現実世界で開かれる交流会といえば、ホテルの宴会場を貸し切って名刺交換をしたり、飲み物や軽食を口にしながら立ち話をしたりする光景が思い浮かびます。2020年のごく初期までは、こうした交流会が全国各地で頻繁に催されていました。しかし状況は一変。なるべく人と会わない、接触しないことが推奨されるようになると、ZoomやGooglemeetなどのWeb会議システムを使って交流会を開催することが一気に増えました。
一方で、従来のオンラインツール以外にも、Web上のイベントを大人数で参加・開催できて、なおかつ機能が充実したものを求める声に応えたツールが次々にリリースされるようになりました。
「オンラインネットワーキング(交流会)サービス」とは、インターネット上での交流会の開催を支援する、Webツールサービスです。
提供内容にもよりますが、名刺やSNSのプロフィール交換、関心のある話に耳を傾け、話の輪に加わること、参加者のデータをCSV形式でダウンロードなど、現実世界とオンラインのメリットをミックスした機能があることが特徴です。一部のサービスは、パソコンだけでなくスマートフォンにも対応しています。
それでは、既にリリースされているオンラインネットワーキング(交流会)サービスにはどんな機能があるのか、見ていくことにしましょう。
オンラインネットワーキング(交流会)サービスのほとんどは、参加者同士が自由に交流できる「ルーム」と呼ばれるスペースがあります。主催者はイベントの最中でも、参加人数に合わせてルームを作成・追加できます。
ルームの名前や参加人数、入室時に必要なパスワードやバナーなど、幅広く設定可能です。
アイコンを動かすだけで、画面を切り替えることなくルームを自由に行き来できます。
ルーム内では、参加者は全て丸いアイコンになっており、アイコンを近づけたり、離したりすることで、まるでオンラインでも「立ち話」をしているような雰囲気を演出します。
一覧表示されている参加者名をクリックして、参加者同士でSNSのプロフィールページを交換したり、直接メッセージをやり取りしたりできる機能です。他に、参加者一覧から関心のある人を検索したり、現在のルームの場所を調べたりできます。
YouTubeやZoomといった外部アプリケーションと連携し、画面共有や動画配信ができます。
今回は、オンラインネットワーキング(交流会)サービスの中から、4つのサービスをご紹介します。
Remo(リモ)
https://remo.co/
oVice(オヴィス)
https://ovice.in/ja/
Spatial Chat(スぺイシャルチャット)
https://spatial.chat/
実際にオンラインで交流会を開催する場合、参加人数や目的に合わせて最適なオンラインネットワーキング(交流会)サービスを選択することが大切です。比較表として以下にまとめましたので、選ぶときの参考にしていただき、不明な点や詳細を確認したいときは、各公式サイトからお問い合わせください。
Remo (リモ) | oVice (オヴィス) | エリンギ | Spatial Chat (スぺイシャルチャット) | |
ブラウザ | Windows:Google Chrome、FirefoxMac:Google Chrome、Safari | Safari(Apple系デバイス)、Chrome、Firefox、Opera(Windows・Mac、Android端末) | Chrome 74 以降Safari 12.1 以降Firefox 66 以降Microsoft Edge 74 以降 ※画面共有可能なブラウザはChromeのみ。ただし、他ユーザーから画面共有をされたときはすべてのブラウザで表示できる。 | Google Chrome, Safari or FirefoxMicrosoft Edge |
スマートフォン対応 | ○ (ただし、ベータ版。iOSではSafari、AndroidではChrome) | ○ | ○ (iOSではSafari、AndroidではChrome) | 未対応 |
料金プラン | Host、Director、Producer、Boutique、CUSTOM PLANS※7日間のトライアル期間後に移行 | スポット利用と定期利用可能。Basic、Standard、Organization、Enterprise Plan | 10人、20人、30人、50人、70人、100人、100人以上の7種類から選択可能※お試しで30分、10人までのプランもあり | Free(無料)、Standard($49,99/month)、Pro(要相談) |
YouTubeなどを使ったライブ配信 | ○ | ○ | ○ | ○ |
画面共有 | ○ | ○ | ○ | ○ |
比較表でご紹介した4つのオンラインネットワーキング(交流会)サービスについて、概要と実際の使用イメージを記載しました。こちらも合わせてご覧ください。
画像:Remo公式サイトより
Remo(リモ)は、動画・音声・チャットを使ってオンラインで交流イベントなどを行う、Webサービスです。1つのテーブルに複数の椅子で構成された“ルーム”が2Dマップ上に展開されており、テーブルに着席しているメンバーと動画・音声・チャットで会話を楽しめます。また、自分のアイコンを自在に動かすことでルームを移動したり、話しかけたいアイコンのそばに置いて話しかけたりできます。
ホストは、各テーブルの名前だけでなくフロアデザイン、イベントリンクのドメイン名をカスタマイズ可能です。
Remo(リモ)は、ISO27001をはじめとしたさまざまな基準をクリアした認証済みのリアルタイムデータベースとデータベースクラウドサービスを使用しています。交流会のスムーズかつ安定した運営を、セキュリティの面からサポートも。
Remo(リモ)の料金プランは下記の通りです。
Host | Director | Producer | Boutique | CUSTOM PLANS | |||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
年額 | 月額 | 年額 | 月額 | 年額 | 月額 | 年額 | 月額 | ||
費用(全てUSドル) | 100 | 125 | 360 | 450 | 680 | 850 | 1560 | 1950 | 2,500~ |
参加者数/1イベント | 50 | 200 | 500 | 850 | 大規模イベントの開催 企業の部門ごとの複数アカウント運用など | ||||
1テーブルの最大着席数 | 4 | 6 | 8 | 8 | |||||
開催時間(h)/1イベント | 1.25 | 2.5 | 5 | 8 | |||||
同時イベント開催数 | 1 | 2 | 3 | 5 | |||||
スピーカー(登壇者)数 | 6 | 8 | 10 | 10 | |||||
HD録画ストレージ(GB) | 20 | 30 | 40 | 80 | |||||
全プラン共通の機能 | ・プレゼンテーションモード及びその録画 ・会場全体への通知機能(Announcement) ・プロフィールはLinkedInと連携 ・モバイルブラウザ対応 ・フロアデザイン・カラーを選べる ・チャット履歴のエクスポート ・参加者へのリマインダーメール配信 |
▼Remo(リモ)
https://remo.co/
画像:oVice(オヴィス)の実際の利用画面
oVice(オヴィス)は、カンファレンスやオフィス、イベントスペースなどに利用可能な、オンライン上のバーチャルスペースです。株式会社NIMARU TECHNOLOGYが開発・運営し、8月のサービス開始以降、200以上の企業が利用しています。
自分のアイコンを他のアイコンに近づけることで、会話がスタート。アイコンの距離に合わせて近くにいる人の声は大きく、遠くにいる人の声は小さく聞こえます。オフラインの交流会やイベントのように、参加者が話したい人の隣に移動して会話したり、興味を引かれた会話に参加したりする場を創り出します。
これまではバーチャルオフィスでの利用がメインでしたが、交流会をはじめとしたさまざまなイベントをオンラインで開催する機会も増えたことを受けて、2020年11月25日に、イベント専用の料金プランが誕生しました。
プラン | Meetup | Conference | Exhibition | Expo Plan |
---|---|---|---|---|
人数 | 20~30人 | 50~70人 | 200~300人 | 500人以上 |
費用・円(週) | 2500 | 10000 | 25000 | 要相談 |
最大フロア面積 | 1200x640 | 2400x1280 | 4800x2560 | 要相談 |
同時接続 | 50人まで | 200人まで | 500人まで | 要相談 |
共通の機能 | ・自動更新なし ・期費用不要 ・機能制限なし ・サイネージ設置制限なし ・イベント数制限なし ・期間内何回でも開催可能 |
▼oVice(オヴィス)
https://ovice.in/ja/
画像:マイページ メインページ
「エリンギ」は株式会社tsamが2020年10月1日にリリースしたばかりの、交流会、懇親会に特化したオンライン動画通話サービスです。ルームと呼ばれる複数の枠で、最小2人から最大10人まで交流可能です。誰がどのルームに参加しているのか、俯瞰で見られるため、会話に加わりたい人のアイコンまで、自分のアイコンを移動できます。ユーザー登録はメールアドレス、Facebookアカウント、Twitterアカウントで可能です。
主催者が設定可能な機能には、イベント単位またはルームごとのパスワード、ルームの名前やロゴ、入室できる人数(最大10名まで)があります。ルームは何室でも作成可能で、各ルームにホストを置きたいときに便利です。また主催者は、イベントへの参加者を確認できる他、参加者一覧をCSVデータとしてダウンロード可能です。
以下にエリンギの料金プランを記しました。他のサービスと比較して、人数ごとに細かくプランが設定されているのが分かります。
プラン(お試し以外全て2.5h) | 最大イベント開催時間 | 参加可能ユーザー数 | 費用 |
---|---|---|---|
お試しイベント | 30分 | 10人 | 無料 |
10人 | 150分 | 10人 | 2,000円 |
20人 | 150分 | 20人 | 4,000円 |
30人 | 150分 | 30人 | 6,000円 |
50人 | 150分 | 50人 | 10,000円 |
70人 | 150分 | 70人 | 14,000円 |
100人 | 150分 | 100人 | 20,000円 |
100人以上 | 150分 | 要相談 | 要相談 |
▼エリンギ
https://eryngii.org/
画像:SpatialChatの実際の使用画面
Spatial Chat(スぺイシャルチャット)はキプロスのリマソールに本社を置く、FunCorpによるオンラインイベントサービスです。日本ではスペチャ、スパチャと呼ばれています。アイコンの距離により音声の強弱が変動すること、ルーム上に作成された複数のブースを自由に移動できることは、他のオンラインネットワーキング(交流会)サービスと共通していますが、テーブルや椅子といったものはなく、カラーの背景に丸いアイコンというシンプルなデザインが特徴です。
動画や音声の品質にほとんど左右されることなく、1ルームにつき最大10,000人の同時参加、100人以上の参加者を対象としたイベント開催が可能です。画面共有(スクリーンシェア)にはWebブラウザ上、クリエイティブボード、ソースコード、プロジェクト管理ボードなどが利用できます。
料金プランは次の通りです。
プラン | Free | Standard | Pro |
---|---|---|---|
料金 | 無料 | $49,99/month | 要相談 |
人数・用途・機能など | ・4名様までのグループや初心者向け ・スクリーンシェア&コラボレーション ・画像や動画を共有 | ・少人数のチームや臨時のミーティングに、フリープランの全機能をプラス ・最大150名まで利用できる3ルーム ・月間5,000人分の参加が可能 | ・オンライン会議のネットワーキング・イベント、大規模なミートアップ&プライベートパーティーや全社遠隔会議向け ・大型イベント用 スタンダードプラン」の全機能に加えて、ブランディングとサブドメインをカスタマイズ可能 ・マルチルーム対応 |
▼Spatial Chat(スぺイシャルチャット)
https://spatial.chat/
ビジネスパーソンの人脈形成にひと役買っている交流会。セミナーを開催後に交流の場を設けた場合、オフラインでは立ち話で交流するためか、関心のある人と話したくて順番待ちをしているうちに疲れて、帰ってしまう参加者も現れます。交流会後の満足度にも多少なりとも影響を与えるほどです。
一方オンラインでは、好きな場所から、座ったままで、他のことをしながら気軽に参加できます。交流会にかかる運用コストなどの観点、今後の社会情勢が向こう2年ほど変わらないことを考えると、イベントのオンライン化、オンラインネットワーキング(交流会)サービスを利用したネット上の交流会は、今後もさらに増えていくでしょう。