国の「デジタル化」推進に向けた、総理および各大臣の発言まとめをお伝えします。
菅総理は、都内のホテルで開催されたイベントにビデオメッセージを寄せ、その中で以下のように述べました。
「株主総会のオンライン化など日本全体のデジタル化を一挙に進めていきたい。現在の厳しい状況を何としても乗り越え、経済を回復させ、グリーンとデジタルを軸に将来の成長を実現してまいる」(12月16日)
参考:首相「株主総会のオンライン化進める」|産経ニュース
https://www.sankei.com/politics/news/201216/plt2012160004-n1.html
西村経済再生担当相は定例記者会見において、新型コロナウイルス感染再拡大を受け、テレワーク推進について以下のように述べました。
「一段のテレワークをお願いしたい。『IT補助金』の用意をしている。中小企業の皆さんもぜひ、挑戦をしていただければ。3次補正(予算)でもテレワークの関係、しっかりと盛り込むべく調整を行っているところ。経済対策に盛り込んでいるので、テレワーク支援・推進、強力に進めていきたい」(12月11日)
参考:西村大臣記者会見(令和2年12月11日)|政府インターネットテレビ
https://nettv.gov-online.go.jp/prg/prg21771.html?t=177&a=1
平井デジタル改革担当相は定例記者会見において、以下のように述べました。
「12月11日、『マイナンバー制度及び国と地方のデジタル基板抜本改善ワーキンググループ第6回』を開催。このワーキンググループは6月に設置されて以来、33項目の課題が整理され、多くの議論を重ねてきた。
2025年までの実現に向けた具体的な工程表を取りまとめることとしているところであり、またそれを、デジタルガバメント実行計画の見直しに反映して、年内に閣議決定を行う予定」(12月11日)
「令和3年に、個人情報保護法の改正を視野に入れている。一番大きな問題は各自治体が定めている個人情報保護条例が『保護法』の枠をはみ出して作られているものもある。全体として整合性を取れるよう、国がガイドラインを示すことで、地方公共団体が個人情報を外部に提供しようとする場合に統一的・スピーディーになると考えている。改正で前に進められるようにしたい」(12月11日)
「(実現には)課題が相当たくさんある。マイナンバーカードが全ての国民に行き渡ればおそらく(インターネット投票などの)要望はさらに強くなってくると思う。
エストニアの場合、高齢者の方々が寒い時に投票所に行くのがとても危険であったり大変だということで、インターネットで投票できるようになって投票率が上がったと聞く。日本は世界で一番高齢化の先頭を走っているわけで、人に優しいデジタル社会をつくるという流れからいずれそういう方向を検討すべき時が来るだろうと思う。
ただそれまでに乗り越えなければならないハードルは相当にある。
まずはカードが全国民に普及して、基盤がないとなかなかできないのではないかと思う」(12月11日)
「預貯金口座への付番の趣旨と意義について12月11日・12日の一部報道にあった『政府は金融機関が収集した個人番号を利用し国民が保有する金融資産の把握などに繋げる』という記載は事実と異なるものであり、国民をミスリードする可能性が非常に高いのでこれは訂正を求めたい。
『預貯金口座への付番の趣旨・意義』は、国民の皆さんが自らの判断で一回の付番の申出を行うことにより、本人が他の金融機関にお持ちの口座についても個別に申し出をする必要なく預金保険機構を通じて自動的に付番がなされ、サービス提供側の効率化だけでなく、利用者側のメリットとして、相続時や災害時の口座の所在を的確に確認できるようにすることで相続時災害時における利用者の手続きにおける負担軽減などを実現し、国民の皆様の利便性を向上させることが目的。
政府は災害時や相続時の負担軽減や、迅速な公金振込の迅速化のための制度を検討しているのであって、国民の金融資産を把握する制度を検討してるという事実は全くない」(12月15日)
「一部報道で『学習管理をマイナンバーで紐付けて指導に活用するのではないか?』ということでネット上でも色々な議論になっている。
『GIGA スクール構想』によって全国で1人1台端末の利用環境が実現しつつある。これらはクラウド上でOSや教育プラットフォームへのログインが必須。このログインIDやパスワードは学校や教育委員会ごとに設定されているため、生徒が転校をしたり、学校側でPCの変更等によりOSを変更した場合にIDやパスワードが変更されることになり、生徒が自分自身の学習履歴等を引き継げないという不便さがある。
このため学習者のIDとマイナンバーカードとの紐付けと、教育データの持ち運び、つまりポータビリティの方策を2022年度までに検討し、2023年度以降希望する家庭・学校における活用を実現できるよう取り組むと整理したもの。
マイナンバーを紐付けるわけでもなく、マイナンバーカードで自分の学習履歴を転出先に移したいという人ができるという話。」(12月18日)
「業務ソフトベンダーを中心として活動されている『電子インボイス推進協議会』から我が国における電子インボイスの普及を通じた業務デジタル化に向けた提言をいただいた。
提言は2023年10月の消費税インボイス制度の導入を契機に、受発注から請求支払会計や税務処理に至るまでのバックオフィス業務におけるシームレスなデータ連携を実現し、効率化を図る観点から電子インボイスに係るデータや通信方式の標準仕様を策定する必要があり
『Peppol(ペポル)』という国際的な標準規格をベースに進めるべきという内容。
この『Peppol(ペポル)』については欧州を中心に30カ国以上で採用されており、採用各国においてはユーザーの利用コストを抑えることができ、かつ操作もシンプルであることから中小零細事業者であっても導入のハードルが低い。その導入によって各業務 プロセス間でのシームレスなデータ連携が可能となり業務コストを削減することが可能となる、などの点が評価されている。
日本においてもこの『Peppol(ペポル)』をベースとして電子インボイスの仕様が標準化され、その利用が進むことで特に中小零細事業者の方が負担のない快適な UI・UXで業務プロセスのシームレスなデータ連携が可能となり、圧倒的な業務効率化という恩恵を受けることができるのではないかと考える。
デジタル化を通じたバックオフィス業務の効率化の実現は、非常に重要な課題。デジタル庁の設置を待たずして官民連携の上早急に進める必要のあるデジタル化のフラグシッププロジェクトだと考える。
今回のこの民間からの提言も踏まえ、政府としても『Peppol(ペポル)』をベースとした電子インボイスの標準仕様について、2022年秋の運用開始を目指し、民間の皆様と連携してその策定に向けた取り組み運用・管理のための体制整備などの必要な対応を、工程表を作ってしっかりと進めていきたいと考えている」(12月15日)
「『港湾の電子化(サイバーポート)推進委員会』の第5回会議を開催。
2018年11月に本委員会を立ち上げ、それ以降、港湾物流に関わる民間事業者間の情報連携を促進する『港湾関連データ連携基盤』の構築を内閣官房IT総合戦略室と国土交通省が連携して進めてきた。
この12月にシステム構築を終え、接続テストを経て2021年よりシステム稼働を迎える所まで進捗している。
この『港湾関連データ連携基盤』の稼働によって、今まで個々に最適化されていたシステムでは事業者間の情報の連携はFAX・メール・PDF等で行われてきたが、この「データ連携基盤」を介して電子的に行うことが可能となり、情報伝達における再入力作業や伝達ミスの削減といった港湾物流業務の効率化に加え、基板内のデータを活用した新たな取り組みによる生産性等の向上が期待されている。
この『データ連携基盤』の積極的な利用を呼びかけていく」(12月15日)
「『デジタル改革アイデアボックス 』において、これまで寄せられたアイデアの実現に向けた政策は進捗の見える化を行う。
10月中旬のアイデアボックス開設時から12月中旬までの約2ヶ月間に投稿されたアイデアは約5000件。そのうち特に人気が高かったアイデアが対象。人気のアイデアというのは評価ポイントとして賛成票から反対票を引いたものと考えていただきたい。
アイデアボックス内に政策一覧ページを新たに設け、政策とその元になったアイデアを相互に紐付けた。その上で政策の進捗状況を見える化していく。
引き続き参加型デジタル改革への積極的な参画をお願いしたい」(12月18日)
「『デジタル改革共創プラットフォーム』β版 Facebook専用ページをリリース。
自治体システムについて、現場の業務や技術面から検討に参加してくれる全国の自治体職員との議論の場にしたい。
強い意欲を持った全国の自治体職員の皆様に幅広く参加していただき、率直なご意見やアイデアなどを投稿していただければと考えている」(12月18日)
「(デジタル庁は)官民が連携した強い組織にしなければならないと考えている。
そのために優秀な民間技術者がデジタル庁で働きたくなるような職務内容や組織文化にすることが重要。
例えばプロジェクト単位のチーム編成や、テレワークを柔軟に活用できる執務体制など、働き方や意思決定プロセスなどを含め、これまでの霞ヶ関の常識にとらわれないデジタルワーキングスタイルや組織文化を進めていきたいと考えている。
デジタル庁で職務経験を積んで民間でも活躍できるリボルビングドアの仕組みを構築しようと考えている。
81.3億円の内訳に関しては高度専門人材の確保に必要な人件費等として32.6億円。デジタル基盤の整備として43.5億円。
デジタル庁では当初民間人材も含め500人以上想定している。
組織の形がだんだんと見えてきたので法案の準備もさることながら、人材の確保に関してこれから動いていきたい」(12月18日)
「『5年でやれ』というのが大まかな総理の指示。だがその前に、地方自治体と意識のすり合わせなしに、いきなり工程表を作るわけにはいかない。ゆっくりと共創プラットフォームを通じて各地方自治体との対話を深めていきたい」(12月18日)
参考:
平井大臣記者会見(令和2年12月11日)|政府インターネットテレビ
https://nettv.gov-online.go.jp/prg/prg21815.html?t=184&a=1
平井大臣記者会見(令和2年12月15日)|政府インターネットテレビ
https://nettv.gov-online.go.jp/prg/prg21816.html?t=184&a=1
平井大臣記者会見(令和2年12月18日)|政府インターネットテレビ
https://nettv.gov-online.go.jp/prg/prg21850.html
河野行政改革担当相は定例記者会見において、以下のように述べました。
「地方公共団体における押印見直しマニュアルが完成した。
このマニュアルは、三重県・大阪府・相模原市・福岡市から派遣されている四人の職員が中心となって地方の現場の目線も入れて、できるだけわかりやすいものに整えた。
地方公共団体で使いやすいよう、国の行政手続きの99パーセントで(押印を)廃止した考え方・基準について解説をしている。
それからの押印の後の署名をどうするかについても、自治体から問い合わせもあったので、解説をしている。
これから地方自治体が押印の見直しに取り組む際に必要となるであろう体制や、作業手順・判断基準を示している。
内閣府ホームページに掲載しており、
都道府県市町村会にもこのマニュアルに関して通知を発出していく。
国民の皆様にとって行政手続きが便利になるためには、国と地方自治体車の二人三脚で取り組んでいかなければならない。積極的に自治体とコラボレーションしていきたい」(12月18日)
「霞ヶ関の人がいろんなところでテレワークができるようにする、というのが令和(=新しい時代の形)という気がしている。
霞ヶ関の働き方改革、テレワークなどを含め、できるところはしっかりやっていかなければならないと考えている。
課題になるのが、紙の資料をどうするかということ。
それから新しく霞ヶ関に来てくれた新人の教育、それから管理職のマネジメントが出来なければテレワークはできないと思うので、マネジメント研修などやらなければならない部分は色々ある。
少なくとも(民間企業のような)目標を目指して、現在の霞が関の働き方を改善する部分と、ゴールを高く設定してそれを目指すところとやはり両方必要だと思っている」(12月15日)
「『行政改革目安箱(縦割り110番)』に寄せられていた、政府統計のデータフォーマットの統一を行う。
今まで政府統計データはフォーマットがバラバラで、なおかつ、ルールも明確でなかった。
研究者が複数の統計データをフォーマットを揃えなければいけない、あるいは、機械で読み込みができないなど、事前の処理に莫大な手間がかかっていた。
総務省を中心に各省と共同で統計の統一的なデータフォーマットについて検討を行い、事務レベルで確証協議会を行って本日決定した。
統一ルールは原則として1月から公表する全ての統計について適用される」(12月18日)
参考:
河野大臣記者会見(令和2年12月15日)|政府インターネットテレビ
https://nettv.gov-online.go.jp/prg/prg21805.html?t=182&a=1
河野大臣記者会見(令和2年12月18日)|政府インターネットテレビ
https://nettv.gov-online.go.jp/prg/prg21848.html