東京都庁でもDX推進の取り組みがスタート!東京都にみる自治体のDX推進体制とは?

昨今、「DX(デジタルトランスフォーメーション)」という言葉をよく耳にするようになり、例えば航空業界では全日空(ANA)がDX経営を強力に推し進め、企業の付加価値向上に繋げています。

「DX推進」がトレンドだと言っても、例えば自社においては、具体的にどのように着手・推進して行けば良いのか、ポイントの捉え方が難しい、と考えてしまう方もいるかもしれません。

しかし、この「DX推進」の流れは今や民間企業のみならず、地方自治体にも広がりつつあるのです。

今回の記事では、「東京都政のデジタル化」に向けた取り組みを例に挙げて解説をします。

1.都政のデジタル化が本格的に始まろうとしている

小池百合子東京都知事は、令和2年11月27日の定例記者会見において「(都政のデジタル化に向けた)構造改革が本格的に始まった」という旨を述べました。

都政のサービスの質向上のため、現在、東京都庁内において構造改革に着手しているのです。

その改革を先導する「7つのコアプロジェクト」を立ち上げ、軌道に乗りつつあるものも多々ある、とも述べました。

軌道に乗った改革モデルは今後、全庁に展開をしていくという展望にも触れました。

2.「7つのコアプロジェクト」とは?

小池都知事が述べた「7つのコアプロジェクト」とは、具体的にどのような内容なのでしょうか?

これらは皆、DX推進のための取り組みをスモールスタートさせ、将来的に全庁へと横展開していくための「プロトタイプ」だと捉えることができるものです。

①未来型オフィス実現プロジェクト

デスク、固定電話、紙などに制限された働き方を抜本から見直し、柔軟で自由に働けるオフィスを構築。新しい働き方を支えるクラウド(SaaS)等を活用できるデジタル環境整備を推進していく、という構想です。

フリーアドレス導入や、柔軟な机の配置等により職員間のコミュニケーションを促し、縦割りの壁を越えた新たなイノベーションを創出することを目的としています。

令和2年度内に、第一本庁舎24階にプロトタイプエリアを稼働させ、その効果検証を踏まえ、将来的には全庁展開につなげていく考えだということです。

②5つのレス徹底推進プロジェクト

「都政のDX推進に向けて、5つのレスを徹底する」というものです。

これまで都庁においては、「3つのレス(ペーパーレス、はんこレス、キャッシュレス)」は進めてきたと言います。そこへ、新型コロナウイルス感染症との戦いの中で明らかになった2つの課題(FAXレス、タッチレス)を加え、「5つのレス」の徹底に向けて取組を加速していく、という構想を掲げました。

紙やはんこをベースにしたアナログ環境から、オンライン、デジタルをベースにしたデジタル環境へと転換し、都政のDX推進につなげていくという考えです。

進捗状況としては、庁内で「見える化」をすることで減らすべきものは減り、電子決済率は増加するなど、前年よりも大きく改正していることが見てとれる状況にあるそうです。

「改革を成功に導くのは、進捗状況の見える化。ある意味競い合って目標を達成、都庁としての目標達成に繋げていこうというもの」だと小池都知事は語りました。

これは単に庁内の職員間で「ペーパーレス、はんこレス、キャッシュレス、FAXレス、タッチレス」を進めるという考えに限らず、都民からの行政手続きに対しても適用、すなわち、デジタル・ガバメント実現を加速し、都政のサービス向上につなげていく、というビジョンです。

③ワンストップ・オンライン手続きプロジェクト

これは前項で述べた「②5つのレス推進プロジェクト」とも繋がりのあるプロジェクトであり、民から官への行政手続き(許認可申請、補助金申請など)を「スマホ完結」に移行していこう、という構想です。

デジタルガバメントの実現に向けて、都民・事業者があらゆる行政手続をいつでもどこでも行えるオンライン環境を構築し、 ユーザー目線に立ったデジタル化を進めることで、都政のサービスの質を飛躍的に向上させる、というビジョンを掲げています。

例えば、施設の利用、講座の受付、証明書の交付など、都民にとって身近で、比較的添付書類が少ない申請手続きで、かつ、都の権限で対応可能な119項目の手続きから見直しについて既に着手しており、令和2年度内に、LINEなどを活用した「スマホ申請」の整備を進めるとしています。

④オープンデータ徹底活用プロジェクト

都庁各局が保有するデータのオープン化を推進し、そのデータを民間企業等が活用してサービスを創出する新たな官民協働スタイルを構築していく、というプロジェクトです。  

現状、「東京都オープンデータカタログサイト」というWebサイトを既に公開済みであり、約4万件のデータがWeb上で提供されている状況にあります。

しかし、これらの公開データの利活用推進にはまだまだ課題があるとのこと。

民間ニーズとマッチしたデータのオープン化をさらに進める、あるいは、収集したデータを政策決定に活かす取組も展開していく、としています。

⑤スタートアップ・シビックテックとの協働推進プロジェクト

スタートアップ企業のアイデアや、シビックテックを都政の幅広い課題の解決につなげ、市民と行政が共にサービスを創り上げる新たな協働スタイルを確立させようというプロジェクトです。

将来的には、市民と行政が近い距離で共に街やサービスを創り上げる都市を実現していくという構想です。

令和2年11月8日には、スタートアップ企業が行政課題解決に向けた事業アイデアのプレゼンテーションを行う「ピッチコンテスト」を開催。都市防災をテーマとし、災害時のドローン活用を行うスタートアップ企業が優勝しました。

なお、このような「ピッチコンテスト」は今後、令和2年3月までに計3回開催予定であり、年度内には西新宿にスタートアップ支援拠点を開設予定。全庁が都政課題を解決する際の 連携先としてスタートアップをファーストチョイスできるよう、機運を醸成していくとしています。

⑥内部管理事務抜本見直しプロジェクト

内部管理事務(文書、契約、支出、人事)について、これまでの業務プロセスを明らかにし、プロセスの改善・デジタル化を推進していく、というものです。

職員が、企画立案等イノベーティブな業務に注力できる環境づくりを進めていく目的です。

⑦DX推進体制構築プロジェクト

都庁のデジタルガバメントを実現できる推進体制を構築するため、DXを先導する実行力を持った新たな 組織の設立準備を進めていこうというプロジェクトです。

高度ICT人材の確保に努めるとともに、デジタルリテラシーの研修を充実させ、 一般職員から幹部職員まで、全ての職員のICT能力向上を図っていく、という目標を掲げています。

3.都政における今後の具体的な動きについて

「7つのコアプロジェクト」を掲げ、少しずつ前進し始めている東京都政のDX推進。

しかし、各プロジェクトを加速させていくためには、いくつかの障壁がある旨を小池都知事は語っています。

それは例えば、自治体がクラウドを活用することや、民間からのICT人材の採用についてだと言います。

国には「官民交流法」が存在し、民間から人材採用ができますが、それが地方自治体となると、法律上、現在はできないのです。

それを踏まえ、小池都知事は「地方公共団体のデジタルトランスフォーメーションを進める上では、国との連携が欠かせない」と述べました。

民間からのICT人材採用など、法改正が必要なものは平井デジタル改革相に直接要望書を出していく、としました。

そして、「都政のDXをスピード感を持って実行していくためにその旗振り役・牽引者としてふさわしい新たな推進体制が不可欠である」とも語りました。

変革を先導する実行力を持った新たな組織「デジタル局(仮称)」を設置し、2021年4月には始動させる、そのために今後、組織改正・改編のための条例改正案を議会に諮る、としています。

参考:
小池都知事定例記者会見(令和2年11月27日)|東京都 Tokyo Metropolitan Government You Tubeチャンネル
https://youtu.be/wUdI7xZQo3E

「都政の構造改革レポート ver.0 都政のQOS向上のために」|東京都
https://www.metro.tokyo.lg.jp/tosei/hodohappyo/press/2020/11/27/08.html

1年前にWi-Fiもなかった都庁をどうやってデジタル化するの?~東京都が進める「7つのコア・プロジェクト」~|東京都 構造改革推進チーム(東京都 公式)|note
https://note.com/kouzoukaikaku/n/ndfe3919258a1

4.組織においてDXを推進する上でのポイントは?

ひとつの地方自治体である、東京都政のDX改革に向けたプロジェクトについて解説してきました。

この事例から、組織においてDXを推進する上では「出来るところから小さく始める」「成果を見える化する」「旗振り役・牽引者を立てる」「DXの先にどんな付加価値を生み出すか目標を明確に定める」といった点がポイントになると言えるのではないでしょうか。

東京都のDX改革に向けた取り組みはまだ、始まったばかりですが、これからどのように都政が変わっていくのかに引き続き要注目です。

Digital Workstyle College 編集部
この記事を書いた人