ビジネスパーソンが覚えておくべき、収入印紙にまつわる6つの知識

業務で領収書や契約書を作成する際、書面に記載された金額に応じて収入印紙の貼り付け・消印が必要になるケースが生じます。

しかし、「必要か、不要の具体的な判断基準は?」「電子契約の場合はどうするの?」など、そのルールが複雑であるゆえに、疑問が生じる場面も多々あるのではないでしょうか。

そこで今回の記事では、総務・経理担当者や、領収書や契約書を作成する営業パーソンに向けて収入印紙を貼らないで納税する方法をはじめ、収入印紙に関して知っておくべき6つの知識を分かりやすく解説します。

参考:そもそも収入印紙とは、なぜ必要なのか?
https://digitalworkstylecollege.jp/explanation/shuunyuinshi/

収入印紙を貼らないで納税する方法は?

課税文書には収入印紙を貼って消印をする、というのが基本です。しかし、収入印紙を貼らないで納税する方法も存在します。

(1) 税印を押す方法

 税務署で「税印」を押すことで納付する方法があります。あらかじめ印紙税を金銭で納付しておき、特定の税務署に設置されている「税印押なつ機」で「税印」を押します。この「税印」とは、機械的な圧力により紙面に凹凸の印影(レリーフ、浮き彫り)をつけることにより表示されるものです。

例えば「株券」など、課税文書が一時に多量に作成されるような場合に、いちいち印紙を貼り付けることのわずらわしさを回避できる方法です。

(2) 印紙税納付計器により納付印を押す方法

税務署長の承認を受けて「印紙税納付計器」を設置し、この計器によって課税文書に「納付印」を押す方法もあります。「納付印」は、印紙税額が表示されたスタンプで、どのような種類の課税文書にも、また、承認を受ければ設置者が受け取る課税文書にも押すことができます。

あらかじめ印紙税を金銭で納付してその金額を印紙税納付計器にセットしておき、そのセットした金額の範囲内で、その課税文書の作成者が自ら納付印を押していく、というものです。

多種多様な種類の課税文書が継続的に作成されるような場合に、その課税文書に印紙を貼り付けるわずらわしさを避けることができる方法です。

(3) 書式表示による方法

特定の課税文書の作成者は、税務署長の承認を受けて、課税文書に一定の書式を表示するとともに、1か月間の作成数量を翌月末日までにとりまとめて申告し、その申告に係る印紙税額を金銭で納付することもできます。

同一種類の課税文書が継続的に作成されたり一時に多量に作成される場合に、印紙を貼り付けるわずらわしさを回避することができます。

このほか、預貯金通帳については、税務署長の承認を受け、書式表示による方法と同じように、文書上に所定の書式を表示し、印紙税を申告納付する方法が認められています。

参考:印紙を貼らないで印紙税を納付する方法|国税庁
https://www.nta.go.jp/law/shitsugi/inshi/06/04.htm

収入印紙が不要な場合は?

昨今、ワークフローのペーパーレス化が進み、契約書も「電子契約」としてインターネット上で取引がすべて完結する場合もあります。この電子文書は、印紙税の課税対象にはなりません。理由は、「紙」の文書を交付しておらず、課税物件が存在しないためです。

請求書や領収書をファクシミリや電子メールにより貸付人に対して提出する場合には、実際に文書が交付されませんから、課税物件は存在しないこととなり、印紙税の課税原因は発生しません。
また、ファクシミリや電子メールを受信した貸付人がプリントアウトした文書は、コピーした文書と同様のものと認められることから、課税文書としては取り扱われません。

コミットメントライン契約に関して作成する文書に対する印紙税の取扱い|国税庁
https://www.nta.go.jp/law/joho-zeikaishaku/inshi/5111/01.htm

ただし、ファクシミリや電子メールで文例3から文例6(※筆者注「請求書」「領収書」「借入申込書」など)までのような文書を送信した後に、改めて、文書を持参するなどの方法により正本となる文書を貸付人に交付する場合には、その正本となる文書は、それぞれ印紙税の課税文書となります。

コミットメントライン契約に関して作成する文書に対する印紙税の取扱い|国税庁
https://www.nta.go.jp/law/joho-zeikaishaku/inshi/5111/01.htm

収入印紙はどこで買えるのか?

 収入印紙が必要になったら、最寄りの郵便局の「郵便」窓口へ行きましょう。郵便局には、原則、すべての種類の収入印紙が揃っているからです。

(1)収入印紙の種類とは

1円、2円、5円、10円、20円、30円、40円、50円、60円、80円、100円、120円、200円、300円、400円、500円、600円、1,000円、2,000円、3,000円、4,000円、5,000円、6,000円、8,000円、10,000円、20,000円、30,000円、40,000円、50,000円、60,000円、100,000円の31種類

 金額の大きな収入印紙が必要な場合、最寄りの郵便局が小規模な局であれば、事前に電話をして取り扱いがあるかどうか確認してから向かうと安心です。

(2)郵便窓口での収入印紙の買い方

窓口が開いているのは、平日の9時〜17時まで。土日は開いていません。

ただし、最寄りの郵便局に「ゆうゆう窓口」があれば、土日祝日も含めて24時間買うことができます。

「郵便」窓口で必要な額の収入印紙を伝え、受け取ったら、「収入証紙」と間違えていないかどうかも要チェックです。「収入証紙」とは、地方自治体が発行している、収入印紙とよく似た証票で、国が発行しているものとは別物なので取り違えに注意が必要です。

購入の証憑として、領収書も忘れずに受け取りましょう。

収入印紙購入の際の支払いは、現金のみです。キャッシュレス払いや、クレジットカードには対応していません。

ちなみに、収入印紙の購入は「非課税」で、消費税はかかりません。収入印紙そのものが税金と見なされており、「二重課税」となってしまうからです。

収入印紙の額面を間違って購入してしまったときは、汚損・毀損されていない場合に限り、郵便局で他の額面の収入印紙と交換してもらうことができます。交換の際には、収入印紙1枚につき5円の手数料がかかります。また、収入印紙を現金と交換することはできません。

(3)郵便局以外で収入印紙を買うには

そのほか、収入印紙はコンビニや法務局、金券ショップ、タバコ屋、ネットオークションなどでも買うことができます。

コンビニは身近な存在で気軽に立ち寄ることができますが、額面の大きなものは置いていない可能性もあります。

日本郵便株式会社から委託販売を受けていないですが、金券ショップやネットオークションで、収入印紙の額面より少し安く買うことが出来ると、節税につながる、という裏技もあります。

参考:契約書や領収書と印紙税|国税庁
https://www.nta.go.jp/publication/pamph/inshi/pdf/1504.pdf

印紙が必要なのに貼り忘れたらどうなる?

(1)知らなかったでは済まされない!「過怠税」に注意

 課税文書の作成者が収入印紙を貼り忘れた場合(収入印紙が必要であることを知らなかった場合も含む)、納付しなかった印紙税の額の3倍の「過怠税」を徴収されます。

 ただし、「貼り忘れた」と自分から申し出た場合には、「過怠税」は1.1倍に軽減されます。

(2)「消印」を忘れた場合にも「過怠税」徴収の対象になる

 課税文書に適正な額面の収入印紙を貼っていても、所定の方法で「消印」をしないと効力を発揮しません。

 この「消印」を忘れただけでも、その消印をしなかった収入印紙と同額の「過怠税」を徴収されます。

(3)「過怠税」は法人税の損金や、所得税の必要経費にならない

 万が一、「過怠税」を徴収されても、その金額は法人税の損金や、所得税の必要経費としては認められません。

 課税文書を作成する際には、適正な額の収入印紙と消印を忘れずに、「過怠税」の徴収対象になってしまわないよう、十分に注意をしましょう。

収入印紙を間違えて貼ってしまった場合はどうなる?

(1)収入印紙が必要ない文書に誤って貼ってしまった場合

(2)所定の金額を超えて貼ってしまった場合

(1)、(2)いずれのケースも、所轄の税務署に「印紙税過誤納確認申請書」を提出します。その後、一定の手続きを取ることで、印紙税の還付を受けることができます。

参考:契約書や領収書と印紙税|国税庁
https://www.nta.go.jp/publication/pamph/inshi/pdf/1504.pdf

いくらから収入印紙は必要か?取引金額別収入印紙早見表

文書の種類印紙税額(1通又は1冊につき)
1号文書[不動産、鉱業権、無体財産権、船舶若しくは航空機又は営業の譲渡に関する契約書]
不動産売買契約書、不動産交換契約書、不動産売渡証書など
(注)無体財産権とは、特許権、実用新案権、商標権、意匠権、回路配置利用権、育成者権、商号及び著作権をいいます。

[地上権又は土地の賃借権の設定又は譲渡に関する契約書]
土地賃貸借契約書、土地賃料変更契約書など

[消費貸借に関する契約書]
金銭借用証書、金銭消費貸借契約書など

[運送に関する契約書(傭船契約書を含む。)]
運送契約書、貨物運送引受書など
(注)運送に関する契約書には、傭船契約書を含み、乗車券、乗船券、航空券及び送り状は含まれません。
記載された契約金額が
1万円未満(※) 非課税
10万円以下 200円
10万円を超え50万円以下 400円
50万円を超え100万円以下 1千円
100万円を超え500万円以下 2千円
500万円を超え1千万円以下 1万円
1千万円を超え5千万円以下 2万円
5千万円を超え1億円以下 6万円
1億円を超え5億円以下 10万円
5億円を超え10億円以下 20万円
10億円を超え50億円以下 40万円
50億円を超えるもの 60万円
契約金額の記載のないもの 200円

※第1号文書と第3号文書から第17号文書とに該当する文書で第1号文書に所属が決定されるものは、記載された契約金額が1万円未満であっても非課税文書となりません。

(注)平成9年4月1日から令和4年3月31日までの間に作成される不動産の譲渡に関する契約書のうち、契約書に記載された契約金額が一定額を超えるものについては、税率の軽減があります
2号文書[請負に関する契約書]
工事請負契約書、工事注文請書、物品加工注文請書、広告契約書、映画俳優専属契約書、請負金額変更契約書など
(注) 請負には、職業野球の選手、映画(演劇)の俳優(監督・演出家・プロデューサー)、プロボクサー、プロレスラー、音楽家、舞踊家、テレビジョン放送の演技者(演出家、プロデューサー)が、その者としての役務の提供を約することを内容とする契約を含みます。
記載された契約金額が
1万円未満(※)非課税
100万円以下 200円
100万円を超え200万円以下 400円
200万円を超え300万円以下 1千円
300万円を超え500万円以下 2千円
500万円を超え1千万円以下 1万円
1千万円を超え5千万円以下 2万円
5千万円を超え1億円以下 6万円
1億円を超え5億円以下 10万円
5億円を超え10億円以下 20万円
10億円を超え50億円以下 40万円
50億円を超えるもの 60万円
契約金額の記載のないもの 200円
※第2号文書と第3号文書から第17号文書とに該当する文書で第2号文書に所属が決定されるものは、記載された契約金額が1万円未満であっても非課税文書となりません。
(注)平成9年4月1日から令和4年3月31日までの間に作成される建設工事の請負に関する契約書のうち、契約書に記載された契約金額が一定額を超えるものについては、税率の軽減があります
3号文書[約束手形又は為替手形]
(注)1手形金額の記載のない手形は非課税となりますが、金額を補充したときは、その補充をした人がその手形を作成したものとみなされ、納税義務者となります。
(注)2振出人の署名のない白地手形(手形金額の記載のないものは除きます。)で、引受人やその他の手形当事者の署名のあるものは引受人やその他の手形当事者がその手形を作成したことになります。
(注)3手形の複本又は謄本は非課税です。
記載された手形金額が
10万円未満 非課税
10万円以上100万円以下 200円
100万円を超え200万円以下 400円
200万円を超え300万円以下 600円
300万円を超え500万円以下 1千円
500万円を超え1千万円以下 2千円
1千万円を超え2千万円以下 4千円
2千万円を超え3千万円以下 6千円
3千万円を超え5千万円以下 1万円
5千万円を超え1億円以下 2万円
1億円を超え2億円以下 4万円
2億円を超え3億円以下 6万円
3億円を超え5億円以下 10万円
5億円を超え10億円以下 15万円
10億円を超えるもの 20万円
約束手形又は為替手形のうち、
(1) 一覧払のもの
(2) 金融機関相互間のもの
(3) 外国通貨で金額を表示したもの
(4) 非居住者円表示のもの
(5) 円建銀行引受手形表示のもの
記載された手形金額が
10万円未満 非課税
10万円以上 200円
4号文書[株券、出資証券若しくは社債券又は投資信託、貸付信託、特定目的信託若しくは受益証券発行信託の受益証券]
(注) 出資証券には、投資証券を含みます
記載された券面金額が
500万円以下 200円
500万円を超え1千万円以下 1千円
1千万円を超え5千万円以下 2千円
5千万円を超え1億円以下 1万円
1億円を超えるもの 2万円
(注) 株券については、1株当たりの払込金額に株数を掛けた金額を券面金額とします。
※ なお、払込金額が無い場合にあっては、資本金の額及び資本準備金の額の合計額を発行済株式(当該発行する株式を含む)の総数で割った金額に株数をかけた金額を券面金額とします。
(非課税文書:1.日本銀行その他特定の法人の作成する出資証券2.譲渡が禁止されている特定の受益証券3.一定の要件を満たしている額面株式の株券の無効手続に伴い新たに作成する株券)
5号文書[合併契約書又は吸収分割契約書若しくは新設分割計画書]
(注)1 会社法又は保険業法に規定する合併契約を証する文書に限ります。
(注)2 会社法に規定する吸収分割契約又は新設分割計画を証する文書に限ります。
4万円
6号文書[定款]
(注) 株式会社、合名会社、合資会社、合同会社又は相互会社の設立のときに作成される定款の原本に限ります。
4万円
(非課税文書:株式会社又は相互会社の定款のうち公証人法の規定により公証人の保存するもの以外のもの)
7号文書[継続的取引の基本となる契約書]
(注) 契約期間が3か月以内で、かつ、更新の定めのないものは除きます。
(例) 売買取引基本契約書、特約店契約書、代理店契約書、業務委託契約書、銀行取引約定書など
4千円
8号文書[預金証書、貯金証書]200円
(非課税文書:信用金庫その他特定の金融機関の作成するもので記載された預入額が1万円未満のもの)
9号文書[倉荷証券、船荷証券、複合運送証券]
(注) 法定記載事項の一部を欠く証書で類似の効用があるものを含みます。
200円
10号文書[保険証券]200円
11号文書[信用状]200円
12号文書[信託行為に関する契約書]
(注) 信託証書を含みます。
200円
13号文書[債務の保証に関する契約書]
(注) 主たる債務の契約書に併記するものは除きます。
200円
(非課税文書:身元保証ニ関スル法律に定める身元保証に関する契約書
14号文書[金銭又は有価証券の寄託に関する契約書]200円
15号文書[債権譲渡又は債務引受けに関する契約書]
記載された契約金額が
1万円未満 非課税
1万円以上 200円
契約金額の記載のないもの 200円
16号文書[配当金領収証、配当金振込通知書]記載された配当金額が
3千円未満 非課税
3千円以上 200円
配当金額の記載のないもの 200円
17号文書[売上代金に係る金銭又は有価証券の受取書]
(注)1 売上代金とは、資産を譲渡することによる対価、資産を使用させること(当該資産に係る権利を設定することを含む。)による対価及び役務を提供することによる対価をいい、手付けを含みます。
(注)2 株券等の譲渡代金、保険料、公社債及び預貯金の利子などは売上代金から除かれます。
(例) 商品販売代金の受取書、不動産の賃貸料の受取書、請負代金の受取書、広告料の受取書など
記載された受取金額が
5万円未満 非課税
5万円以上100万円以下 200円
100万円を超え200万円以下 400円
200万円を超え300万円以下 600円
300万円を超え500万円以下 1千円
500万円を超え1千万円以下 2千円
1千万円を超え2千万円以下 4千円
2千万円を超え3千万円以下 6千円
3千万円を超え5千万円以下 1万円
5千万円を超え1億円以下 2万円
1億円を超え2億円以下 4万円
2億円を超え3億円以下 6万円
3億円を超え5億円以下 10万円
5億円を超え10億円以下 15万円
10億円を超えるもの 20万円
受取金額の記載のないもの 200円
(非課税文書:1営業に関しないもの、
2有価証券・預貯金証書など特定の文書に追記したもの)
[売上代金以外の金銭又は有価証券の受取書]
(例) 借入金の受取書、保険金の受取書、損害賠償金の受取書、補償金の受取書、返還金の受取書など
記載された受取金額が
5万円未満 非課税
5万円以上 200円
受取金額の記載のないもの 200円
(非課税文書:1営業に関しないもの、
2有価証券・預貯金証書など特定の文書に追記したもの)
18号文書[預金通帳、貯金通帳、信託通帳、掛金通帳、保険料通帳]1年ごとに200円
(非課税文書:1.信用金庫など特定の金融機関の作成する預貯金通帳、2.所得税が非課税となる普通預金通帳など、3.納税準備預金通帳)
19号文書[消費貸借通帳、請負通帳、有価証券の預り通帳、金銭の受取通帳などの通帳]
(注) 18号の通帳を除きます。
1年ごとに400円
20号文書[判取帳]1年ごとに4千円

参考:No.7140 印紙税額の一覧表(その1)第1号文書から第4号文書まで
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/inshi/7140.htm

参考:No.7141 印紙税額の一覧表(その2)第5号文書から第20号文書まで
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/inshi/7141.htm

基本ルールを理解し、収入印紙の適正な運用を

複雑で細かなルールが多々ある「収入印紙」に関して、6つの論点から解説してきました。

ビジネスパーソンとして日々の業務で数多く取り扱うことが想定されるのは「領収書」「契約書」かと思いますが、諸々のルールを理解して収入印紙の適正な運用を行い、くれぐれも「過怠税」の徴収対象になってしまわないよう気をつけましょう。

Digital Workstyle College 編集部
この記事を書いた人