「注文請書」にも収入印紙は必要?その判断基準や、不要になるケースを解説

工事や警備、保守、清掃など取引先から仕事を請け負う際に作成する「注文請書」。

実はこの「注文請書」も、契約金額に応じて収入印紙の貼り付けが必要です。

今回の記事ではビジネスパーソンに向けて、「注文請書」に関係する収入印紙の詳細や、印紙が不要となるケースなどについて詳しく解説をしていきます。

1.注文請書とは?

(1)どんな場面で発生するもの?該当の文書とは?

「注文請書」とは、印紙税法上の「請負に関する契約書」に該当します。

「請負人(仕事を受ける側)」がある仕事の完成を約束し、「注文者」がそれに対して報酬を支払うことを約束することによって成立する契約をいいます。

建設工事のような有形サービスのほか、警備、機械保守、清掃など無形サービスも含まれます。

具体的には

・工事請負契約書

・工事注文請書

・物品加工注文請書

・広告契約書

・会計監査契約書 

などが請負に関する契約書に該当します。

また、プロ野球選手や俳優などの専属契約書も請負に関する契約書に含まれます。

参考:No.7102 請負に関する契約書|国税庁
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/inshi/7102.htm

(2)どんな手続きが必要か

ではここからは、具体的な事例を挙げつつ、注文請書の作成にはどんな手続が必要なのかを見ていきましょう。

例①:工事注文請書

画像出典:工事注文請書|国税庁
https://www.nta.go.jp/law/shitsugi/inshi/12/12.htm

土木工事を請け負った際に、請負側が発注先に対して「工事注文請書」を作成交付します。

請負側の署名捺印のみを行い、契約当事者双方の署名押印のない文書となりますが、これは印紙税法上の第2号文書(請負に関する契約書)として課税対象になります

これは、請負契約の成立を証明する文書で、印紙税法上の契約書には念書、請書その他契約の当事者の一方のみが作成する文書も含まれるという考え方に基づくものです。

よって、請負側(=請書の作成者側)が収入印紙を貼り付け、割印をする必要があります。

例②:物品販売の注文請書

画像出典:物品販売の注文請書|国税庁
https://www.nta.go.jp/law/shitsugi/inshi/12/11.htm

得意先から注文のあったカタログ商品の販売を受注した際に、「注文請書」を作成交付している場合です。

その表題は「請書」となっていますが、これも収入印紙の貼り付けが必要な「課税文書」に該当するのでしょうか?

答えは「該当しない(印紙不要)」です。

その理由は、契約の内容が「物品譲渡(規格品、製品)」であり、「請負(仕事の完成)」ではないからです。

よってこの例のような「物品譲渡」の場合には、収入印紙の貼り付け・割印は不要です。

(3)印紙がかかる場合の、印紙税額一覧

次表は、「例①工事注文請書」のように印紙が必要な場合の印紙税額一覧表です。

記載された契約金額税額
1万円未満のもの非課税
1万円以上 100万円以下のもの200円
100万円を超え 200万円以下のもの400円
200万円を超え 300万円以下のもの1000円
300万円を超え 500万円以下のもの2000円
500万円を超え 1,000万円以下のもの1万円
1,000万円を超え 5,000万円以下のもの2万円
5,000万円を超え 1億円以下のもの6万円
1億円を超え 5億円以下のもの10万円
5億円を超え 10億円以下のもの20万円
10億円を超え 50億円以下のもの40万円
50億円を超えるもの60万円
契約金額の記載のないもの200円

参考:No.7102 請負に関する契約書|国税庁
https://akatsuka-law.jp/column/order-and-acceptance.html

2.印紙が必要かどうかの判断基準は?

(1)契約金額1万円未満は印紙不要

前表で印紙税額を示したとおり、請負の契約金額が「1万円未満」の場合には印紙の貼り付けは不要です。まずは契約金額で判断しましょう。

(2)契約内容が「物品販売・譲渡」の場合は印紙不要

前述の通り、「受け手側が請負によって、有形・無形の仕事を完成させる」契約の場合は印紙が必要です。

一方、単なる「物品(規格品)の販売・譲渡」の場合は「請負契約」には当てはまらず、印紙は不要です。

書面の表題が「請書」となっていても、その契約内容によって判断が必要です。

(3)印紙が必要な場合、発注者側と受注者側どちらが印紙を貼る?

印紙が必要な場合には、「請書の作成者(=仕事を受ける側)」が印紙を貼ります。

3.こんな場合に印紙は要る?要らない?

(1)署名押印のない場合は?

「注文請書」は、印紙税法上では「請負に関する契約書」に該当し、すなわち「契約書」の一種であるという考え方です。

印紙税法上の「契約書」とは、印紙税法別表第一の「課税物件表の適用に関する通則」の5において、

契約の成立若しくは更改又は契約の内容の変更若しくは補充の事実を証すべき文書をいい、念書、請書その他契約の当事者の一方のみが作成する文書又は契約の当事者の全部若しくは一部の署名を欠く文書で、当事者間の了解又は商慣習に基づき契約の成立等を証することとされているものを含むものとする

No.7117 契約書の意義|国税庁
https://www.nta.go.jp/m/taxanswer/7117.htm

と規定されています。

よって、署名押印がない場合でも、

●契約金額が1万円以上の場合

●物品の譲渡ではない場合

には印紙の貼り付けが必要になります。

(2)金額の記載がない場合は?

①金額の記載が一切ない場合

前表の通り、契約金額の記載がないものは印紙税額「200円」です。

②別添見積書などがあり、引用金額が明らかな場合

(例1)注文書には契約金額の記載はないが、その注文書で引用している見積書に「注文請書」に係る契約金額10万円の記載のある場合

(例2)注文書には「合計金額110万円」と記載されているが、その注文書で引用している見積書に、「注文請書」に係る契約金額10万円の記載のある場合

(注)機械は規格品である。

画像出典:注文請書の記載金額|国税庁
https://www.nta.go.jp/law/shitsugi/inshi/12/19.htm

見積書等を引用した「注文請書」については、契約金額が明らかである場合には、その金額が記載金額となります。

(例1)(例2)の注文請書については、見積書によって請負に係る金額が10万円であると明らかになりますから、記載金額10万円の「注文請書」になり、印紙が必要です。

③注文番号により、引用金額が明らかな場合

画像出典:注文番号を記載した注文請書の記載金額|国税庁
https://www.nta.go.jp/law/shitsugi/inshi/12/21.htm

「注文請書」に金額が記載されていなくても、「記号」や「番号」により引用金額が明らかな場合には、金額を記載していることと同等に見なされます。

よって上記の例の場合には「金額350万円」の注文請書となり、印紙が必要です。

参考:注文請書の記載金額|国税庁
https://www.nta.go.jp/law/shitsugi/inshi/12/19.htm

注文番号を記載した注文請書の記載金額|国税庁
https://www.nta.go.jp/law/shitsugi/inshi/12/21.htm

(3)メールやFAXで送った場合は?

「注文請書」メールやFAXなど電磁的記録によって相手方に送った場合には、紙の「文書」を作成したことにはならないので、課税の根拠が発生しません。

よって、このような場合には印紙が不要です。

ただし、後から改めて紙の文書を持参・送付する場合には「文書」を作成したことになりますから課税根拠が発生し、印紙が必要になります。

参考:国税庁 福岡国税局 文書回答例
https://www.nta.go.jp/about/organization/fukuoka/bunshokaito/inshi_sonota/081024/02.htm#a01

(4)電子契約システムで送った場合には?

電子契約システムで「注文請書」を送った場合にも前述のメール・FAX送信同様、紙の「文書」を作成していませんから、課税根拠が発生せず、印紙の貼り付けは不要です。

4.電子契約システムなどを活用して印紙の負担コスト減を検討しよう

「注文請書」に係る印紙とは、仕事の請負側が貼り付けることが通例です。

しかし、一方的な租税負担が続くと、発注側と長期的に取引関係を継続していく中でコスト面での負担がどんどん膨れ上がっていきます。

よってこの記事で解説したように、電子契約などを活用し印紙税額負担を軽減する方法を検討して、取引先とも折衝していくことをおすすめします。

参考記事:【2020年】電子契約システム5選を比較
https://digitalworkstylecollege.jp/news/electronic-contract-system/

Digital Workstyle College 編集部
この記事を書いた人