社員の納得を得ながら、自社に合ったやり方で。大東建託が取り入れた柔軟な働き方

コロナ禍においてリモートワークを取り入れた次のステップとして、三密を避けた新しい働き方への移行を検討している企業も多いのではないでしょうか?

大東建託株式会社では2020年10月1日より、本社勤務の従業員を対象に毎月4,000円の在宅勤務手当の支給開始と、通勤手当の実費精算、一部従業員の単身赴任の解除を実施することを発表しています。柔軟な働き方を実現するために、どのような施策を行い、今後に向けてどのようなビジョンを掲げているのか、同社の執行役員業務統括部長の中村武志さんにお話を伺いました。

オフィス内の出社率を下げるための柔軟な考え方

新型コロナウイルスの感染が拡大していく中、総務部と経営管理本部長とで、新型コロナウイルス対策本部を立ち上げました。社員が感染しないことを最優先に、リモートワークを維持しながらどうやって業績を上げていくかなど、職種ごとの統括部門と協議を重ねてきました。

まず、これまでは一部の職種にしか導入していなかったフレックス制度を全社的に導入しました。また在宅勤務を推奨しつつ、出社率に制限をかけました。ただ、在宅勤務がしやすい人もいれば、営業や現場など、どうしても出社が必要な職種の人もいます。

そこで当社では、日ごとではなく、毎日どの時間においてもオフィスにいる人数を当初20%以内に抑えよう、という考え方で密な状態を生み出さないようにしてきました。社長が指揮を執り、企業活動において感染者を出さないように、支店閉鎖になるようなことのないように、という指針を掲げていたので理解も得やすく、スムーズにリモートワークに移行できたのではないでしょうか。また、社長が就任当初から「チャレンジしていく企業文化にしよう」というメッセージを発信し続けていたこともあり、変化を恐れない風土が定着していた部分もあると思います。

リモートワークによって就業時間内外の時間の使い方が変化

ペーパーレス化はあまり進んでいませんでしたが、コロナ禍で一気に浸透しました。

以前はすべて紙で、ハンコを押してまわすというのが日常でしたが、4年前の長時間労働改善プロジェクトの際、これらは本当に必要なのかと、すべての帳票を見直すことになりました。コロナ禍においても前例踏襲で行ってきたフローを見直し、行政関係の書類など必要なもののみ出力しハンコを押しますが、ほとんどはPDF化する流れになっています。

また、ミーティングもリモートとなったことで淘汰され、不要な会議がなくなりました。ツールは「Teams」を使用していますが、情報システム部がツールの使い方をアナウンスすることで問題なく浸透しています。

社内アンケートにおいて、出張がなくなったり、通勤時間が減ったりしたことで、時間の使い方にも変化があったことも分かっています。時間に余裕ができたことで、家族と過ごす時間が増えたり、自己啓発の時間が取れるようになったとのポジティブな感想が多くありました。

リモートでのマネジメントの難しさを痛感

リモートワークになって最も難しさを感じているのが、リモートマネジメントです。オフィスにいると、どういう発言をし、どう業務をこなし、どのように部下を指導しているかなど、ある程度把握できました。しかし在宅勤務となると、アウトプットがなければ何をしているのかが全く見えません。逆に言えば従業員も、上司の目の届かないところでもきちんと成果を出さなければならないというプレッシャーを感じていると思います。

当社の評価制度はアウトプットが大部分を占めていたため、今後は評価制度を見直していかなければならないと思っています。大事なのは、人事や経営陣がどう考えるかよりも、評価を受ける従業員が、透明性や公平性が保てていると納得してくれること。これは新型コロナに関係なく重要なことではありますが、より難易度が上がったと感じています。

新型コロナウイルス感染拡大前から上司が部下に対して、目標設定時のフィードバックと中間フィードバック、評価のフィードバックを行っています。評価や処遇に対して従業員に納得してもらうためにも、マネジメント側である管理職のスキルや伝え方などを教育していく必要があると思っています。

勤怠管理についてはこれまで通りですが、リモートワークにより残業時間が増えてしまうことは課題となっています。通勤時間がない分残業時間が増えており、ハイパフォーマンスの人ほど仕事をしすぎてしまっている印象を受けます。

残業時間の長さは以前から課題ですが、今後もっと考えていかなければなりません。

コミュニケーションにおける変化と工夫

基本的に、コミュニケーションは「Teams」でとるようにしていますが、顔を突き合わせて話す機会が減っている分、部門によっては毎週1on1ミーティングを行っているところもあります。各部門長が、試行錯誤しながら取り組んでいるといった感じです。

4月に新入社員が入社していますが、本社配属はせず、毎日短時間でも支店に出向いて仕事をしているので、職場の人と会ったことがないといったことはありません。ただ、関わる機会は確実に減っていますし、新入社員を一同に集めて研修ができなかったため、職種ごとにTeamsで顔を合わせる場を設け、同期の絆をつくる機会を与えるようにしています。

重要なのは、会社に合ったやり方を取り入れること

リモートワークに関しては、本社はフルリモートできる体制が整っていますが、全社として出社率50%以下で運営しています。フレックス制度に関しては、営業職はお客様に合わせて、工事職は現場状況に合わせて出勤時間を柔軟に変えるなど、職種に合わせてうまくフレックス制度を活用しています。

新しい働き方導入後のパフォーマンスについて、社内アンケートの結果では、「依然と変わらない」もしくは「上がった」と答えた人が多く、平均的には悪くない結果だと思います。ただ、コロナ禍で業績が下がっている現状は、パフォーマンスの低下という内部要因なのか、新型コロナによる外部要因なのかは、しっかりと見極めていく必要があります。

最近はあらゆるものを定量化できるツールが多くありますが、あくまでツールであると思っています。今まで見えなかったものを可視化するのがツール、ではそれをどう使いこなすか、それにより従業員のエンゲージメントをどう上げていくか、ということまで考えていかなければなりません。会社によって、ビジョンやカルチャー、組織の在り方などはそれぞれ異なります。自社はどうしたいか、そのために何をどう取り入れるかが大切だと思います。

さらなる発展のため、みんなが同じ方向に進める企業に

現在、新しいことにチャレンジする風土ができつつあります。それをさらに、自由闊達な、なんでも言い合えるような環境にしていきたいと思っています。生活総合支援企業を目指し、事業領域の拡大を模索していく中で、従業員をどう育てて、どういう組織を作っていくのかが課題となります。従業員に、会社のビジョンに共感してもらうこと、そして全員が同じ方向を向いて進んでいける企業文化を作っていきたいと思います。

まとめ

本社と支店でやり方を統一するのではなく、それぞれの職種に適した働き方を採用していることが印象的でした。また、定期的な社内アンケートやフィードバックの機会を設けるなど、社員が納得できる方法で物事を進めていきたいという会社の考えが随所に見られました。重要なのは他社での導入実績や評判ではなく、自社に本当に適しているものだというお話は、どのツールを取り入れてよいか分からないという企業の方にも参考になりそうです。

Digital Workstyle College 編集部
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