「クラウド活用は、企業に一番大切な“人”を軸に考える」株式会社友安製作所におけるデジタル化の事例

インテリア・DIY・内装商材の輸入・製造販売をメインに行う友安製作所。一時は社員が激減するなどの危機を経験しながらも、人軸で考えるクラウド活用により、従業員にとって働きやすい企業へ変わっていきました。今回は同社の代表取締役社長、友安啓則の講演レポートを届けいたします。

スピーカー:株式会社友安製作所 代表取締役社長 友安啓則氏

需要も従業員も激減した2000年代、新規事業立ち上げに奔走

 友安製作所は、ネジを作る町工場として1984年に創業した会社。その後、畳やふすまの文化からカーテン文化へと変わっていく中で、カーテンフックをはじめとした線材加工品の製造を行ってきました。しかし海外製の安価な樹脂製カーテンフックの普及により、需要が激減します。1990年後半には30名以上いた従業員ですが、2004年に友安氏が入社したときには6名にまで減少してしまいました。

友安氏は現状打破のため、新規事業を行うことに。まず、メーカーから直輸入することで、高品質なものをより安く提供することを目指しました。海外から、当時の日本には少なかった装飾カーテンレールを輸入し、自社ブランドを立ち上げます。最初はトラックでホームセンターやインテリアショップをめぐり、飛び込みで売り込みをかけていました。そうした地道な活動の末、16のECサイトを運営するまでに成長しました。

現在では取り扱う製品も多様化し、カーテンやカーテンレールをはじめ、照明、床材、壁紙、タイル、ウッドデッキなど、様々な内装商材を販売。デザイナーやプログラマー、フォトグラファーを社内で抱え、撮影やページ制作、お客様対応、出荷業務まですべてを自社で行うことにこだわっています。

従業員が増え、拠点が増えることにより、離職率が30%以上に

同社ではEC事業のほか、カフェ事業、工務店事業、レンタルスペース事業、メディア事業も展開しています。2013年頃から事業の拡大や新規立ち上げなどを加速させ、新規雇用も大幅に増加。順風満帆に見えますが、実はある課題が生じていました。

それは、事業の拡大に伴い、従業員のストレスと離職率の高さが際立ってきたこと。店舗や拠点が増えることで起きる伝達不足や、頑張っている姿を見てもらえないことへの不満などが要因で、離職率は30%を超えるまでに。友安氏はこの状況を変えるため、見える化と、円滑な社内コミュニケーションが不可欠だと考え、クラウドツールを導入することにしました。

クラウド導入のきっかけや目的が、他社とはちがうという同社。友安氏は、「クラウド活用をする多くの企業は、業務効率の向上を目的にしていると思います。しかし当社では、人軸で考えるクラウド活用を行っています」と言います。

「Workplace」の活用により、社員のモチベーションを向上

最初に導入したのは、Facebook社が運営するビジネス向けコミュニケーションツール「Workplace」。これまで部署内でのみ共有していた業務日報にWorkplaceを活用することで、全社で共有でき、いつでも自由に閲覧できるようになりました。

従業員同士がお互いの業務を知ることができるようになり、社内に協力し合う体制が生まれたといいます。見た目がFacebookに似ているため、SNSを利用する感覚で「いいね」やコメントが気軽にできます。他のメンバーからの反応や応援があることで、従業員のモチベーションアップにつながっています。

すべての業務連絡に「Slack」を使用

業務に関するすべての連絡に、ビジネスチャットツール「Slack」を活用しています。チャンネルやプロジェクトを作れたり、協力会社のメンバーなどを招待してやりとりしたりでき、スムーズなコミュニケーションが可能になりました。Workplaceでもやりとりは可能ですが、Workplaceは日報に、業務やお客様の大切な情報、業務内で発生するやり取りなどにはSlack、と同社では明確に区別しているそうです。

本社と営業所を「Zoom」で常時接続し、お互いの状況を把握

同社では新型コロナウイルスの流行前から、Zoomを使用していました。大阪本社と東京営業所を常につないでおき、モニターでお互いの様子が見えるようにしています。リモートワーク中のメンバーにはタブレットを支給し、勤務中はZoomで常につないでいます。相手の状況が把握できることで、離れていても報連相がスムーズになったといいます。

「他社とは使い方が異なると思いますが、相手がいま忙しいか、今電話で話せる状況か、などが分かるため、有効だと考えています」と、友安氏は言います。また、本社と営業所の間での出張が減り、経費や移動時間のロスを削減することにもつながっているそうです。

 「Sansan」で名刺データを共有し、社内の人脈を見える化

同社では法人向けクラウド名刺管理サービス「Sansan」を活用し、社内で名刺データを共有しています。個々で行っている名刺管理をクラウド上で共有することで、新たなビジネスチャンスの発見につながっているといいます。また、商談内容などの営業プロセスや売上管理などを管理できるため、営業における課題や個人の成績が見えるようになり、評価や改善にも繋げられるようになりました。

 自社開発の「TOMOYASU AWARD」でモチベーションを向上

同社には、年に2回、従業員同士が互いに評価しあう独自の表彰制度があります。クラウド化する以前は社内に貼り出していましたが、本社社員しか参加できなかったため、「TOMOYASU AWARD」というシステムを自社で開発。目標や進捗、結果を各自が入力し、努力や健闘を称えたいメンバーへの「いいね」や投票ができる仕組みです。「いいね」や投票数の多かったメンバーには、賞状と賞金が贈られます。

一人ひとりの取り組みが見える化されることにより、他部署のメンバーの働きにも自然と興味を持つようになりました。仲間から評価され、自分の仕事や成長を認めてもらえることが、モチベーションの向上に繋がっているといいます。受賞に泣いて喜ぶメンバーや、受賞を目標に仕事に励むメンバーも増えているそうです。

 クラウド活用により離職率は低下、売り上げはアップ

プロジェクトの営業活動や人脈が明確になったことで、売上が上がったといいます。離職率は31%から3%、直近では0%にまで激減しました。売り上げは毎年右肩上がりで、コロナ禍においても順調に業務成績を伸ばしています。

最後に友安氏は、このように話してくれました。

「企業で一番大切なものは、絶対的に人。従業員に会社のことを自分事として捉えてもらうことが大切で、社内の共感率が、企業の成長や価値に影響してくるはずです。その共感率に必要なのがクラウドだと、身をもって感じています。業務改善のためのクラウド活用ではなく、人を軸に考えて様々な取り組みを取り入れることで、企業は飛躍していけると思います」

Digital Workstyle College 編集部
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