オンライン入社式やってみてどうでした?サイボウズ担当者に訊いてみた

グループウェアやクラウドサービスを提供するサイボウズ株式会社は、約10年前からテレワークに取り組んでいます。今年は新型コロナウイルスの影響を受け、入社式を初めてフルリモートで実施しました。オンラインで行ったことによる気付きや今後の課題などについて、入社式を担当された小野 加寿也さんと高木 一史さんに伺いました。

オンライン入社式の苦労

―――入社式をオンラインで開催しようという判断はいつ頃されたんですか?

4月1日が入社式だったんですが、3月25日にオンライン入社式の実施を決めました。

―――かなり直前ですね!準備期間が一週間と短いですが、一番苦労したのはどんなことですか?

社内の各部署との連携や調整に苦労しました。まず、新入社員の手元にPCを届ける必要があったので、セキュリティ上の問題についての確認や総務との連携など、とにかく関係部署が多くありました。
ただ、社内は基本的にグループウェアでコミュニケーションを取っているので、オンライン入社式の連絡をしたら各部署から自主的にメンバーをアサインしてくれるなど、調整を手伝ってくれて助かりました。

―――他に大変だったことはありますか?

PCの設定と発送ですかね。キャリア採用分も含め45人分くらい発送したので、大量の段ボールや緩衝材の確保に奔走しました(笑)。

「いつまでに発送すれば入社日までに新入社員の手元に届くか」を確認し、逆算して設定作業を進めていきました。

「サイボウズ情シス社員によるツイート。入社日に間に合うように人事や情シスで準備・手配。」

―――PCを無事届けることができても、そのあと新入社員が自力でオンライン入社式に出席できるかどうか、社員も新入社員もきっと不安でしたよね。

初めての試みだったのでやはり不安はありましたね。例年は入社後にPCのセットアップなどを手取り足取り教えるんですが、今回はそういうわけにはいかなかったので。クラウドサービスの「kintone」を使い、社員とのやり取りやマニュアルの確認ができるようにしました。

―――PCの設定と発送が第一優先だったと思いますが、入社式の配信にあたっての準備などはスムーズに進められましたか?

情報システム部門のメンバーと事前に打ち合わせを重ねたので、社内の協力体制は万全だったと思います。オンライン入社式には「zoom」を使用したのですが、全員がセットアップにかかる時間などの予測を立てて、当日はある程度想定通りに進められました。

万が一セッティングがうまくいかなかった場合に備えて、緊急連絡先を伝えておいたんです。2、3人から連絡がありましたが、無事その方々も入社式に出席できました。「入社式までに全員がセットアップを終わらせる」というのが一番大変だったかもしれません。

スケジュールや内容の変化

―――オンラインにしたことで、入社式や研修中のスケジュールにも変化はありましたか?

例年は午前中に入社式、午後からPCのセットアップを行っていました。今回は、PCのセットアップやzoom研修などをしないことには入社式さえ始められない状態だったので、入社日はまずインフラ整備からのスタートでしたね。入社式は16時半に開始しました。

―――入社式までの準備が大変だったんですね。入社式の内容や入社日で、変わった部分はありますか?

初めての試みとして、最初に10分程度、社員が誰でも入ってこられる「ウェルカムタイム」という時間を設けました。入社式2日前くらいに思いついて、全社員に呼びかけたんですが、なんと250人も集まってくれたんです。各部署を紹介して、部署ごとに「入社おめでとう!」と手を振ってもらいました。
このウェルカムタイムがとても好評で、新入社員から「こんなに多くの人が、自分たちのために仕事を中断して顔を出してくれることがうれしかった」という声をもらいました。多くの社員が新入社員を祝福できるのは、オンラインならではの良さですね。来年以降も、画面に映してみんなでお祝いする時間は設けたいなと思っています。

―――入社式は社長や人事の方と行う儀式、という感じがありますが、こうやって社員の方々に歓迎されるのはきっとうれしいですね。ほかに、これまでと異なる点はありますか?

これまで雇用契約書は紙で交わしていて、署名して各々が社長に直接手渡していたんです。でも今年はそれができなかったので、雇用契約書は「kintone」を使ってオンライン上で交わしました。

―――これまでにもオンライン上で雇用契約書を交わすという選択肢はあったと思うんですが、敢えて紙で行ってきたのには理由があるんでしょうか?

たしかに、オンラインでしようという議論も以前からありました。「契約」という行為を通して、新入社員に社会人としての自覚を持ってもらいたいという思いから、これまでは紙で交わすことにこだわってきたんです。

初任給交付時の写真

―――今回オンラインで行ってみてどうでした?

後で新入社員にアンケートを取ったんですが、社会人として心を新たにする瞬間は、そこだけではないことが分かりました。たとえば、研修を受けたときや実際に働いている人の話を聞いたとき、給料をもらったときなどに社会人として働いていくんだと実感するようです。これからは紙での雇用契約書にこだわる必要はないかなと思っています。

―――入社時にはほかにも提出書類があると思いますが、基本的にオンラインでのやりとりだったんでしょうか?

基本はすべてオンラインで行い、書類の提出には「kintone」などを使いました。紙でのやりとりだと紛失リスクなどがあるので、むしろクラウドのほうが安全な気がします。オンライン入社式に関して運営側で出社が必要だったのは、PCと健康保険証の発送作業のときだけでした。

―――ほかにも入社式をオンラインで実施したことによる良い変化はありましたか?

キャリア採用でも4月1日入社の方がいたんですが、今回初めて新卒採用と一緒に入社式を行いました。採用区分に関係なく、サイボウズの一員として迎えることができたのは良かったなと思いますね。

―――境目を無くして壁を感じさせないのは、オンラインの良さですね。

一般的に、部屋に集まるときは、どこが上座で…など上下関係を意識させられることも多いと思いますが、オンラインだとそういったものがないので、フラットな関係でいられる気がします。

オンラインの課題

―――逆に、オフラインのほうがいいと感じる場面や、オンラインの課題はどんなところでしょうか?

まだ直接会ったことがない人と、相手がどういう人なのか分からない中でコミュニケーションを円滑に進めるのは、オンラインだと難しいなと思いました。

―――会社側も同期で仲良くなってほしいという思いがあるでしょうし、オンラインだとそういう関係性を作るのも難しそうですよね。

そうなんですよね。1か月一緒に研修していても、まだ一度も直接会ったことがないというのが現状です。研修中は毎朝30分のフリータイムを設けてコミュニケーションを取れる環境づくりはしたんですが、やはりオフラインには敵わないですね。

新人研修を1か月やってみて、新入社員同士や、新入社員と私たちとの関わりはできましたが、他部署や先輩との交流の機会が持ちづらいなと感じています。これまでなら、先輩からご飯の誘いがあったり、部活動に顔を出してみたりと、接点を持つ機会は多々ありました。オンラインだと同期以外の社員とどう関わらせるか、というのが課題です。

社内のオープンスペースや、自動販売機の前で先輩に会うというような偶然の出会いが、オンラインだとないですからね。

何か困っていたら先輩が声をかけてくれるとか、これまではそういう小さな接点があったんです。今回は、今後新入社員が出社しても配属以外の先輩と自然と関わっていくというのが難しい気がしています。

―――今回オンライン入社式を行ったことで、オンラインの良さと同時に課題も見えてきたという感じですね。

オフラインとオンライン、それぞれにメリットがあると思うんですが、今回特に感じたのは、オンラインは人数の制約がないということです。聴講など大人数に聞いてほしいことはオンライン、少人数で話し合いたいときなどはオフライン、といったようにうまく使い分けしていきたいと思っています。また、オンラインコミュニケーションが当たり前になる中で、オフラインで集まることにどんな価値があるかを、今後探究していきたいですね。

取材をしてみて

オンラインの入社式ってどうだったんだろうか?と編集部で話をして生まれた本企画。
取材をしてみると、オンライン入社式をやったことで、リアルでやっていたことの価値を見直すきっかけになっていたり、ウェルカムタイムなどオンラインの良さ取り入れる企画が生まれていました。
オンラインだけだと「偶然の出会いがない」という課題も生まれていることが徐々に明らかに。
この経験を踏まえて、オンボーディング(入社から社員として慣れること)が前よりよくなるきっかけにしていくことが大切という感想を持ちました。

Digital Workstyle College 編集部
この記事を書いた人