オンライン登記申請のメリット、申請方法、事前に留意すべき制約事項も解説

ビジネスシーンにおいて、商業・法人や不動産の「登記簿謄本(登記事項証明書)」が必要な場面に遭遇した際、どのような手続きを踏めばよいかご存知ですか?

「登記簿謄本(登記事項証明書)」は法務局の窓口でも取得できますが、今はオンライン申請にも対応しています。

オンライン登記申請は手数料が割安で、スピーディー、平日21時まで申請可能といった複数のメリットがあります。

今回の記事では、その「オンライン登記申請」の手順や、事前に留意すべき制約事項などについて、分かりやすく解説していきます。

1.オンライン登記申請

(1)オンライン登記申請とは

今はすべての登記所がコンピューター化されており、大部分の「登記簿」は電子化に対応しています。よって、おおもとの「登記簿」から必要なデータを印字した「登記事項証明書」を自宅・会社などのパソコンからインターネット経由で申請・取得することが可能になっています。

具体的には、法務省が運営する「登記・供託オンライン申請システム 登記ねっと 供託ねっと」というサイトにアクセスし、「かんたん証明書請求」というメニューを選択することで、「登記事項証明書」の申請手続きを開始することができます。

「登記事項証明書」の取得だけであれば、専用ソフトウェアのインストールなどは不要で、Webブラウザ経由で申請・取得が可能です。

(2)申請できるものは何か?

登記・供託オンライン申請システム 登記ねっと 供託ねっと」では、次の文書を申請・取得することができます。

◯不動産登記(土地・建物)……「登記事項証明書」「地図証明書」「図面証明書」
◯商業・法人登記(会社・法人)……「登記事項証明書」「印鑑証明書(※注)」

(※注)会社・法人の「印鑑証明書」申請手続きには「電子証明書」が必要です。「登記・供託オンライン申請システム 登記ねっと 供託ねっと」のサイト内にある「かんたん証明書請求」というメニューには非対応で、同サイト上から「申請用総合ソフト」をインストールすることで申請が可能になります。

なお、この記事ではビジネスパーソンに向けて解説のポイントを「不動産登記」「商業・法人登記」に絞っていますが、ほかにも法務局の手続きには「動産譲渡登記関係」「債権譲渡登記関係」「成年後見登記関係」「供託関係」「電子公証関係」など、オンライン申請に対応しているものがあります。

参考:登記・供託オンライン申請システム 登記ねっと 供託ねっと|法務省
https://www.touki-kyoutaku-online.moj.go.jp/ 

登記簿謄本(登記事項証明書)はどのように請求すればよいのですか?|新潟地方法務局
http://houmukyoku.moj.go.jp/niigata/table/QandA/all/seikyuu.html

登記事項証明書等の請求にはオンラインでの手続が便利です|法務局
http://houmukyoku.moj.go.jp/homu/static/online_syoumei_annai.html

2.オンライン登記申請のメリット

(1)手数料が安い

法務局窓口での交付請求や、法務局と郵送でのやりとりによる交付請求に比べて、1通あたりの手数料が安くなります。

たとえば、「登記事項証明書」を窓口で受け取る場合の手数料は1通あたり600円。

オンライン請求をしたうえで、「郵送で受け取る場合」1通あたり500円、「最寄りの法務局窓口で受け取る場合」1通あたり480円となります。

1通だけの請求ならそれほど大きな差にはなりませんが、手数料とは交付通数の分だけ加算されるものですから、大量請求の場合はトータル見て大幅なコストダウンにつながります。

もし、業務で大量に「登記事項証明書」の取得が必要な場合があれば、ぜひともオンライン申請を活用すべきでしょう。

(2)法務局窓口に出向く必要がない

自宅・会社にいながら証明書を請求し、「郵送で受け取る」方法を選択すれば、わざわざ法務局窓口に出向く手間や時間をカットできます。

手数料はインターネットバンキングや、Pay-easyに対応したATMで納付することができるので、収入印紙の用意・窓口納付も不要です。

わざわざ法務局窓口に出向く時間コストをカットしたい、と考えるビジネスパーソンに向けても「オンライン申請」がおすすめです。

(3)平日21時まで申請に対応している

法務局窓口が開いているのは、平日の午前8時30分から17時15分まで。

一方、オンライン申請なら平日の午前8時30分から21時まで請求手続きを行うことが可能です。

オンラインで17時15分以降の請求は、翌業務日の午前8時30分以降に受け付けられます。受付後、手数料の電子納付をすることが可能となります。したがって、法務局窓口で「登記事項証明書」を受け取れるのは、翌業務日の電子納付以降となります。郵送受け取りの場合も同様に、翌業務日の午前8時30分以降に受け付けられてから手数料を電子納付し、その後、発送される、という流れです。

スピーディーに「登記事項証明書」を受け取りたい場合には、あらかじめオンラインで請求しておき、「窓口受け取り」を選択するのがベストでしょう。事前にオンラインで請求手続きだけを済ませておけば、窓口での待ち時間も短縮されます。

参考:オンライン申請のご案内|法務局
http://houmukyoku.moj.go.jp/homu/static/online_syoumei_annai.html

3.オンライン登記申請のための手続き

ここでは、「登記事項証明書」の「かんたん証明書請求」に的を絞って手順を説明します。

(1)利用環境の確認

推奨環境は、Windows8.1またはWindows10の、Internet explorer11です。

「信頼済みサイト」への登録及びポップアップブロック機能の設定を行ってください。

また、安全な通信を行うための証明書として「セコムパスポート for Web SR3.0の自己署名証明書」がPCにインストールされているか確認してください。

手元のPC環境を確認したら、ID、パスワード、メールアドレス、氏名、住所など申請者情報を登録する必要があります。設定したメールアドレス宛てにメールが送付されますので、「moj.go.jp」からのメール受信を確認します。

(2)請求書の作成・送信

ログインし、請求書の作成画面に入り、不動産や商業・法人の登記情報を入力します。

該当物件の登記情報は、あらかじめ調べておいて直接入力するか、登記情報提供サービス で検索した結果を請求書画面に反映させることも可能です。

「登記情報提供サービス」とは、一般財団法人 民事法務協会が運営を行っているWebサイトで、登記所が保有する登記情報をインターネットを通じてパソコン等の画面上で確認できる有料サービスです。

有料ということで、個人利用の場合はクレジットカード決済、法人利用の場合は銀行引き落とし決済が利用できます。

不動産登記、商業・法人登記いずれも、「全部事項」の提供であれば1件あたり334円です。

「登記事項証明書」取得に向けた事前準備のために、「登記情報提供サービス」も併せて活用するとよりスムーズでしょう。

(3)手数料の納付

処理状況照会画面の納付情報を確認し、国庫金納付に対応したインターネットバンキングやATM等を利用し、電子納付を行います。

(4)証明書の受け取り

法務局窓口で受け取る場合には、処理状況照会画面の「納付」ボタンをクリックすると表示される「Step2 照会内容確認(電子納付情報表示)」画面を印刷しておくとスムーズです。あらかじめ設けてある記載欄に証明書の受取人の氏名・住所および、窓口で受け取る通数を記載し、窓口に提出します。

参考:かんたん証明書請求による請求方法|登記ねっと
https://www.touki-kyoutaku-online.moj.go.jp/flow/kantan/gaiyo.html

4.オンライン登記申請の制約事項

なお、オンライン登記申請には制限事項があるので、事前に要確認です。

制限事項に該当するときは、オンライン証明書交付請求はできません。

 (1)不動産登記の制限事項

 ①登記事項証明書
現在事項証明書の請求で,登記事項数が500を超えるもの

②地図証明書
・ 編集対象となるデータが5MBを超えるもの
・ 証明書の枚数が99枚を超えるもの
・ 閉鎖されたもの

③図面証明書
・編集対象となるデータが5MBを超えるもの
・証明書の枚数が99枚を超えるもの
・図面に関する登記事件数が99件を超えるもの
・閉鎖されたもの

(2)商業・法人登記の制限事項
・登記事項要約書の請求は,オンライン請求をすることができません。  

参考:オンラインによる登記事項証明書等の交付請求(不動産登記関係)について|法務省
http://101.110.15.201/MINJI/minji73.html

オンラインによる登記事項証明書及び印鑑証明書の交付請求について(商業・法人関係)|法務省
http://www.moj.go.jp/MINJI/minji71.html

5.オンライン手続きのメリットを最大限に活用しよう

行政関係の証明書請求・交付とは、手間も時間もかかるというイメージを持っている人が多いかもしれません。

しかし、今では「登記事項証明書」もオンライン申請に対応しているのです。

コストカット、時間短縮につながり、そもそも対象物件の登記情報を一から調べたい場面でもインターネットを活用できるようになっています。

ビジネスシーンでぜひ、オンライン手続きのメリットを最大限に活用しましょう。

Digital Workstyle College 編集部
この記事を書いた人