議で出席したなら、議長の自宅の住所を書くことになります。議長が会社本店から参加しているなら、会社本店である旨を書きます。

「議長=代表取締役」で、自宅から参加の場合には、議事録に代表取締役の自宅住所記載を省くこともできます。これは、代表取締役の自宅住所とは登記事項として公示されているためです。

よって全員がリモート出席した場合の議事録の書き方のポイントとして、

①開催場所:議長の所在地を書く
②手段:「Web会議システムを使って出席」など通信手段を明記する
③署名:クラウド型電子署名でもOK

といった点を押さえておきましょう。

参考:企業法務ニュースレター|西村あさひ法律事務所
https://www.nishimura.com/sites/default/files/newsletter_pdf/ja/newsletter_pdfjanewsletter_200410_corporate.pdf

4.取締役会議事録も「脱はんこ」「ペーパーレス化」できる

取締役会議事録とは会社法の制約を受ける重要文書であることから、「脱はんこできる」 ことについて知らなかった方もいるのではないでしょうか。

昨今、ビジネスの現場における「ペーパーレス化」「脱はんこ」「デジタル化」はかつてないスピードで進んでおり、法令解釈の変化や規制改革も迅速に行われるようになっています。

この記事で述べたように、取締役会議事録にもクラウド型電子署名を活用して良いことになりましたので、ぜひ最新のサービスを導入して効率的な会社経営につなげていってください。

Digital Workstyle College 編集部
この記事を書いた人