オンラインネットワーキング(交流会)サービス4つを比較

現実世界で開かれる交流会といえば、ホテルの宴会場を貸し切って名刺交換をしたり、飲み物や軽食を口にしながら立ち話をしたりする光景が思い浮かびます。2020年のごく初期までは、こうした交流会が全国各地で頻繁に催されていました。しかし状況は一変。なるべく人と会わない、接触しないことが推奨されるようになると、ZoomやGooglemeetなどのWeb会議システムを使って交流会を開催することが一気に増えました。

一方で、従来のオンラインツール以外にも、Web上のイベントを大人数で参加・開催できて、なおかつ機能が充実したものを求める声に応えたツールが次々にリリースされるようになりました。

オンラインネットワーキング(交流会)サービスとは?

「オンラインネットワーキング(交流会)サービス」とは、インターネット上での交流会の開催を支援する、Webツールサービスです。

提供内容にもよりますが、名刺やSNSのプロフィール交換、関心のある話に耳を傾け、話の輪に加わること、参加者のデータをCSV形式でダウンロードなど、現実世界とオンラインのメリットをミックスした機能があることが特徴です。一部のサービスは、パソコンだけでなくスマートフォンにも対応しています。 

オンラインネットワーキング(交流会)サービスの基本機能

それでは、既にリリースされているオンラインネットワーキング(交流会)サービスにはどんな機能があるのか、見ていくことにしましょう。

ルームの作成・追加

オンラインネットワーキング(交流会)サービスのほとんどは、参加者同士が自由に交流できる「ルーム」と呼ばれるスペースがあります。主催者はイベントの最中でも、参加人数に合わせてルームを作成・追加できます。

ルームごとに設定できるさまざまな機能

ルームの名前や参加人数、入室時に必要なパスワードやバナーなど、幅広く設定可能です。

ルーム間の自由な移動

アイコンを動かすだけで、画面を切り替えることなくルームを自由に行き来できます。

アイコンの距離と音声の強弱が連動

ルーム内では、参加者は全て丸いアイコンになっており、アイコンを近づけたり、離したりすることで、まるでオンラインでも「立ち話」をしているような雰囲気を演出します。

参加者同士によるプロフィール交換、ダイレクトメッセージ機能

一覧表示されている参加者名をクリックして、参加者同士でSNSのプロフィールページを交換したり、直接メッセージをやり取りしたりできる機能です。他に、参加者一覧から関心のある人を検索したり、現在のルームの場所を調べたりできます。

画面共有、動画配信機能

YouTubeやZoomといった外部アプリケーションと連携し、画面共有や動画配信ができます。 

比較表

今回は、オンラインネットワーキング(交流会)サービスの中から、4つのサービスをご紹介します。

Remo(リモ)
https://remo.co/

oVice(オヴィス)
https://ovice.in/ja/

エリンギ
https://eryngii.org/

Spatial Chat(スぺイシャルチャット)
https://spatial.chat/

実際にオンラインで交流会を開催する場合、参加人数や目的に合わせて最適なオンラインネットワーキング(交流会)サービスを選択することが大切です。比較表として以下にまとめましたので、選ぶときの参考にしていただき、不明な点や詳細を確認したいときは、各公式サイトからお問い合わせください。

 Remo
(リモ)
oVice
(オヴィス)
エリンギSpatial Chat
(スぺイシャルチャット)
ブラウザWindows:Google Chrome、FirefoxMac:Google Chrome、SafariSafari(Apple系デバイス)、Chrome、Firefox、Opera(Windows・Mac、Android端末)Chrome 74 以降Safari 12.1 以降Firefox 66 以降Microsoft Edge 74 以降
※画面共有可能なブラウザはChromeのみ。ただし、他ユーザーから画面共有をされたときはすべてのブラウザで表示できる。
Google Chrome, Safari or FirefoxMicrosoft Edge
スマートフォン対応
(ただし、ベータ版。iOSではSafari、AndroidではChrome)

(iOSではSafari、AndroidではChrome)
未対応
料金プランHost、Director、Producer、Boutique、CUSTOM PLANS※7日間のトライアル期間後に移行スポット利用と定期利用可能。Basic、Standard、Organization、Enterprise Plan10人、20人、30人、50人、70人、100人、100人以上の7種類から選択可能※お試しで30分、10人までのプランもありFree(無料)、Standard($49,99/month)、Pro(要相談)
YouTubeなどを使ったライブ配信
画面共有

オンラインネットワーキング(交流会)サービスの詳細

比較表でご紹介した4つのオンラインネットワーキング(交流会)サービスについて、概要と実際の使用イメージを記載しました。こちらも合わせてご覧ください。

Remo(リモ)

画像:Remo公式サイトより 

Remo(リモ)は、動画・音声・チャットを使ってオンラインで交流イベントなどを行う、Webサービスです。1つのテーブルに複数の椅子で構成された“ルーム”が2Dマップ上に展開されており、テーブルに着席しているメンバーと動画・音声・チャットで会話を楽しめます。また、自分のアイコンを自在に動かすことでルームを移動したり、話しかけたいアイコンのそばに置いて話しかけたりできます。

ホストは、各テーブルの名前だけでなくフロアデザイン、イベントリンクのドメイン名をカスタマイズ可能です。

Remo(リモ)は、ISO27001をはじめとしたさまざまな基準をクリアした認証済みのリアルタイムデータベースとデータベースクラウドサービスを使用しています。交流会のスムーズかつ安定した運営を、セキュリティの面からサポートも。

Remo(リモ)の料金プランは下記の通りです。

HostDirectorProducerBoutiqueCUSTOM PLANS
年額月額年額月額年額月額年額月額
費用(全てUSドル)100125360450680850156019502,500~
参加者数/1イベント50200500850大規模イベントの開催
企業の部門ごとの複数アカウント運用など
1テーブルの最大着席数4688
開催時間(h)/1イベント1.252.558
同時イベント開催数1235
スピーカー(登壇者)数681010
HD録画ストレージ(GB)20304080
全プラン共通の機能・プレゼンテーションモード及びその録画
・会場全体への通知機能(Announcement)
・プロフィールはLinkedInと連携
・モバイルブラウザ対応
・フロアデザイン・カラーを選べる
・チャット履歴のエクスポート
・参加者へのリマインダーメール配信

▼Remo(リモ)
https://remo.co/

oVice(オヴィス)

 画像:oVice(オヴィス)の実際の利用画面

oVice(オヴィス)は、カンファレンスやオフィス、イベントスペースなどに利用可能な、オンライン上のバーチャルスペースです。株式会社NIMARU TECHNOLOGYが開発・運営し、8月のサービス開始以降、200以上の企業が利用しています。

自分のアイコンを他のアイコンに近づけることで、会話がスタート。アイコンの距離に合わせて近くにいる人の声は大きく、遠くにいる人の声は小さく聞こえます。オフラインの交流会やイベントのように、参加者が話したい人の隣に移動して会話したり、興味を引かれた会話に参加したりする場を創り出します。

これまではバーチャルオフィスでの利用がメインでしたが、交流会をはじめとしたさまざまなイベントをオンラインで開催する機会も増えたことを受けて、2020年11月25日に、イベント専用の料金プランが誕生しました。

プランMeetupConferenceExhibitionExpo Plan
人数20~30人50~70人200~300人500人以上
費用・円(週)25001000025000要相談
最大フロア面積1200x6402400x12804800x2560要相談
同時接続50人まで200人まで500人まで要相談
共通の機能・自動更新なし
・期費用不要
・機能制限なし
・サイネージ設置制限なし
・イベント数制限なし
・期間内何回でも開催可能

▼oVice(オヴィス)
https://ovice.in/ja/

エリンギ

画像:マイページ  メインページ

「エリンギ」は株式会社tsamが2020年10月1日にリリースしたばかりの、交流会、懇親会に特化したオンライン動画通話サービスです。ルームと呼ばれる複数の枠で、最小2人から最大10人まで交流可能です。誰がどのルームに参加しているのか、俯瞰で見られるため、会話に加わりたい人のアイコンまで、自分のアイコンを移動できます。ユーザー登録はメールアドレス、Facebookアカウント、Twitterアカウントで可能です。

主催者が設定可能な機能には、イベント単位またはルームごとのパスワード、ルームの名前やロゴ、入室できる人数(最大10名まで)があります。ルームは何室でも作成可能で、各ルームにホストを置きたいときに便利です。また主催者は、イベントへの参加者を確認できる他、参加者一覧をCSVデータとしてダウンロード可能です。

以下にエリンギの料金プランを記しました。他のサービスと比較して、人数ごとに細かくプランが設定されているのが分かります。

プラン(お試し以外全て2.5h)最大イベント開催時間参加可能ユーザー数費用
お試しイベント30分10人無料
10人150分10人2,000円
20人150分20人4,000円
30人150分30人6,000円
50人150分50人10,000円
70人150分70人14,000円
100人150分100人20,000円
100人以上150分要相談要相談

▼エリンギ
https://eryngii.org/

Spatial Chat(スぺイシャルチャット)

画像:SpatialChatの実際の使用画面  

Spatial Chat(スぺイシャルチャット)はキプロスのリマソールに本社を置く、FunCorpによるオンラインイベントサービスです。日本ではスペチャ、スパチャと呼ばれています。アイコンの距離により音声の強弱が変動すること、ルーム上に作成された複数のブースを自由に移動できることは、他のオンラインネットワーキング(交流会)サービスと共通していますが、テーブルや椅子といったものはなく、カラーの背景に丸いアイコンというシンプルなデザインが特徴です。

動画や音声の品質にほとんど左右されることなく、1ルームにつき最大10,000人の同時参加、100人以上の参加者を対象としたイベント開催が可能です。画面共有(スクリーンシェア)にはWebブラウザ上、クリエイティブボード、ソースコード、プロジェクト管理ボードなどが利用できます。

料金プランは次の通りです。

プランFreeStandardPro
料金無料$49,99/month要相談
人数・用途・機能など・4名様までのグループや初心者向け
・スクリーンシェア&コラボレーション
・画像や動画を共有
・少人数のチームや臨時のミーティングに、フリープランの全機能をプラス
・最大150名まで利用できる3ルーム
・月間5,000人分の参加が可能
・オンライン会議のネットワーキング・イベント、大規模なミートアップ&プライベートパーティーや全社遠隔会議向け
・大型イベント用 スタンダードプラン」の全機能に加えて、ブランディングとサブドメインをカスタマイズ可能
・マルチルーム対応

▼Spatial Chat(スぺイシャルチャット)
https://spatial.chat/

イベントのオンライン化に、オンラインネットワーキング(交流会)サービスを

ビジネスパーソンの人脈形成にひと役買っている交流会。セミナーを開催後に交流の場を設けた場合、オフラインでは立ち話で交流するためか、関心のある人と話したくて順番待ちをしているうちに疲れて、帰ってしまう参加者も現れます。交流会後の満足度にも多少なりとも影響を与えるほどです。

一方オンラインでは、好きな場所から、座ったままで、他のことをしながら気軽に参加できます。交流会にかかる運用コストなどの観点、今後の社会情勢が向こう2年ほど変わらないことを考えると、イベントのオンライン化、オンラインネットワーキング(交流会)サービスを利用したネット上の交流会は、今後もさらに増えていくでしょう。

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