「社員主導」が強み。マネーツリーが進めるニューノーマルな働き方

コロナ禍において、ニューノーマルな働き方や生活スタイルが求められるようになりました。従業員の安全を守りながらも、仕事のパフォーマンスを落とさず、ストレスなく働ける環境を整えるにはどうすればよいのでしょうか。

2012年に創業し、金融データプラットフォーム「Moneytree LINK®」をベースに個人・企業向けにサービスを提供するマネーツリー株式会社。同社は、2020年9月より正式に、各社員の生活スタイルに合わせて出社、帰省、ワーケーション等を組み合わせた自由な働き方を推奨しています。今回は同社にて人事部長をされている平塚 麻子(ひらつか あさこ)さんに、お話を伺いました。

定期的な状況調査とサポートの結果、リモートワークへの移行もスムーズに

当社では、2020年2月より全社員に対してリモートワークを推奨してきました。健康状態や在宅勤務環境に問題がないか確認するため、全社員に対して定期的な状況調査を行っているのですが、大多数がリモートワークをポジティブに受け止めてくれているという結果が継続的に出ています。これなら問題なくリモートワークを続けられると判断し、リモートワークを基本とした働き方への移行を決めました。

社内では以前からSlackなどでコミュニケーションをとってきましたし、社員の多くがエンジニアなので在宅勤務での仕事も問題なく行える環境でした。また、オープンに意見を出し合える企業風土も、スムーズにリモートワークへ移行できた要因だと思います。営業担当は当初不安もあったようですが、お客様や他社も同じ状況ですし、意外と対応できると感じてくれているようです。

当社は外国籍の方も多いので、疎外感や孤立感など不安を抱えていた方に対しては、人事担当からコンタクトを取ってメンタル面のサポートをするよう心がけていました。

勤怠管理や評価制度は、ツールを徹底的に活用することでカバー

勤怠管理ツールは以前から導入していながら社内に浸透しきっていなかったので、リモートワークに切り替えるにあたり、改めてマニュアルを作成し浸透を促しました。リモートワークになったことで、業務報告書などの新たな負担を増やさないよう、ツールを徹底的に活用し、全員が使いこなせるように努めました。

当社の評価制度は、上司のフィードバックをベースに、同僚からの総合評価を反映する方法で行っています。情報の取得をより強化するため、パフォーマンスマネジメントツールである「Culture Amp」を使用しています。日系のツールは外国語非対応のものが多いことと、当ツールはシンプルで使いやすく、360度評価が可能なため、当社の評価制度に適していると判断し、今年導入しました。

勤怠管理も評価制度も、これまでと大きく変えたわけではなく、ツールを活用することでリモートワークにも対応しています。

オンラインコミュニケーションには気軽さと難しさがある

当社では以前から定期的にミーティングを行ってきましたが、Web会議では代表の話を聞くときなどに距離が近くなったと感じられるようになりました。オフィスでの会議よりも質問が多く飛び交っていたり、Slack上に雑談チャンネルを設けることで気軽にやり取りができたりと、以前よりもコミュニケーションが気軽にとれているような気がします。

それでもオンラインの制約を感じる部分もあるようで、「同じスペースでホワイトボードを使ってディスカッションしたい」などの要望がありました。こういった声に応えるために、ソーシャルディスタンスを保てるレイアウトに変更したうえで、オフィスを開放することにしました。このように、社員からの声を反映してよりよい環境づくりに取り組んでいます。

コミュニケーションにおいては、情報共有が難しくなることと、人とのつながりが薄れてしまうことに対する課題意識がありました。

まず確実な情報共有で伝達ミスを無くすために、ドキュメント等での共有を今まで以上に意識しています

また、人とのつながりを生み出すため、Slack上でランダムに1対1のミーティングを設定してくれる「#digital-coffee」というチャンネルを設け、普段やり取りしない人と話す機会を作っています。もともと英語のみで行っていたのですが、最近は日本語でも行い、「仕事の話はしない」というルールのもとで社内のコミュニケーションを促しています。

オンラインツールの活用範囲を拡大

人事ではオンラインタスク管理ツール「Monday.com」を活用し、新入社員に入社書類をアップしてもらうようにしています。以前は紙面で行っていた覚書や契約書などは電子契約ツール「DocuSign」を活用して電子化していて、法務でも可能な範囲で「DocuSign」を取り入れています。

これまでの経験や習慣を変えることは簡単ではありませんが、働く環境が変化したことで、便利なツールはないか、もっといい方法がないかなど、これまでのやり方を見直すいいきっかけになっていると思います。

採用面ではメリットもあるが課題も残る

リモートワークを基本とすることで、場所の縛りが無くなるので、地方の方や通勤が不便な方などにも当社に興味を持ってもらえるようになり、採用の幅が広がりました。また、自分の裁量で働く時間や場所を選べるので、自由な働き方を求めている人にも働きやすい環境が提供できるようになりました。

一方で、リモートワーク移行後に入社した方は、それ以前に入社した方に比べて、仕事のキャッチアップスピードや情報格差が生まれてしまっているのではないかという懸念もあります。こちらも初めての経験で、何が分かりにくくて何をすべきかが把握できておらず、準備が整っていない状態での採用活動となりました。

オフィスにいればその人の仕事の進め方が自然と見えてきたり、無駄話をしながら距離を縮めたりできますが、リモートワークではお互いを知る機会が減ってしまいます。定期的に行っている入社後面談でも、「直接顔を合わせることのないままチームで仕事をするのは難しい」という声が多く聞かれました。社内の一体感を高めるためにオンラインでの社内イベントを実施するなどしていますが、会社への所属意識をどう高めるか、業務にどうやって慣れてもらうかという部分は、いまだに創意工夫が必要な部分です。

オフィスは「人と会う場所」へと存在意義を変えていく

今後、リモートワークでもできるが一緒に進めたほうが効率も生産性も上がる、という業務が見えてくると、「ここはリモートワークで作業したい」「ここはみんなで集まって話したい」などオフィスの使い方自体が変わっていくと思います。

ソーシャルディスタンスを保ちつつ、みんなで集まってディスカッションができるスペースを広く設けられるよう、レイアウトも考え直しているところです。

オフィスは「仕事をする場所」から「人と会う場所、集まる場所」へと変わっていくのではないでしょうか。オフィスを縮小したり無くしたりしている企業もありますが、現段階では当社にはオフィスが必要だと思っています。ただその目的が、少しずつ変わっていくのだと思います。

また、オフィスは会社のシンボルでもあります。リモートワーク移行後に入社した方も、オフィスの写真やホームページを見ることで、社員としての実感を持ち、所属意識を感じられるのではないかと思います。

「社員主導」がマネーツリーの強みであり良さ

リモートワークを基本とすることで、オンラインツールの活用など、新しく取り入れることばかりに気を取られてしまいがちです。しかし同時に、オフィスワークでは必要でもリモートワークでは不要となる業務や、やり方を変えたほうがいい業務も出てきていると思います。当社では、やめるべきことを見つけるためにみんなで業務の洗い出しを行っています。

ただ、効率化はときに無駄以外も省いてしまいます。一見無駄に思えることが所属意識を醸成していることもあるので、大事なものまで失わないように気を付けつつ、チーム感を出せるよう意識していきたいです。

会社がルールを決めるのではなく、社員主導で動いているところが、当社の強みであり良さ。社員の声に耳を傾け、よりよい環境を整えていくのが人事の役目だと思っています。人事担当として、みんなが所属意識を感じ、同じ方向に進んでいけるようこれからもサポートしていきたいと思います。

まとめ

マネーツリーでは、普段からコミュニケーションが活発であることはもちろん、社員の意見を反映させて制度を整えていくというやり方が、会社と社員どちらにとってもよい影響をもたらしていました。様々な会社がニューノーマルな働き方を進めています。社員の声に耳を傾けながら、自社に合ったやり方を見つけることが大切だと感じた取材でした。

Digital Workstyle College 編集部
この記事を書いた人