「トライアンドエラーの精神でまずはやってみる」FAXでのやりとりが多い業界でもできるクラウド活用方法とは

電気機器メーカーである大西電機工業から独立したエンジニアリング商社である株式会社オンセックでは、RPAの導入による業務の効率化や、チャットツール導入によりコミュニケーションの円滑化を実現しています。取引先に製造業も多いなかどうペーパーレス化やクラウド活用を進めていったのか?株式会社オンセック社長の大西憲一郎氏にお訊きました。

話し手:大西憲一郎氏
株式会社オンセック 代表取締役社長
2003年関西大学商学部卒業後、マレーシアのマレー大学院に留学し2005年に開発経済学修士課程修了。日本に帰国し銀行勤務の後、2008年に大西電機工業に入社。2015年に同社を持株会社化し、親会社にあたる大西電機ホールディングス株式会社とグループの営業部門を担う株式会社オンセックの代表取締役に就任。

RPAツール「アシロボ」の導入で業務を効率化

オンセックのペーパーレスへの取り組みは早く、大西社長が入社した2005年にはすでに、受注から納品までの情報を社内独自で開発した基幹システムに入力する流れができていました。VPN接続で外出先からも社内サーバに入り図面チェックなどを行うことが可能になっています。しかし、取引先はFAXを使う業界。注文書はFAXで届き、請求書は複写式のものに手書きで記入しなければならず、社内のペーパーレス化は進んでも、社外とのやり取りとなると難しく、完全なペーパーレス化には至っていないのが現状でした。

営業事務が煩雑で整理が不十分であることもまた、社内課題の一つ。それまでは5名ほどが担当していたものの責任者が介入していなかったために、必要なものと不要なものの整理ができていない状態でした。2019年よりRPAツールである「アシロボ」を導入し、業務の見直しとフロー化を推進していきました。

そんな最中、新型コロナウイルスの感染が拡大。出社が必要な業務として残っていた取引先とのFAXのやりとりは、書類を電子データに変換する作業をアシロボに任せることで、テレワークへの移行が実現。

プログラミング言語やマクロの知識がなくても指示を出せるので使いやすいと社内でも好評。そのほか、これまで手作業で行っていた備品注文も、在庫情報をエクセルに落とし込んでおくだけでアシロボが発注してくれるなど、定型業務ではアシロボが活躍しています。

情報の共有も収集も、社内コミュニケーションはSlackで完結

オンセックでは社内ツールとして、2019年春ごろから「Slack」を導入しています。内線やメールでのやりとりの9割以上をSlackに置き換えたことで、社内のコミュニケーションが円滑になったといいます。取引先との進捗状況や納品物などの情報を共有することで、共通認識を持つこともでき、履歴を残すこともできます。納品物をスマートフォンで撮影すればSlackで簡単に送れるため、手間もかからなくなりました。

また情報共有だけでなく、社員の情報収集の場としてもSlackを活用しています。「製造業関連」「金融関連」「国際情勢」などのチャンネルを作り、関連するニュースを外部の方に集約してもらっています。新聞やニュースサイトを見る必要もなくなり、情報収集も格段に楽になりました。

何事もまずはやってみる、「トライアンドエラー」の精神

いまや資金集めはクラウドファンディング、人はシェアリングエコノミーで賄える時代。今会社に必要とされることは、コミュニケーションが取りやすいかどうかだと大西社長は言います。だからこそ、コミュニケーションツールとして何を取り入れるかが重要です。「現場は大変かもしれませんが、トライアンドエラーの精神で、まずはやってみてダメだったらやめよう、という進め方でいいのではないかと思っています。こういった風土は、ありがたいことに先人の時代から根付いていました」

情報共有などのコミュニケーションツールに関しては、大西社長自ら欠かさずチェックし、社員の意見に耳を傾けながら導入を検討していきます。一方で、RPAなどの業務の再構築を目的としたものにはある程度責任のある立場の人が介入し、業務の必要性を精査するところから始めています。不要な業務を不要だと言える人が必要であるだけではなく、先方にある程度の不利益を生んでしまうこともあるため、トラブルの吸収役としても責任者が必要なのです。

オンラインツールが取って代わるものと、変わらないコミュニケーション

オンセックは広島から大阪や東京へと規模を拡大する中で、人とのつながりを作る対面コミュニケーションの場として「WeWork」やエッセンス社の「他社留学」などを活用してきました。これも、いいと思ったらまずやってみるトライアンドエラーの一環。

「食事を共にして一緒に過ごすことで信頼関係を構築するというのは、日本流のビジネスコミュニケーションとして古くから行われています。こういったコミュニケーションはデジタル化もマニュアル化もできず、Zoomなどで代替できるものではありません。Face to Faceでのコミュニケーションはこれらも必要不可欠だと思います」と、大西社長は言います。

こういったことはSlackで、こういった話は電話で、こういった場合は直接会って、など内容によってどのコミュニケーションツールを使うかを社内で統一しておくことで、コミュニケーションにおけるストレスを減らすことができます。オンセックでは今、共通認識を作っている最中だといいます。大西社長は最後に、「手探りの世の中で、モチベーションを保ち、絶えず時代を読んでいくことが大切です。これまでの経験値が活かせないので謙虚でいながら、トライアンドエラーの精神で、新しいことには絶えず挑戦していきたいと思います」と話してくれました。

Digital Workstyle College 編集部
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