【2020年版】人気の人事労務管理システム4選を比較

「働き方改革関連法」への法令対応や、社会保険の電子申請の義務化への対応は、企業にとって避けられない課題。これらを機に、人事労務システムを新たに導入検討する企業も多いのではないでしょうか?煩雑な業務や書類も多い人事・労務の業務については、ここ最近、急速にシステム化が進み、多くのシステムが開発されている状況です。

今回は、人事労務管理システムの中でも人気で、他のツールとの連携にも優れた、SmartHR、jinjer労務、人事労務freee、ジョブカン労務管理の4つのツールを紹介いたします。

人事労務管理システムとは

人事労務管理システムとは、従業員の人事・労務管理にまつわる様々な手続きを、手作業でなくシステム化することによって効率化をはかるものです。

人事労務に関する業務は、従業員の情報管理や勤怠管理といった、社内で発生する業務でなく、社会保険手続きなど、行政に提出しなければならないの書類作成もあります。こうした煩雑な作業に費やす時間は、企業にとって無視できないコストになっているのが現状です。

人事労務管理システムを導入することで、人事情報の収集、労務関連の書類作成、行政への電子申請など、これまで手作業でおこなっていた業務を自動化することができます。

かつては大企業では自社で労務管理システムを構築し、中小企業ではExcelなどで管理していた人事や労務の業務ですが、近年では、複雑なセットアップやメンテナンスが不要なクラウドタイプのシステムが多く開発され、その使い勝手の良さから主流となりつつあります。

人事労務管理システムの基本的な機能

人事労務管理システムは、人事情報・労務管理・勤怠管理・給与計算などの人事・労務管理に関連した機能を備えたツールです。

サービスやプランによって提供される機能は異なりますが、導入することで実現できる機能にはいかのようなものがあります。

(1)入社・退社における手続き

入社・退社時には様々な手続きが必要になります。

人事労務管理システムでは、このような煩雑な手続きをスムーズにする機能を搭載。必要書類の準備と、届出、社員情報の整備などの業務を効率化してくれます。

入社手続き
・労働条件通知・雇用契約書作成
・社会保険(厚生年金保険・健康保険・介護保険・雇用保険・労災保険)
・雇用保険資格取得書類
・扶養者控除申告書

退社手続き
・社会保険や雇用保険の資格喪失届

(2)従業員情報管理

労働者名簿は、労働基準法に基づき、必ず作成が必要な「法定三帳簿」の1つです。適切に整備していない場合は労働基準法違反となります。

最低限の情報だけでなく、自社で必要な従業員情報を盛り込んだ名簿を作成することにより、人材管理と活用にいかすことが可能です。

・氏名 登録・変更
・所属部門・役職
・生年月日
・社内連絡先(部署連絡先・携帯電話・メールアドレス)
・住所 登録・変更
・扶養追加/削除
・マイナンバー管理

(3)勤怠管理

従業員の就業状況を正確に把握するために必要なのが「勤怠管理」システムです。

特に、時間外労働と有給休暇管理については「働き方改革関連法」にそった運用が求められます。

人事労務システムでは、36協定の基準に沿ったチェックをおこない、月の残業時間の上限に達しそうだったり、有休取得数が足りなかったりなどした場合には、従業員にアラート通知を送って、警告する機能があるものもあります。

・出勤・打刻時刻、遅刻、早退、欠勤の管理
・休日出勤、時間外労働管理
・有給休暇管理

(4)給与支払・年末調整

給与支払や年末調整にかかる作業を効率化してくれる機能です。

勤怠管理と連動することによって、時間外勤務や休日出勤からの賃金の計算をおこなうことができます。

年末調整の必要書類については、用紙に記入する作業を入力で代替し、質問に答えることで必要書類を作成してくれる機能を有するソフトも。

・算定基礎・労働保険の年度更新
・報酬月額変更
・年末調整の必要書類配布・回収・進捗管理
・給与・賞与明細/源泉徴収票の発行

(5)e-Gov電子申請

2020年4月以降に開始される各特定の法人の事業年度から、社会保険の手続きの一部を電子申請することが義務化(https://www.e-gov.go.jp/mhlw/0310.pdf)されています。

基本は「e-Gov電子申請(https://www.e-gov.go.jp/shinsei/)」からおこなうのですが、「外部連携API」対応の人事労務管理システムであれば、既存システムのデータを利用して申請書を作成することができ、作業を効率的におこなうことができます。

(6)他システムとの連携

人事労務管理システムを新しく一から導入する場合は統一したブランドでそろえれば良いですが、すでに既存のシステムがある場合は、新しく導入するシステムが連携できるかどうかを事前に確認しておく必要があります。

人事労務管理システム比較表

今回の記事では人事労務管理システムの中でも人気の、Smart HR、jinjer労務、人事労務freee、ジョブカン労務管理の4つのツールを紹介いたします。機能比較について表にまとめましたので、ご参照ください。

※2020年6月22日一部修正

機能SmartHRjinjer労務人事労務freeeジョブカン労務管理
雇用契約
入退社手続き
jinjer人事
住所氏名・扶養など変更手続き
社会保険電子申請
従業員名簿
jinjer人事
勤怠管理jinjer勤怠ジョブカン勤怠管理
経費精算jinjer経費会計freeeジョブカン経費精算
給与計算jinjer給与ジョブカン給与計算
年末調整jinjer給与
外部サービスとの連携チャットツールや他社人事労務サービスとの連携可能JInjerシリーズで連携するほか、他システムもCSV形式連携可能CSVファイルで取り込み可能の他、API連携により月別データを自動で取り込むことも可能ジョブカンシリーズ内での連携ほか、チャットツールや他社人事労務サービスとの連携可能
導入企業遠鉄グループDMM.comメルカリなどレプロエンタテインメントサンケイ会館
など約11,000社
三井住友海上エイジェンシー・サービス株式会社セイバン・ファミリア・カンパニーなど株式会社キャプサー株式会社ホームネットなど
ジョブカンシリーズで導入実績30,000社以上
人事労務システム比較表 各サイトを元に作成

参考:Smart HR導入企業一覧
https://smarthr.jp/case/list.html

参考:jinjer 導入事例
https://hcm-jinjer.com/results/

参考:人事労務freee 導入事例
https://www.freee.co.jp/cases/?cond=service~hr

参考:ジョブカン  導入事例
https://lms.jobcan.ne.jp/case/

ここに示した機能はあくまで概要であり、それぞれのシステムのプランによって機能が異なる場合があります。

いずれも人気のシステムなだけあって、人事・労務管理に必要と思われる機能を網羅できるように設計されているのがポイントです。

それぞれのシステムの契約内容によって、使える機能が異なります。次の項で1つずつ見ていきましょう。

人事労務管理システムの概要

それでは、上記の比較表に掲載した4つの人事労務システムについて、詳細を見ていきましょう。

 SmartHR

画像: SmartHRサイトより
https://smarthr.jp/

SmartHRの主な機能や特徴

SmartHR(スマートエイチアール)は、株式会社SmartHRが提供するクラウド型の人事労務管理システムです。

雇用契約や入社手続きをオンラインで完結することが可能。入社する社員の雇用形態を選択すると、入社時に必要な労働条件通知書や雇用契約処など、様々な書類を自動作成してくれます。契約書をメールで送付し、従業員はPCやスマホから確認して署名すれば雇用契約も完了。印鑑も不要です。

従業員は、自分の情報をスマートフォンから入力することで、従業員名簿や年末調整の必要書類が完成します。書類のやりとりの手間や、入力ミスを省くことができる使い勝手の良さで、企業の規模を問わず人気のシステムです。

もちろん、社会保険・雇用労働保険手続きなどの電子化にも対応。e-Gov電子申請をシステムよりおこなうことにより、役所への移動時間や交通費・郵送費を削減可能です。

他のシステムと異なり、会計・経費精算のシステムを自前で持っていないため、連携できる外部サービスの数が多いのも特徴としてあげられます。

SmartHRのプランと価格

トライアルあり 15日間(スモールプランのみ)人数制限なし
無料プランあり 30名まで(カスタマーサポートなし)
有料プランスモールプラン:600円 × 人数/月(社員名簿機能や多言語対応なし)
スタンダードプラン:850円 × 人数/月
プロフェッショナルプラン:要問い合わせ

参考:SmartHR公式サイト 料金プラン
https://smarthr.jp/pricing/

SmartHRのプランは無料プランと有料プランが3タイプ。全部で4つの料金プランとなっています。

社員の人数によって料金が変更する従量課金制をとっており、30名までが無料プランの対象です。

小規模の企業では、代表者が人事労務管理を手作業でおこなっている場合も多いため、必要最小限の機能を備えた¥0プランを日数の制限なく使用できるのはとても助かるのではないでしょうか。

SmartHR運営会社

運営会社株式会社SmartHR
設立2013年1月23日
住所〒106-6239東京都港区六本木3-2-1 住友不動産六本木グランドタワー 39F
従業員数100名

jinjer労務

画像:jinjer労務サイトより
https://smarthr.jp/

jinjer労務の主な機能や特徴

jinjer労務はプロダクトを組み合わせて使うシステム「jinjer」の労務管理システムです。

jinjerは、労務管理以外にも人事管理、勤怠管理、経費管理、給与管理システムなどがあり、必要な機能をチョイスして契約できます。

 jinjer労務では、社会保険の各種手続きの電子申請に対応。手続き書類の作成から申請までを可能な限りWEB上で完結することが可能です。

なお、jinjer労務は、単体での契約ができないため、入社や退職、不要の追加や削除などの従業員情報をリスト化して情報管理し、必要な手続きごとにピックアップできる「jinjer人事管理」や労働時間の集計や各種申請、承認業務から有休や残業時間の管理をおこなう「jinjer勤怠管理」などを組み合わせて契約することになります。

外部サービスと連携も可能ですが、すべての管理システムを「jinjer」でそろえることで、社内システムを一元管理できるのが大きな特徴です。

 jinjer労務のプランと価格 

トライアルあり(要相談)
無料プランなし
プラン1ユーザーにつき労務管理 300円/月

以下のプランのいずれかと組み合わせて使う(※)
・人事管理 500円/月
・給与計算 500円/月
・経費精算 500円/月
・勤怠管理 300円/月
・コンディション管理 300円/月
・ワークフロー 300円/月
※労務管理、コンディション管理、ワークフロー管理は単体での使用は不可

 JInjerはプロダクトごとに料金が異なります。

企業の課題に合わせて複数のプロダクトを組み合わせて使う形になりますが、労務単体での契約はできないので、人事管理や給与計算、勤怠管理などと併せて契約が必要です。

jinjer労務の運営会社

運営会社株式会社ネオキャリア( NEO CAREER CO., LTD. )
設立2000年11月15日
住所〒141-0031 東京都品川区西五反田2-8-1 五反田ファーストビル 9F
従業員数3,103名 ※2018年6月末時点

人事労務freee

画像:人事労務freeeサイトより
https://www.freee.co.jp/hr/

人事労務freeeの主な機能や特徴

人事労務freeeは、会計ソフトで人気の「会計freee」の人事労務版。給与計算機能をはじめ、年末調整や勤怠管理など労務業務を一元化するクラウドソフトです。

通常業務だけでなく、労務管理体制を整える機能もバックアップ。

賃金台帳・労働者名簿・出勤簿からなる法定三帳簿を、毎月の給与計算によって、自動で作成・更新。社労士監修の就業規則テンプレートと作成マニュアルを提供しており、就業規則作成と労働基準監督署への届出をスムーズにおこなうことができます。

会計freeeも導入している場合は、給与明細の作成に伴い、勘定科目の割り当てと仕訳までを自動で完了。他社ソフトはCSVファイルもしくはAPI連携が可能です。

slackを出退勤の打刻操作や給与明細発行通知などに利用することもできます。

人数が50名以上の場合は、勤怠管理から給与計算、年末調整、保険手続きまで一気通貫で標準化する「クラウドERP freee」もおすすめです。

人事労務freeeのプランと価格 

トライアルあり 従業員1~20名まで 30日間 
無料プランなし
プラン・ミニマムプラン:1,980円~/月 23,760円~/年 
従業員追加 月額 300円/人(税抜)

・ベーシックプラン:3,980円~/月 47,760円~/年 
従業員追加 月額 500円/人(税抜)
・プロフェッショナルプラン:8,080円~/月 96,960円~/年
 従業員追加 月額 700円/人(税抜)
※基本料金は従業員3名分までの料金

・エンタープライズプラン:要問い合わせ
オプション:電話サポート 1,980円 / 月 
年間一括払いのみ(ミニマムプラン・ベーシックプラン向け)

参考:人事労務freee公式サイト 価格・プラン 
https://www.freee.co.jp/hr/price/

人事労務freeeは、機能によって3つの有料プランを設けています。

ミニマムプランは、給与計算、年末調整、勤怠管理など管理者による必要最小限の機能です。法定三帳簿とマイナンバー管理は含まれています。

ベーシックプランになると、入退社手続きと、従業員による入植機能が加わり、プロフェッショナルプランは、フレックス制や裁量労働制など様々な勤務形態の管理が可能です。

基本料金は月額と年額があり、それぞれ3名分の従業員までの料金が含まれています。

従業員が4名以上の場合は、人数分の追加料金が必要です。

人事労務freeeの運営会社

運営会社freee株式会社
設立2012年7月
住所〒141-0031 東京都品川区西五反田2-8-1 五反田ファーストビル 9F
従業員数506名(2019年6月末時点)

ジョブカン労務管理

画像:ジョブカン労務管理サイトより
https://lms.jobcan.ne.jp/

ジョブカン労務管理の主な機能や特徴

ジョブカン労務管理は、ジョブカンシリーズの中の1つ。

従業員情報をクラウドで一元管理し、社会保険・労働保険の手続きについて、帳表作成から提出までサポートしてくれます。

勤怠管理や給与精算などについては、ジョブカンシリーズで別のソフトがありますので、必要な機能を組み合わせて契約するパターンです。

一番人気は、3つの機能を組みあわせた「人事労務バリューパック」で、ジョブカン勤怠管理・給与計算・労務管理をセットで使うことができます。

事業所ごとの閲覧権限の設定や、社内独自の帳票の共有機能など、労務業務の効率をアップさせるカスタマイズも可能。

さらに、採用活動に使うことができる「ジョブカン採用管理」から、採用者情報をそのまま労務管理に引き継ぐことができるのが大きなメリット。

シリーズでそろえることで、採用から退職までをシームレスに一元管理できます。

ジョブカン労務管理のプランと価格 

トライアルあり(30日間)
無料プランあり(機能制限あり)従業員 5名まで
プラン1ユーザーにつき400円/月
・勤怠管理 200円/
・月給与計算 300円/
・月経費精算 400円/月
・ワークフロー 300円/月
など組み合わせて利用可能
※月額最低利用料金は2,000円(税抜)
※ジョブカンシリーズを利用の場合は特別料金あり
【例】人事労務バリューパック(ジョブカン勤怠管理・給与計算・労務管理のセット):800円/月ほか要問い合わせ

ジョブカン労務管理は、従業員人数によって金額が決まる従量制です。ただし、月額最低利用料金は2,000円と決まっていますので、人数が少ない場合は、最低料金を上回るように機能を組み合わせる必要があります。

ジョブカン労務管理の運営会社

運営会社株式会社Donuts(英文名 Donuts Co. Ltd.)
設立2007年2月5日
住所〒151-0053 東京都渋谷区代々木2-2-1 小田急サザンタワー8F
従業員数300名(正・契約社員)

まとめ

今回は、クラウドタイプの人事労務管理システムの中でも人気のSmartHR、jinjer労務、人事労務freee、ジョブカン労務管理の4つのツールをご紹介しました。

人事労務システムは、今回ご紹介したもの以外にも様々な製品がありますが、大きく分けると、機能をパッケージ化し、プランによって機能が加わるものと、欲しい機能を組み合わせて契約システムになっているものが一般的です。

ほとんどのソフトは、無料トライアルでお試しもできますので、まずは使い勝手を確認してから、経理や勤怠管理などを含めた社内システムを、ワンストップで同じシステムにするか、すでに導入済みの既存のシステムと連携させるかどうか判断するのがおすすめです。

Digital Workstyle College 編集部
この記事を書いた人