DX・デジタル化関連 大臣発言まとめ(2021年6月)

国の「デジタル化」推進に向けた、各大臣の発言まとめをお伝えします。

1.『デジタル社会の実現に向けた重点計画』閣議決定 平井デジタル改革担当相

平井デジタル改革担当相は定例記者会見において、次のように述べました。

(1)『デジタル社会の実現に向けた重点計画』を閣議決定

「IT戦略を全面改訂し『デジタル社会の実現に向けた重点計画』を閣議決定した。

新法(デジタル社会形成基本法)に基づき、デジタル社会の実現に向けて迅速かつ重点的に講ずべき施策を明らかにしたものである。

今後この内容も踏まえ、デジタル庁の創設、令和5年末までの間に各省庁と連携しながら新法に基づく重点計画を政府として策定したい」(6月18日)

▼[参考]「デジタル社会の実現に向けた重点計画」を閣議決定しました|デジタル庁(準備中)
https://www.digital.go.jp/posts/ZlptjPro

(2)地方自治体によるガバメントクラウドの活用に向けて

「6月4日より内閣官房IT総合戦略室が市区町村を対象に、地方自治体の基幹業務等システムについてガバメントクラウドの活用に関する先行事業の公募を開始した。

住民記録、地方税、介護や福祉といった地方自治体の主要な17基幹業務システムについては令和7年度末までにガバメントクラウド上で提供される標準準拠システムに移行することを目指す。

本年度及び来年度は、ガバメントクラウドへの移行に係る課題の検証を行う先行事業を実施する。

応募に関してはガバメントクラウドに移行するシステム等を記載した選考事業計画を作成して提出していただき、先行事業計画を見て団体規模やシステム構成に応じた多様な市区町村となるよう、デジタル庁において選考させていただこうと考えている。

地方自治体の基幹システム統一の統一標準化については地方自治体といっしょに構築していきたいと考えている。

公募期間は8月10日まで」(6月4日)

▼[参考]ガバメントクラウド先行事業(市町村の基幹業務システム)の公募及びガバメントクラウド先行事業(地方自治体のセキュリティシステム)の公募について【地方自治体職員対象】
https://cio.go.jp/node/2778

(3)マイナンバー関連

①マイナンバーカード普及状況について

「マイナンバーカードの普及状況について交付率が約33.2%となり、住民の3人に1人がカードを持つ状況になった。

今後子育てをはじめ、さまざまな行政手続きのオンライン申請、令和6年度末からの運転免許証との一体化など、カードの利用拡大について関係省庁と進めていく」(6月22日)

②マイナポータルのリニューアルについて

「UI・UX改善としてマイナポータルをリニューアルし、児童手当の現況届が簡単に申請できる機能を追加。

マイナポータルはマイナンバーカードをキーに暮らしと行政の入り口の役割を担っており、利用者目線で常にUI・UXを見直している。

今回のリニューアルでは『おすすめの情報』をトップ画面に表示、わかりやすいアイコンで直感的に選択できるようにするなど画面構成やサービスセンターの流れを抜本的に見直した。利用者から問い合わせが多いログインの方法を案内するチャットボットも実装。マイナポータルのアプリを開けばすぐにサービスを選択できるようにした。

また6月から始まる児童手当の現況届について、受給者の状況が市町村からハガキで通知している内容と変わらない方は、スマホでマイナポータルを開いて『ハガキの内容で申請する』を選択することで申請者情報をの入力は不要となり、電子署名を付して簡単にオンライン申請できる機能を追加。

引き続きUI・UXの見直しは行っていく。今回は4月に採用された UI・UXの専門人材も検討に加えてリニューアルした。7月以降も、他のオンライン申請のリニューアル・改善など順次機能を追加しようと考えている」(6月1日)

③マイナンバーによる迅速な公金給付

「6月25日、『公金受取口座登録法』における仕組みである特定公的給付として『新型コロナウイルス感染症生活困窮者自立支援金』を指定する。

今回の指定は、第1弾『子育て世帯生活支援特別給付金』に続く2番目。

支給対象となり得る方に対し、あらかじめの申請の案内を送付することが可能になった。『あなたは申請することができますよ』と、最初の段階でのプッシュをできるようになった。

マイナンバーにより、迅速かつ確実な受付支給要件の確認が可能となる。

その結果、生活にお困りの世帯を対象とする最大30万円の自立支援金について自治体側の事務の効率化と給付のスピードアップが図られ、迅速な支援につながる」(6月18日)

④地方自治体へのオンライン申請 民間サービスとの連携を開始

「地方公共団体へのオンライン申請について、マイナポータルと連携した民間サービスが始まった。

6月29日から『Yahoo!くらし』では、マイナポータルと連携して地方公共団体の申請手続きの検索とオンライン申請ができるようになった。例えば宮崎県の都城市では児童手当、介護など11手続きの利用を開始。今後、他の自治体に対しても利用開始を促進する。

この Yahoo!の場合は、Yahoo!アプリを使い慣れている人が普段使っているアプリから行政手続きができるようになり、非常に便利になる。

デジタルを意識しないデジタル社会、人間にやさしい社会の実現に向けては、国民の皆さんが普段から使い慣れている民間サービスと連携することによって利用しやすいサービスが広がっていくことが非常に重要だ。引き続きマイナポータルのUI・UXの改善と民間サービスとの連携に積極的に取り組んでいきたい。

すでにマイナポータル機能での民間サービスの利用はたくさんある。例えば

・障害者手帳情報の「ミライロ」

・乳幼児の予防接種情報 神奈川県の「マイME-BYOカルテ」

 10月から薬剤情報も提供

・生命保険料控除情報のe-tax との連携 野村総研による「e-私書箱」

・マイナンバーカードの健康保険証利用の登録 セブン銀行ATM

今後ともマイナポータルと連携したサービスを提供する事業者を増やしていきたい」(6月29日)

[参考]

▼Yahoo!くらし
https://kurashi.yahoo.co.jp/

▼ミライロ
https://mirairo-id.jp/

▼マイME-BYOカルテ
https://www.pref.kanagawa.jp/docs/fz7/cnt/f532715/p991437.html

▼e-私書箱
https://e-shishobako.ne.jp/resources/pages/esapos8000.html

▼セブン銀行
https://www.sevenbank.co.jp/corp/news/2020/pdf/2020110601.pdf

[参考]平井大臣記者会見|政府インターネットテレビ
https://nettv.gov-online.go.jp/category_index.html?t=184

3.デジタル化・規制改革の進捗 河野規制改革担当相

河野規制改革担当相は定例記者会見で次のように述べました。

(1)乳幼児の定期予防接種における予診票のデジタル化

「子育て世代から、行政手続きに関する書類の記載が多くて何とかならないか、予防接種のための紙の文書が多すぎて何とかならないのか、オンライン入力できないかとご意見が寄せられていた。

平井大臣と相談の上、厚労省とIT室で連携し、民間の母子健康手帳アプリを活用してオンラインでの予診票を作成・提出できる取り組みを進めていく。

予診票の署名・確認はスマホからオンライン上で『同意します』というボタンを押す簡易な仕組みにする。なるべく早く民間アプリの開発を促していきたい。

また予診票は自治体ごとでバラバラに発行・管理されているが、デジタル化のためには標準化が重要になる。今年9月に設立予定のデジタル庁において予防接種台帳システムを含む健康システムについて、標準化の優先順位を上げて対応していただくことになった。

今後とも子育て世代の負担軽減に向けて取り組んでいきたい」(6月1日)

(2)オンライン診療・服薬指導恒久化について

オンライン診療が幅広く適正に実施されるよう、オンライン診療のさらなる活用に向けた基本方針を厚労省が策定した事例の展開を進めていくことになった。

情報通信機器を用いたオンライン診療の初診からの実施は、原則かかりつけ医によるものとする。ただし、かかりつけ以外の医師による実施も一定の場合には認める方向で具体案を検討する。まずオンラインでの聞き取りをやって患者の医療履歴が把握できたり、これならオンライン診療できますね、と患者と医師で合意をした場合にオンライン診療を実施することになる。

診療報酬については、対面診療との関係を考慮して検討していく。

また、患者がオンライン診療または訪問診療を受診した場合に限定せず、オンライン服薬指導を実施できることとする。薬剤師の判断により初回からオンライン服薬指導することも可能とする。

そして、電子処方箋システムの運用を令和4年夏をめどに開始する。

オンライン医療が一気通貫でできるように取り組んで参りたい。令和4年度から順次で実施できるように準備を進めていく。規制改革実施計画に盛り込む閣議決定をを目指して参る」(6月8日)

(3)ハローワーク求人手続きのオンライン化

「ハローワークでは求人手続をオンラインで行えることになっているが、『縦割り110番』に要望が寄せられている。

今は、新型コロナ感染症拡大防止の特例でハローワークの求人申込みのための来所は必要無いが、通常は初めて求人申込みをする場合、そして過去1年間求人の申込みをしなかった場合、仕事内容、賃金、労働時間等の様々な情報をオンラインで入力して14日以内にハローワークに来て対面で手続を行うのが原則になっている。

対面での手続を求めるのであれば、オンラインの意味がないではないかということで要望が寄せられていた。

厚労省に掛け合ったところ『対面の確認不要』を恒久化することになった。7月にハローワークに通知が出る。

ただし、過去に求職者から苦情があった事業者等、ハローワークが個別に必要と判断をした場合には対面で確認を行うこととなり、例外はある」(6月11日)

(4)霞が関のFAX廃止

「テレワークができない理由の一つに、FAXの使用があったが、メールに切り替えていく。

ただし、電波が通じないときのバックアップでFAXを使っている場合には、置いておいてもよい。

FAXで申請・登録等を行うことになっている手続きは、いきなり6月末で変えるわけにもいかないと思うので、なるべく早く切り替えるよう言っている。

それ以外の連絡等を、惰性でFAXでやっているのはもうやめて、メールに切り替えていく」(6月15日)

[参考]河野大臣記者会見|政府インターネットテレビ
https://nettv.gov-online.go.jp/category_index.html?t=182

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