契約の基礎知識

【電子化解禁】労働者派遣契約に記載すべき事項や電子化への対応方法は?

監修 山本 健太 弁護士:第二東京弁護士会

労働者派遣契約とは、基本的に人材派遣会社と派遣先の企業間で結ばれる契約です。労働者派遣契約は基本契約書と個別契約書の2つに分けて作成されます。法改正によって2021年1月1日より労働者派遣契約の電子化が解禁されました。

この記事では、労働者派遣契約に記載が必要な事項や契約書面の電子化について解説します。電子化に対応するための考慮すべき点も理解しておきましょう。

目次

労働者派遣契約とは

労働者派遣契約とは、「契約の当事者の一方が、相手方に対し労働者を派遣することを約束する契約」です。基本的にこの契約は人材派遣会社と派遣先の企業間で結ばれます。

派遣する人数や業務内容といった契約内容を事前に定め、万が一、派遣労働者がトラブルを起こした、あるいは巻き込まれた場合などの企業間の紛争を事前に回避する意味もあります。

参考:厚生労働省「労働者派遣契約

労働者派遣契約は、基本契約書と個別契約書の2つに分けて作成されます。

基本契約書

基本契約書とは、派遣元と派遣先が交わす土台となる契約書です。基本的に取引先が変わってもほぼ同じ内容で契約が交わされることが多いようです。

<基本契約書で記載される事項の一例>

  • 派遣料金:派遣料金の決定方法・派遣先都合による休業が生じた場合の損害金の取決め
  • 相互の義務:法令遵守・守秘義務
  • 派遣労働者の行為により損害が発生したときの損害賠償
  • 禁止事項
  • 知的財産権の帰属
  • 契約解除事由、雇用期間満了の予告

個別契約書

個別契約書も、基本契約書と同じく派遣元と派遣先が交わす契約書です。個別契約書は派遣法に定められている「法定記載事項」を中心とした契約書となっており、業務内容や就業時間など、より詳細な就業条件が記載されています。

<個別契約書で記載される事項の一例>

  • 業務内容
  • 務に伴う責任の程度
  • 事業所の名称・就業場所・組織単位
  • 指揮命令者に関する事項
  • 労働者派遣の期間及び派遣就業をする日
  • 派遣就業の開始及び終了の時刻、休憩時間
  • 派遣労働者の人数
  • 安全及び衛生に関する事項
  • 苦情の処理に関する事項
  • 労働者派遣契約の解除に当たって講ずる派遣県労働者の雇用の安定を図るために必要な措置に関する項目
  • 派遣元責任者及び派遣先責任者に関する項目
  • 時間外労働・所定就業日以外の労働
  • 派遣労働者の福祉の増進のための便宜供与に関する事項
  • 派遣先が派遣終了後に派遣労働者を雇用する場合の紛争防止措置
  • 派遣労働者を協定対象派遣労働者に限定するか否か
  • 派遣労働者を無期雇用派遣労働者または60歳以上の者に限定するか否か
  • 労働者派遣事業の許可番号
  • (紹介予定派遣の場合)紹介予定派遣に関する項目

労働者派遣契約の電子化が解禁

2021年1月の法改正により、労働者派遣契約の電子化が解禁されました。これにより、書面で作成することとされていた労働者派遣契約を電磁的記録で作成することが認められました。

書面だと労働者派遣契約の締結までに時間がかかってしまい、即座に派遣することができないデメリットがありましたが、電子化することでリモートでの即時締結が可能になり、業務の効率化につながります。

さらに、電子契約システムを導入することでペーパレス化が進み、さらに安全性や利便性が向上します。

電子契約システムを導入するメリット

具体的に電子契約システムを導入した場合のメリット・デメリットを紹介します。

メリット1.契約に関わる手間が削減できる

紙で契約書を作成する場合、印刷や製本から郵送まで締結まで多くの工数がかかります。

電子契約システムでは、契約の種類ごとにテンプレートにあわせて内容を記載するだけで完了できます。押印を待つ時間も短縮でき、製本や郵送などの工数も省略できます。

メリット2.契約締結までがスピーディになる

紙での契約だと、郵送の時間も踏まえたスケジュールをしなければならず、契約締結まで早くても1〜2週間はかかってしまうことがあります。

一方、電子契約システムなら即日締結が可能なうえにシステム上で先方の進捗状況を確認することもできます。

メリット3.ペーパーレス化で利便性・安全性も向上

紙の契約書は保管スペースを確保しなければなりません。過去の書類が必要になった場合にも探すだけで一苦労です。また、書類が多くなればなるほど紛失や破損の恐れも高まり、管理コストがかかってしまいます。

電子契約システムではデータの暗号化、二段階認証などセキュリティ面が強化されており安全性が高いと言えます。また、過去のデータも全てクラウド上で保存ができるため、紛失の恐れもなく、必要なときにはすぐに検索することができます。

また、物理的に保管するものが無くなるので、オフィス内での保管場所や管理コストの削減を図ることが可能になります。

メリット4.契約書作成・締結にかかるコストを削減

紙の契約書は作成する紙、インク代だけでなく、郵送する際の切手代などの送料が発生します。また、郵送の間に契約書が紛失してしまう恐れもあります。電子契約システムでは、これらの費用が不要となり、作成にかかる手間や管理コストも削減できます。

電子契約システムを導入する際の注意点

取引先が電子ツールに抵抗がないか

電子契約は取引相手にも影響します。取引先が電子契約に難色を示した場合は、電子契約サービス側で用意している取引相手向け説明資料や説明代行を利用し、取引先への説明会を実施することをおすすめします。

また、上述したメリットは取引先も享受できるので、こちらも併せて説明することで、多くの取引先に納得してもらいやすくなります。

それでも取引先が電子ツールを使用する難易度が高い場合は強要せず、できるところから電子化を進めて費用対効果をあげるのがよいでしょう。

電子契約サービスにかかる料金

多くの電子契約システムでは、月々の契約書作成数や、締結に必要なログイン人数に応じて、料金プランが用意されています。

毎月の契約書作成頻度や決裁までに必要な人数を基準に電子契約サービスの料金プランを決めましょう。

電子契約サービス「freeeサイン」は締結に必要なログイン人数に応じてプランをご用意しています。電子サインの利用であれば従量課金が発生せず、月額基本料金のみで使用できます。

<freeeサインのプラン一覧>

スターター
(個人事業主専用)
LightLight PlusProPro Plus
月額¥980¥4,980¥19,800¥50,000¥120,000〜
アカウント数111〜61〜201〜100
追加アカウント単価不可¥3,000¥1,000¥500¥300
送信上限数10通/月50通/月無制限無制限無制限
送信料
(電子サイン)
¥0¥0¥0¥0¥0
電子署名利用料¥0¥200/通¥200/通¥200/通¥200/通

※価格は税抜

詳しくはfreeeサインの公式ページをご覧ください。

導入前に決裁フローの整理が必要

電子契約システムに契約締結完了までのフローを設定する必要があります。導入前に現在のフローを整理しておきましょう。

まとめ

2021年1月より、労働者派遣契約は電子契約でも締結することが可能になりました。さらに電子契約システムを導入することで、作成にかかる時間や管理コストを削減することができ、安全性も担保されるのでおすすめです。

契約締結までをよりスムーズに進めるためにも電子契約システムの導入を検討してみてはいかがでしょうか。

契約にまつわる業務を簡単にする方法

契約書の作成や押印、管理など、契約にまつわる作業は多岐に渡ります。リモートワークが普及した近年、コミュニケーションを取りづらくなってしまい、契約締結までに時間がかかってしまう場合や、押印のためだけに出社しなければいけない...なんてケースも少なくありません。

そんな契約まわりの業務を効率化させたい方には電子契約サービス「freeeサイン」がおすすめです。

freeeサインはインターネット環境さえあれば、PCやスマホで契約書作成から締結まで、契約にまつわる一連の業務を完結できます。さらに、過去の契約書類はクラウド上で保存できるので、紛失や破損の心配も解消します。

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freeeサインでできること

契約書を簡単に作成!

契約によって書式が異なるので、一から作成すると工数がかかってしまいます。 freeeサインでは、テンプレートを登録し、必要な項目を入力フォームへ入力するだけで簡単に契約書を作成できます。

社内の承認作業がリモートで完了!

freeeサインでは、契約書の作成依頼から承認にいたるまでのコミュニケーションもオンラインで管理・完結。ワークフロー機能は承認者の設定が可能なので、既存の承認フローをそのまま電子化することができます。

文書に応じて電子サイン・電子署名の使い分けが可能!

電子契約サービスの中には、どんな文書であっても1通送信する度に100~200円程度の従量課金が発生するものも少なくありません。freeeサインでは、従量課金のない「電子サイン」と従量課金のある「電子署名」のどちらを利用するかを、文書の送信時に選択できます。

重要な契約書や、後に争いが生じる可能性が高い文書には「電子署名」を利用して、より強固な証跡を残し、それ以外の多くの文書には「電子サイン」を利用するといった使い分けができるので、コスト削減につながります。

電子契約で契約書作成にかかる手間・コストを削減

電子契約にすると押印や郵送、契約管理台帳へのデータ入力の必要がなく、契約に関わる手間が大幅に削減されます。さらに、オンライン上での契約締結は印紙税法基本通達第44条の「課税文書の作成」に該当しないため、収入印紙も不要です。

電子契約で完結することで、郵送する切手代や紙代、インク代なども不要となり、コストカットにつながります。

過去の契約書もクラウド上で保存してペーパーレス化

紙ベースで契約書類を作成すると、紛失や破損の恐れがあります。また、管理するための物理的なスペースを確保しなくてはなりません。また、電子帳簿保存法の改正でPDFでの保管にも制約が発生します。

freeeサインでは、過去の契約書もPDF化してタイムスタンプ付きで保存ができるので、今まで紙やPDFで保存していた契約書も一緒にクラウド上で管理することができます。クラウド上で管理することで紛失や破損の恐れも解消され、社内間での共有も楽になります。

気になる方は、無料登録でも書類の作成や電子締結ができる「freeeサイン」をぜひお試しください。

監修 山本 健太 弁護士(第二東京弁護士会)

レイ法律事務所スポーツ部門、企業法務(ネット炎上対応・不祥事対応なども含む)担当弁護士。小中高と野球漬けの生活を送り、スポーツ選手の代理人になる夢を持ち、弁護士を志す。eスポーツ(e-Sports)も含む幅広いスポーツ分野において、選手・スポーツマネジメント会社・チーム・団体などの契約問題を扱う。日本プロ野球選手会公認選手代理人。2020年度より一般社団法人全日本シニア体操クラブ連盟常務理事。

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