社名・商品名を安心して使い続けられ、ブランド価値を高める「商標権取得」

私達がさまざまな商品やサービスを購入する時、数多くの「商品名」「ロゴマーク」などを目にします。

これらは言わば企業の「顔」であり、その多くは「商標登録」がなされ、他人に勝手に模倣されないよう、その権利が保護されています。

「商標登録」を行うと、具体的にどんな権利を主張でき、自社にどんなメリットをもたらすのでしょうか?

この記事では、商標出願から登録のあらましについて述べ、その基礎知識をお伝えします。

1.商標とは

(1)商標とはどんなものを指すか?

商標とは、商品やサービスに付ける「マーク」や「ネーミング」のことで、他社の商品・サービスと区別するためのものです。

言わば、商品・サービスの「顔」として重要な役割を担うもので、「物言わぬセールスマン」などと言われることもあります。

何らかの商品・サービスを選ぶ時、その商品に付いているブランドロゴやネーミングなどを一つの目印として選ぶ場面はありませんか?「このメーカーの製品だから信頼できる、安心だ、これに決めよう」といった判断で購入に至る場面とは、多々あるものです。その背景には、企業が日々の事業活動やサービス向上などによって消費者からの信頼を獲得し、ブランドイメージを確立させていった企業努力があります。それゆえ、商標とは「物言わぬセールスマン」と言われるのです。

商標は、商品名や、平面で表現されたロゴマークだけとは限りません。以下で掲げる例のように、「立体」「色彩」「音」なども商標として認められます。

●「立体商標」…例:企業のマスコットキャラクター

●「動き商標」…例:映画上映前に流れる配給会社のアニメーションロゴ

●「ホログラム商標」…例:クレジットカード表面のホログラム

●「色彩のみからなる商標」…例:コンビニ看板の色彩の組み合わせ

●「音商標」…例:企業のサウンドロゴ

●「位置商標」…例:商品に付けるマーク・デザインの位置や間隔を特定するもの。

       大手食品メーカーのカップラーメンのパッケージデザイン、

       特定ブランドのジーンズのポケットのステッチやブランドロゴ付与位置など

これら、商標を知的財産として法律で守るものが「商標権」です。

また、マークやロゴだけを登録するのではなく、必ず商品・サービスとセットで登録するものだ、ということも理解しておきましょう。例えば、「自動車に付ける商標として、商品名を登録する」「宿泊予約サービスサイトやアプリに付ける商標として、ロゴマークを登録する」という考え方です。

[参考]商標制度の概要|特許庁

https://www.jpo.go.jp/system/trademark/gaiyo/seidogaiyo/chizai08.html

初めてだったらここを読む~商標出願のいろは~|特許庁

https://www.jpo.go.jp/system/basic/trademark/index.html#01

(2)商標登録をするメリット・効果

「商標権」は、特許庁に出願し、商標登録を受けることで取得できます。

商標登録には審査があります。審査には一定の基準があり、場合によっては商標として認められないこともあります。

【登録することができない商標】

①誰の商品か、区別し難いもの

(例)単に商品の産地、販売地、品質のみを表示する商標

   「北海道」など

②公益に反するもの

(例)国旗と同一か、類似しているもの

   公序良俗を害するおそれがあるもの(過激・卑わいな文字・図形、人種差別用語など)

   商品誤認を生じるおそれがあるもの(「ビール」に「○○ウイスキー」という商標など)

③既に登録されている他人の商標と類似・同一のもの

つまり、「何でも出願した者勝ち」という訳ではなく、審査に通らない場合もあることを理解しておきましょう。

審査に通ったら、その後一定期間に登録料を納付すると、正式に商標登録がなされ、権利が発生します。

権利を取得すると、指定の商品・サービスについて登録商標を独占的に使用できるようになります。また、第三者が類似または同一の商標を使用することを排除できます。権利を侵害する者に対しては、侵害行為の差し止め、損害賠償等を請求できます。

日本では「先願主義」という考え方を取っています。同一または類似の出願がある場合、先に出願したほうに権利を認めるというものです。つまり、先にロゴマークやネーミングを使用していても、出願をしていなければ権利は一切認められないということです。たとえ模倣でも、後出しでも、とにかく出願・登録したほうに権利を認める、ということです。それどころか、出願・登録をせずにネーミングやロゴを使い続けていると、その間に出願・登録を済ませて先に権利を取得した他人の商標権侵害にあたる可能性があります。

そのため、特にスタートアップなどで社名・商品名・アプリ名など新たに考案する際には、その後長期的に安心して使用するために、商標のチェックは必須、と考えておいたほうが良いでしょうお。

そして、商標出願・登録して権利を正式に獲得しておくことは、顧客や投資家からの信頼を高め、その後の企業ブランディングや成長にとっても重要な要素となっていきます。

また、商標権とは、日本国内でだけ効力が及ぶ権利です。外国には及びませんので、外国でも権利を主張したい場合には、その国での権利を別途取得することが必要です。

参考:スタートアップ向け情報 | 経済産業省 特許庁
https://www.jpo.go.jp/support/startup/index.html

2.商品・サービス名決定前に、商標を検索してみよう

前章で、商標登録をしないで商品・サービス名を使っていると、知らないうちに先に商標権を取得した他人の権利を侵害してしまうおそれがある点に触れました。

このようなリスクを回避し、自社で安心して商品・サービス名を使い続けるために、まずは既存の商標を検索してみましょう。

既に登録されている商標とは、「特許情報プラットフォーム J-PlatPat」を使って調べることができます。

出典:特許情報プラットフォーム J-PlatPat
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/

このサイト内のメニュー「商標検索」を利用することで、呼称(読み方)が類似する商標まで検索することができます。

そして、調べるべきポイントとは、以下の4つです。

①会社名

②商品・サービス名

③会社ロゴ

④商品・サービスロゴ

調べた結果、既に他の人が同じ商品・サービス群で同一または類似の商標権を取得していることが判明した場合には、商品・サービス名の変更を検討するほうが良いでしょう。

ただし、「株式会社○○」など自己の正式名称を、特定の商品とセットではなく、例えば名刺に記載するなど普通に用いられる方法で使う場合は、商標権侵害にはなりません。

また、全く違う商品・サービス群なら他人の商標権侵害にはなりません。

(例)「商標『ABC』+服」で先に出願があっても、「商標『ABC』+飲食」は侵害にならない

参考:商標権とは?具体例を使ってわかりやすく解説!|Toreru media

3.商標を取得する費用は?

商標を出願・登録する際には、費用がかかります。また、一度取得した権利は10年で終了するため、使い続けるためには更新費用がかかります。これは、何度でも更新可能です。

●商標出願料 3,400円+(8,600円×区分数 ※注1)

●商標登録料 28,200円×区分数(※10年分の額)

●更新登録申請料 38,800円×区分数(※10年分の額)

(※注1)「区分数」とは、商標とセットで登録する商品・サービス区分のこと。

4.商標出願〜登録の手続き

以下に掲げるフロー図は、商標登録までの流れを示したものです。

出典:初めてだったらここを読む~商標出願のいろは~|特許庁
https://www.jpo.go.jp/system/basic/trademark/index.html#02

特許庁へ出願後、審査が行われます。この審査で、「登録できない理由を含むもの(他社と類似・同一/公益に反するなど)」は弾かれます。そして、審査を通過したものだけが商標登録を受けることができます。出願や登録(更新)等する際には、所定の料金の納付が必要になります。

また、原則として出願から2〜3週間後に、出願内容が世間一般に対して広く公開されます(出願公開)。

このようなプロセスを経て、「設定登録」に至ると商標権の発生に至ります。

また、出願方式には「書面で提出」「オンライン」のいずれかを選べます。

(1)書面で提出する場合

①所定の様式をインターネットからダウンロードして、登録願書類を作成

②郵便局などで「特許印紙」を買って貼り付け

 ※「収入印紙」とは別物です。

③特許庁窓口へ提出するか、郵送する

④手数料を納付

書面提出の場合、「電子化手数料」がかかります。1,200円+(700円×書面のページ数)かかりますので、出願書類のページ数が多い場合にはオンライン申請がおすすめです。

(2)オンライン申請する場合

特許庁の「電子出願ソフトサポートサイト 」にアクセスし、マイナンバーカードとICカードリーダーを活用することでオンライン申請ができます。

また、民間のオンラインサービスで特許庁へのオンライン申請に対応しているものもいくつかあります。この場合、商標検索、商標調査、出願書類作成サポート、弁理士によるサポートなどを手厚く受けられることもメリットで、商標出願が初めての方におすすめです。

民間のオンライン商標登録サービス比較については、当メディアの過去記事でもご紹介していますので、こちらもご参考ください。

▼【2020年】オンライン商標登録サービス4選を比較|Digital Workstyle College
https://digitalworkstylecollege.jp/service/shohyoshinsa/

5.商標は自社の「顔」である商品・サービスを守り、ブランド価値を高めるもの

商標権とは、自社の商品・サービス名に関して長期的に権利を保護できる制度であることを解説してきました。

商品・サービスとは言わば、自社の「顔」とも言えるものです。

それを他社に勝手に模倣されたり、出願で知らぬ間に先を越されてしまうと、自社のブランド価値・信頼低下につながるリスクも孕んでいます。

まずは商標の仕組みについて正しく知り、自社の知的財産を適正に保護していきましょう。

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