労働者派遣契約の電子化が解禁!電子契約に踏み切るにはどうしたらいい? 

コロナ禍を契機にオフィスでの「脱はんこ」「ペーパーレス化」の議論が盛り上がっています。

テレワークの進展とともに、その必要性はますます高まっていると言えます。

「はんこをやめて、電子契約システムに切り替えたい」と考える企業も増えていることと思います。

しかし、今までは法令上の規制があり、「脱はんこに踏み切れない」「電子契約導入のネックになっていた」という側面もあるのではないでしょうか?

そんな中、法改正によって令和3年1月1日、「労働者派遣契約」の電子化が解禁されました。

この記事では、「労働者派遣契約」を締結することがある企業に向けて、契約書面の電子化解禁について、そして、電子化に移行するためにはどのような手順を踏めば良いかについてを解説します。

1.労働者派遣契約の電子化が解禁

令和3年1月1日、「労働者派遣法」(正式名称:「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律」)が改正されました。

今回の法改正により、「労働者派遣契約書」を書面交付ではなく、電子化しても良いことになりました。

ここで言う「労働者派遣契約書」とは、「契約の当事者の一方が、相手方に対し労働者派遣することを約する契約」のことです。

具体的に言えば、「人材派遣会社Aから、企業Bに労働者を派遣する場合」にA社とB社の2者間で締結する契約のことを指します。

「労働者を何人派遣するのか?」「労働者はどんな業務に従事するのか?」「就業規則は?」といった契約内容を事前に定め、万が一、派遣労働者がトラブルを起こした、あるいは巻き込まれた場合に、企業間の紛争を事前に回避する目的で結ぶものです。

従来は、法律の定めの下、書面により作成することとされていました。

2.法改正の内容と、その根拠は?

「労働者派遣法」第21条 第3項では従来より以下のように定められています。

労働者派遣契約の当事者は、当該労働者派遣契約の締結に際し法第二十六条第一項の規定により定めた事項を、書面に記載しておかなければならない。

労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律施行規則(昭和六十一年労働省令第二十号)|e-Gov法令検索
https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=361M50002000020

これに対し今回の法改正で、厚生労働省が「従来の省令の一部を改正」するとしたのです。

令和2年9月18日に開催された厚生労働省の「労働政策審議会」にて公開された資料のうち、「資料1−2 労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律施行規則の一部を改正する省令案等について」には以下のように記載されています。

労働者派遣契約に係る事項の電磁的記録による作成について
労働者派遣契約の当事者は、施行規則第21条第3項に基づき、書面により作成することとされている労働者派遣契約について、電磁的記録により作成することも認めることとする。

資料1−2 労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律施行規則の一部を改正する省令案等について
https://www.mhlw.go.jp/content/11600000/000673594.pdf

考え方としては、労働者派遣契約については、書面保存に係る事業者負担が大きいことから、電磁的方法による保存を認めることが適当である、といったものが背景にあるようです。

参考:労働者派遣制度に関する議論の中間整理
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_13646.html

3.電子化で得られる5つのメリット

今回の法改正により「労働者派遣契約書」の電子化が解禁されたことで、「自社でも電子契約に切り替えよう」と検討する企業も多いはずです。

電子化、ペーパーレス化というと「はんこを押すためだけに出社しなくて済む」といったメリットがまず思い浮かびますが、恩恵はそれだけではありません。

例えば「電子契約システム」を導入した場合、長期的に見ると「手間」「スピード」「利便性」「安全性」「コスト面」といった複数の切り口でのメリットが考えられます。

(1)手間

「紙&印鑑」の契約書を作成する場合、印刷・製本・押印の上、郵送や手渡しが必要です。

それに対し、「電子契約システム」を導入すれば、これらの手間は全て無くなり、ファイルをアップロードするために数回クリックするだけで、契約書を相手方に受け渡すことが可能になります。

(2)スピード

郵送や手渡しで相手方からの返信を待っていると、契約締結までに1〜2週間のスケジュールは見ておかなければなりませんでした。しかも、途中で相手方の手元でどうなっているのか、ステータスも可視化できません。

一方、「電子契約システム」なら即日締結が可能で、相手方の進捗状況も可視化してモニタリングできます。

(3)利便性

紙の契約書を長期保存している場合を考えると、オフィス以外の場所では書類に触れることすらできません。また、遡って過去の書類を探索するにも時間がかかります。

一方、「電子契約システム」ならリモートアクセスが可能になり、オフィスへ出社する必要性から解放されます。そして、過去データの探索もクイックにできます。

(4)安全性

紙の契約書をオフィスに保管する場合、キャビネットに物理鍵を施錠して保管することになります。

一方、最新の「電子契約システム」ならデータの暗号化、二段階認証への対応など、セキュリティ面で強固であることを強みにしている製品も数多く存在しています。

(5)コスト面

紙の契約書を郵送する場合、切手代など送料がかかりますが、電子契約システムなら送料をまるごとカットできます。

また、物理的に保管するものが無くなるので、オフィス内での保管場所、管理コスト、管理のための人件費も削減を図ることが可能になります。

参考:電子契約の導入を検討する上で一番大切なことは何か?
https://digitalworkstylecollege.jp/column/points-to-consider-when-introducing-electronic-contracts/

電子契約活用ガイドラインVer.1.0について
https://www.jiima.or.jp/wp-content/uploads/policy/denshikeiyaku_guideline_20190619.pdf

4.電子契約システム導入のためのステップ

(1)「電子契約システム」を比較・検討する

前述のような「5つのメリット」を考えて、自社には「電子契約システム」の導入で受けられる恩恵が大きそうだと考えたなら、これを機会にぜひ、いくつかの「電子契約システム」を比較・検討してみましょう。

当メディアにおいて2020年9月に「電子契約システム5選を比較」という記事を公開していますので、こちらの記事の中でご紹介しているサービスもご参考ください。

▼【2020年】電子契約システム5選を比較|Digital Workstyle College

「電子契約システム」には、無料プランを提供しているサービスも多々あります。

ただし多くの場合「無料プラン」は契約書作成・保存通数や、ログイン人数などの機能制限があります。

有料プランでは、月々の契約書作成通数や、締結に必要なログイン人数に応じて、複数の料金プランが用意されているものです。

よって、「自社では月に平均して何通ぐらい契約書を作成する必要があるのか?」「締結までに、ログインして決裁すべき人数は最大何人か?」といった視点をポイントに、「電子契約サービス」を選定するようにすると良いでしょう。

(2)決裁フローを整理する

前項で述べた「締結までに、ログインして決裁すべき人数は最大何人か?」とも関わりますが、今までは書面で社内の上長に会って決裁を取り、その次に法務担当者に会って決裁を取り……といったアナログ・人手で行っていたフローを可視化して整理しましょう。

「どの順番で」「どの担当者に」決裁を取れば契約締結完了なのか、まずはフローを整理し、それを電子契約サービスに設定する必要があるためです。

こういったポイントを導入前に押さえておくことで、その後の電子化運用がスムーズになります。

5.ミニマムなワークフローを構築する視点を持とう

「労働者派遣契約」の電子化解禁という話題をきっかけに、「電子契約システム」の導入に踏み切るためにはどんなポイントを押さえておくと良いか、ということを解説しました。

自社内のDX(デジタルトランスフォーメーション)推進のためには、「ただ、最新のITツールを導入するだけで成功する」「圧倒的な効率化が実現する」という訳ではありません。

社内の既存ワークフローを見直して、根本的な無駄を発見し、そこを省いてからITツールを導入し、ミニマムなワークフローを構築していく。そんな視点こそまずは必要だと言えます。

こういったポイントを理解して、ぜひ自社内の業務改善に繋げていきましょう。

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