「スマートフォンでの使いやすさを第一に考える」現場作業の多い清掃業におけるペーパーレスの進め方とは?

清掃会社である日美装建株式会社では、現場での作業が多いにもかかわらず、紙文化が根付いていました。そんな同社がペーパーレスをはじめとするクラウドを導入したことで、業務効率化や利益の向上を実現しています。今回は、日美装建株式会社でシステム管理者として従事し、現在Salesforceの導入支援を行うKLever株式会社の代表取締役を務める長谷川慎氏にお話を伺いました。

話し手:長谷川慎氏
KLever株式会社 代表取締役
静岡県出身。個人事業主としてアフィリエイトと転売を6年経験後、2016年に日美装建株式会社に就職し、IT事業部室長に就任。2018年にKLever株式会社を設立し、Salesforceの導入支援を軸に事業を展開している。

現場作業が多い中でも根付いていた紙文化

日美装建株式会社は、札幌市を拠点として、ビルメンテナンスや空調メンテナンスを行う清掃会社。クラウド導入前の同社の課題は、現場作業が多いために起こる伝達不足や、それによって発生するクレーム、さらにクレームのたびに現場に行くことで費用がかさみ赤字が発生してしまうことでした。年間約3,600件ある現場のうち、10%にあたる360件ほどが赤字案件となってしまっていたそうです。

また、紙文化が根付いており、社内のデータはすべてペーパー管理。保管場所が大量に必要になってしまうことや、過去のデータを検索できないなどの問題を抱えていました。

クラウドの導入により赤字や残業をゼロに

そんな中、2015年に営業支援ツール「Salesforce」を導入することに。これまで現場で紙に書き込んでいた現場報告書ですが、Salesforceでは入力するだけで利益率などをグラフで表示してくれます。予実管理もSalesforceに日々入力することで、リアルタイムなデータを現場からも確認できるようになりました。「数値やグラフ化により、社員一人ひとりにコスト意識が芽生えたのだと思います。360件あった赤字案件は1年後には60件、2年後には30件、3年後にはほぼ0件になりました」と長谷川氏は言います。

同社がSalesforceの導入で目指したのは、請求書のペーパーレス化でした。これまで経理担当が一人でエクセルでの請求書作成、印刷、封入、発送までを作業しており、請求書関連の作業に毎月20時間の残業が発生していたといいます。Salesforce導入後は、電子印により出社しなくても請求書の発行が可能になり、一人で行っていた作業も数人で分担できるようになりました。これにより、毎月150件ほどの請求書発送に10日かかっていたものが、出力や封入の作業が無くなったことで3日に短縮されたのです。請求書関連にかかる残業は1年後に15時間、2年後に5時間となり、そして3年後には残業ゼロを実現しました。

ほかにも、日々の資材購入に必要な稟議書をクラウド化したことにより承認ステップが可視化されたことや、承認後の注文書発行がそのままクラウド上で可能になったこと、これまで各自のPC上で作成していた見積書をクラウド上で作成できるようにしたことで過去の見積や金額感などが把握できるようになったことなど、あらゆる作業において作業効率化につながっています。

また同社は、クラウドストレージサービス「Box」も導入しています。それまではエクセルの報告書に作業前後の写真を何枚も挿入していたため、データが重くなりメール添付できないことがありました。Boxは容量無制限のためそういった心配がなくなり、容量の大きい図面のPDFなどの管理も楽になっています。

社内ニーズに合わせた工夫で社内に浸透

クラウドサービスを導入できても、それを社内に浸透させることは容易ではありません。長谷川氏は、スマートフォンに慣れていてPCを使うのを嫌がる社員が多いと感じていました。「スマートフォンでの使いやすさを第一に考え、ボタンの数を減らして分かりやすくなるよう仕様を変更しています。最初は車両の走行距離を入力するなどの簡単な作業から始めて、徐々に慣れてもらうように心がけました」

また、クラウドサービスが敬遠される原因の一つがIT用語ですが、長谷川氏はSalesforce独自の用語やIT用語は一切使わないようにしていたそうです。「私自身IT企業に勤めたことがないので、IT用語にとっつきにくさを感じてきました。社内のペーパーレス化には必ずしも用語は必要ではないと思い、すべて分かりやすい言葉に置き換えて説明していました」

経験を活かしIT企業の立ち上げへ

Salesforceのユーザーであった長谷川氏ですが、2018年にSalesforceの導入支援を行うKLever株式会社を設立します。現在の導入実績は約50社。Salesforce以外にも、帳票作成サービス「OPROARTS」や会計ソフト「freee」、クラウドストレージサービス「Box」、Salesforce上でエクセルのようにデータが入力できる「RaySheet」、営業ルートを効率化してくれる「UPWARD」などの導入支援を行っています。

各社でのレクチャーでは伝えきれないことも多く、平日には毎日、Salesforceの使い方動画を配信しています。業務を行っている中では気付きにくいような細かい部分まで網羅しており、現在約170本を公開中です。「小さい会社なので広告にもなっており、動画を見てお問い合わせいただくこともあります。またPDFのマニュアルでは伝わりにくい部分もあるので、動画で説明することでコミュニケーションコストの削減にもつながっています」

クラウドの導入は、業務改善やコスト削減につながっているだけではありません。長谷川氏は最後に、「クラウドサービスを使い続けることで、今まで気づかなかった見方ができるようになります。大事なのは行動することです。クラウドサービスを活用しデータを分析していくことで、社員の意識も変わり、強い組織になると思っています」と話してくださいました。

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Digital Workstyle College 編集部
この記事を書いた人